新潟県一般県道393号
礼拝長岡線
沖見峠トンネル旧道
第4部
2020年5月23日 探索・2020年7月25日 公開
前回、「新潟県」の標柱を見つけた私は、明るく広がってきた空を見上げて、峠は近いと見て先へ進む。ここから以降の道は、これまでよりも人や車の通行がかなり少ないのか、今までの路面と違ってダブルトラックがはっきりと付くようになった。それでも自転車を押している私が通行できないほどではなく、余裕をもって進むことが出来る。正直、ヤブ漕ぎも覚悟してきたがこの状態は助かった。
う~ん、ヤブ漕ぎしなきゃかな
前言撤回。ここから見る旧道の先は路面にも草が侵食してきているようで、否応にもヤブ漕ぎの期待(?)が高まってくる。ところで画像右側に見える石垣のようなものは石垣にあらず、林道などでよく見かける金属のネットに石を入れた、簡易的な石垣とでも言うのだろうか。そんな道路施設だ。その手前には銀色に光るポールのようなものが立っているが、これはチェーンなどで封鎖するときに使われる「あの」ポールだ。でも右側にはその相方が見つからず、1本だけの彼は何となく所在無げに立っていたのを覚えている。
先に見えていた緩い右カーブを曲がると、いよいよ空が大きく広がって明るくなってくる。先の方に目を凝らすと、今までダブルトラックだった路面が、狭いながらも普通の路面に戻っているように見える。自転車は相変わらず押しているが、背中の撮影機材も今まで以上に重く感じるようになってきた。まだ見ぬ初めての峠の風景を焼き付けるためにも、峠で休憩を取ることにしよう。もうすぐだ。
来るぞ!
この雰囲気は間違いない。どう見ても峠だ。道幅は狭く、2mほどだろうか。それでも旧道は一直線に迷うことなく峠目指して駆け上がっていく。途中の連続するヘアピンカーブや、峠を目指すこの急勾配もそうだが、この旧道は明治車道じゃないと思う。明治車道にしては、勾配が急すぎるような気がするのだ。…ま、それでも非常に雰囲気のいい旧道であることには間違いない。
それに、私みたいな初心者にはとっつきやすいしね(笑)。
おお!沖見峠だ!
これまでいくつかの峠を越してきたけど、この峠は今までで一番ワクワクする。真っ直ぐの道に、お手本のような勾配。
今までで一番威厳を持って迎えてくれたのは国道7号の蒲萄峠だし、貴重な白看で明るく迎えてくれた国道49号の鳥井峠、明治生まれの隧道で迎えてくれた国道351号の榎峠・比礼隧道などいろいろ行ったが、そういえば県道での峠は、この沖見峠が初めてだ。それだけに、この峠にはなんとなく特別な思いがある。その沖見峠はもうすぐ。
県道初めての峠、沖見峠に着いた!。ところで、ここは一見するとただの直線に見えるが、さにあらず。実はここは十字路になっている。ここから見て左側にバリケード様のものがあるが、ここから左に入る道がある。また、そのバリケードの正面右側の山側に旧長岡街道が分岐している。だが、この峠の雰囲気はどうだ。
今まで歩いてきた私のそばを一緒に付いてきてくれた(連れてきた?)自転車を主人公に撮影してみた。こうしてみると実に美しい峠道だ。明治天皇の北陸巡幸の際に沖見峠が狭すぎて隣の曾地峠が選ばれたが、もしかすると(私見だが)選ばれなくてよかったのかもしれない。そう思った。
この画像は、バリケードから左を見たものだ。斜面にうっすらと道が見える(ような気がする)が、ここが本来の沖見峠への登り口らしい。登った先の頂上には二十六夜塔があり、かつては油田集落の人々はその場所で月見の宴をしたり長岡の花火を楽しんだ、と案内板にある。だが、問題はそれではない。峠の名前が「沖見の嶺 毛峠」とある。
ちょっと待て。
またまた新しい峠の名前が登場だ。この峠は沖見峠の他に妙法寺峠と言う名前があるが、その他に「毛峠」と言う名前が登場だ!。一体どれがこの峠のホントの名前なんだ!。この案内板を見て更に混乱して興奮してしまったが、ここは(落ち着いて)ひとまず沖見峠と呼ぶことにしよう。
さて、今度はバリケードから右を見てみると…
これが旧長岡街道の道だ!。実に趣のあるいい道ではないか!。チェンジ後の画像は、この道に入って少し進んだところの画像だ。今は草が覆い茂っていてヤブこきしないと通れないようだが、これが冬枯れの状態だと少しは楽に進めるかもしれない。この道も通ってみたいが、ひとまず後の課題にするとして、今は沖見峠を進むことにしよう。
記念写真
この地点での道幅を計るために、自転車に再度登場してもらった。
私の自転車の全長はおよそ2mなので、それからすると峠付近の道幅は3mと言ったところかな。日差しのコントラストと、右側の竹林がいい雰囲気を醸し出している。ただ、左のバリケードが邪魔なのよね~。それも味だろうか。さぁ、先へ進むことにしよう。