新潟県主要地方道52号
山北関川線
日本国トンネル旧道 第3部
2021年10月23日 探索 2021年12月27日 公開
前回の終わりで、やや深くなった足元のヤブ。だが、私は最強のアイテムである「長靴」を装着していたために、気にせず進むことが出来た。幸いなことにヤブが深い区間はさほど長くなく、ヤブを掻き分けてほどなくすると、こんな地点に出た。
左には小俣川、右には山の地肌がむき出しの斜面が見える。その地肌は低木の灌木なども生えていて、地形的に安定しているようで大規模に崩れることはないだろうが、割れ口がナイフのように鋭い石が路面にゴロゴロと転がっていて、小規模の落石は今でも頻繁に発生しているようだ。だが、この廃道の景色はすこぶる良い。四季を通じて訪れてみたいと思わせる景色だ。
山側の斜面を見てみると、屈強な鉄骨で組まれた柵が斜面に設置してある。もしかしてこれはレールか?!と一瞬歓喜したが、よく見てみると単純なI形鋼だった。残念!。
先ほど、鉄骨で組まれた「柵」と表現したが、これは雪庇防止柵じゃないかと思う。この地点の少し前に「落石注意」と「雪崩注意」の標識があったが、その標識が示していた地点はこの辺りだろう。その柵はところどころ壊れてしまっており、その原因が雪崩や落石であることは想像に難しくない。その身を挺して道路を守る勇者のようで、その姿は傷つき衰えても、逞しく感じる。
斜面に連なる雪庇防止柵の勇者たちのおかげで、廃道となった今もこのように道としての姿を保ち続ける旧道。前方には倒木が見えるが、あのくらいなら一跨ぎすれば越えられるだろう…と思うが、短い私の足だと、その一跨ぎが大変になる可能性が大きいかもしれない(笑)。
この先、道は左にカーブして現道へ向かうはずだ。その出口は鏡岩トンネルの坑口の直前に出るんじゃないかと予想しているのだが、どうだろうか。
倒木を乗り越えて進む(ところで倒木は案の定と言うべきか、少し難儀する結果になった。跨ごうと思ったのだが、やはり思った通りだった)。思うように跨げなくて少し傷心気分の私を笑うかのように、背中を向けている菱形の標識の姿が見える。あいつはいったい何か。これまでの道の様子からして、ある程度想像はついているものの、その姿をしっかりと拝んでやろう。だが、その前に左側の小俣川を見てみると・・・
おおっ!癒される~!
道のそばを流れる小俣川の水は、量が豊富なれど川底まで見えるほど透明で美しい。もちろんここは新潟県、下流の府屋の付近ではこの水を使っての稲作が行われていて、山の栄養をふんだんに取り込んだこの水で造られたお米もまた美味しかろう。機会があれば食べてみたいものだ。
おや、雪崩注意がない?
背中を向けていた菱形の標識の正体はこいつだ。やはり「落石注意」だった。だが「雪崩注意」の補助標識はない。「雪崩防止柵があるので雪崩は止めるけど、落石はあります」と言うことだろうか。その標識柱は錆び、標識の色も現在のものと比べると色が濃いと言うか、橙色(オレンジ色)をしていて、年季を感じさせるものだ。標識の先には、私がさっき跨ぐのに難儀した倒木の姿が見える(ここからだと足元の草が高くて、さほど高さはないように見えるが、実際は結構な高さだ)。ここを再訪する時には、もう少し足が上がるようにしておこうと、隣の小俣川に誓った(笑)。さて、先へ進もう。
ここだけ道の様相が変わり、雰囲気も少し厳しさを増した感じだ。正面に大きな岩が現れ、道はその岩を回り込むように先へ進んでいる。これまでより、この先の方が落石の危険が高いんじゃないかと思ったりもするが…。路肩はこの先、一部崩れているようにも見える。これまでは結構楽に進んで来たのだが、ここからはそうもいかないかもしれない。それに、思い出していただきたい。入口に立っていた、この標識を。
この標識の通行止の理由に、実はまだ到達していない。これまでの道程は通行止になる理由らしきものもなかったし、700mも進んでいないようにも思う。この通行止の原因は何なのか、非常に気になるところだが…たぶん「見てわかる」ような原因なんだろうと思う。
ま、これまでの道の様子を見れば、その原因は何となく予想は付くような気はするが…