山形県一般県道349号
鶴岡村上線旧道 大針洞門

第4部
「護りきれなかったもの」

2023年9月30日 探索 2024年1月10日 公開

護りきれなかったもの

闇の方へ突っ込んでいくと、思った通り細い支柱と華奢な鉄製の柵が並ぶ道が続いていた。ここから見ると左側になるが、そこから現道を眺めてみると、明るくて眼下に赤川が見える、なかなかにいい景色が広がっていた。今はすっかり廃道となってしまっているが、当時の風景を想像することはできる。この道が現道だったころには、風光明媚ないい道だっただろう。

さて、特にゆっくりと時間をかけてこれまで歩いてきたが、これまで前方が暗かった要因の一つとして挙げてきた(と言っても、そんなに大したものではないが)「前方でカーブしている」の予想は当たっていた。ここだけ微妙にカーブしている。そして、その先には、ここに進入した時のように大きなコンクリートブロックが置かれているようだ。だが、その置き方は微妙に違っていて「妙に」きっちりと置かれている。ここが気になるところだが…。
ま、行けばわかるだろう。

右側の壁の高いところにカーブミラーが取り付けられているのが非常に楽しい。道が地味にカーブしているので、その安全確認のために取り付けられたものだろう。道幅も若干だが狭くなったような気がするのは気のせいか。路面には相変わらず若干の下草が這っているが、ご覧の通り歩くには非常に快適だ。そして、その前方にはあのコンクリートブロックが。

ふーむ…コンクリートブロックはもちろん置いてあるだろうなと予想していたから、それはともかく、その先にある茂みが気になる。通常の路面なら、あんな風に木は生えないだろう。となると、あそこには何かあるなと想像してしまう。なかなか楽しませてくれる道だ、ホントに。

こりゃまたしっかり封鎖されてるなぁ。でも、右側の脇を通れば難なくクリアできそうだ。にしても、さっきから気になっていることが一つある。なぜこの道を封鎖したんだろうか?。現道が開通してからも旧道はしばらくの間は通行可能だったようで、それはGoogleのストリートビューでも見ることが出来た(現在は2023年9月の画像に更新されてしまい、見ることは不可能)。現道が出来て交通量が減り、県道指定からも外れて維持管理が大変だということもあるかもしれないが、そんな道はいくらでもあるので、他に理由があるはず。それにGoogleマップでは(おそらくは)洞門の手前までは道路として記載されているし…。

これはなんとなくだが…その原因は、目の前にあるコンクリートブロックの向こう側にあるような気がする。とにかく行ってみよう。幸い、そこに行くにはさしたる苦労はなさそうだ。

よっこらせっ…と

先ほどの場所からここに来るには、洞門の左側をかわしてくるしかなく、実際に私もそうしてここに出てきたのだが、こりゃまた厳重に塞いであるなぁ。こりゃ「普通なら」入ろうとは思わないわね(←ということは、あたしゃ普通じゃないってこった(笑))。
だけど、ここだけを見ていると単純に封鎖してそこに草が茂っただけとも取れる。さて、本当の要因はいったい何なんだろう?と思いながら、その要因を探しつつ辺りを探索してみよう。

近くをウロウロしても、さっぱり原因がわからない。じゃ少し離れて俯瞰的に見てみるかと思い、ヤブを掻き分けて少し離れてじっくり眺めてみると…おや?。なんだか左側の山の斜面が不自然じゃないか?。画像の右側にはガードレールが映り込んでいるが、草の高さもここだけ高くなっているし、道として不自然のように感じる。さては、これはもしかして…いやいや、もう少し下がって見てみよう。

原因はこれか?

少し離れて見てわかった。左の山側が派手に崩れてしまっているじゃないか!。しかも、斜面を固定していた吹付コンクリートごと崩れてしまっている。地震か、大雨か。崩れる力が強すぎて、道を最後まで護れなかったのだろう。この道が廃道になったのは、これが原因かもしれない。

もっとも、洞門の入口にコンクリートブロックが置かれたのは崩れる前というのも十分に考えられるから、単純に用途廃止で廃道になったということも十分に考えられるが…。崩れた表面に草が茂っていることから、この崩れ方は現在進行形ではないらしい。ただ、足元が見えないので歩くにはどこか踏み外さないか、少々神経を使う。足元に崩れた吹付コンクリートの存在を感じながら、護りきれずに散った「道を護る者」に感謝を伝えた。


空を見上げてみる。洞門の中では感じられなかった太陽の光が眩しい。脇を流れる赤川が雑木の隙間から見える。その先には立派な現道も見えた。この場所からすると、現道に合流する地点まで、そんなに距離はなさそうだ。
探索もいよいよ終盤。この先、どうなっているかわからない不安もあるが、先へ進むのみだ。この調子だとたぶん「人生崖っぷち(笑)」にはならないだろう。

第5部
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