新潟県主要地方道69号
長岡和島線
阿弥陀瀬トンネル旧道

第7部

2022年10月15日 探索 2023年4月13日 公開

道を守る冬のヒーロー

ふとんかごに別れを告げて進んでいくと、谷側の路肩にこんなものが。これ、言わずと知れたガードワイヤーの支柱だが、この旧道はガードワイヤーも他の旧道と比べて綺麗に保たれていたはず。ここだけは除雪の際に倒されてしまったのか、はたまた積雪で押されてしまったのか支柱がこの有様で、ワイヤーもいい感じに弛んでしまっている。その後ろは・・・実に素敵なヤブだ。・・・え?、ここに入っていくのかって?。それはもう決まってるじゃないか。

やだ。(笑)

左の山側の斜面に擁壁が現れる。少し粗めのコンクリートに年季の入ったコケが覆う旧さを感じさせるもので、立ち止まってここだけ眺めていると旧道とは思えないほどに貫禄がある道。古くは城下町の与板から海側へ出る道として人や車が行き交って大いに賑わったはずなのだが、今はその交通量がほとんどない。まさしく栄枯盛衰、賑わっていたころを今に教えてくれる貴重な道でもある。・・・おや?、擁壁の上の森に何か見えた。

これは・・・雪崩防止柵だろうか。草や灌木に埋もれてしまっているし、今のこの時季は彼らにとっては、言わばオフシーズンの時季になる。道が旧道化して交通量が減り、道としての重要度が薄れてしまっても彼らにはそんなことは関係なく、自らに課せられた使命である「雪崩を止める」と言うことだけを朴訥に果たそうとしている。
だが、真冬の降雪期でも主要地方道だった以前とは違って除雪は行われずに通行止めになるだろうから、彼が活躍するところを見るものは今はいないのかもしれない。

人知れず頑張っている雪崩防止柵に別れを告げ、少し先へ進むと現れたのは分かれ道。現道から分岐する脇道だが、分岐点が草生していないところを見るとこの脇道はまだ現役らしい。ほとんどの場合は陰と陽がある(少なくとも私はそう思っている)峠道の中で、この峠道は登り下り双方とも道の雰囲気が明るくて珍しいと、それらしきことを書いた覚えがあるが、それはここでも例外なく明るい峠道が続いていて探索してても非常に楽だ。
脇道を少し覗き込んでみよう。



脇道を覗き込んでみる。入口のグレーチング(金属性の網)は少し傷んでいるものの、その他は道の印象としては現役の道のようで、今でも何某かの通行はあるようだ。この雰囲気からするとおそらく農道で、遥か下の方に見える田圃や畑に向かう道と見た。勾配は非常に急で下るのが怖いほどだが…慣れてしまえば大丈夫なのだろうか。

そこで、少し視点をずらして見たのがチェンジ後の画像だ。
遥か下に稲を刈り取った田圃のような、畑のような耕作地が見える。山間の谷地や森を切り開いて造られた耕作地は耕す人の姿が見えるかのようで、左右の斜面から反射した太陽の光をいっぱいに受け、作物がよく育つことだろう。そんな気がする。

おそらくは左の斜面から続く山の斜面を、道を通すためにその部分だけ削り取ったと思われる道形をしている。右側(谷側)は針葉樹(杉だろうか)、左の山側は広葉樹や常緑樹などがあふれる森の様相を示している。削り取ったままの法面は崩れることもなく草が生えて灌木が育ち、それらが崩れることを防ぐ…そう、まるであの「ふとんかご」のように斜面を固めている。

自転車を押しながら探索を続けているが、こういった道に遭遇すると気持ちいい。こればっかりは人間が作りだすことが出来ないものだと思う。ここで少し小休止。もう少し下りていけば現道に合流するはずで、一息入れることにしよう。

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