一般国道8号
赤田トンネル旧道
曾地峠 第5部
2020年8月13日 探索・2020年9月15日 公開
穴の正体
前方に見えた「穴」に近づいて確認してみる。3mの高さ制限があるが、この高さだとミニバンクラスでも十分入っていける高さなので、圧迫感はない。それはいいが、前方が妙に暗いのが気になる。この穴は前回で予想した通りボックスカルバートで、現道が完成した際に旧道を跨ぐ線形になったために設置されたものだろう。だが、ボックスカルバートは直線なので、前方が暗くなるということはないはずだが…
思った通り、中はボックスカルバートだ。路面の中央には雨水を流すためにU字溝があるし、全体を見ると傷みも感じられないので、道路としてきちんと管理はされており、多少なりとも車の通行はあるようだ。それはいいのだが、前方に何か光が見える。あの光り方と形はたぶん、私の車のヘッドライトを反射して光っている反射材の類だが、そこから先の道形が変化しているように見える。…まさか、あそこから先で急に狭くなっているとか?。こんな狭いところでバックはお断りにしたいところだけど、進まないと確認できない。…仕方ない、進んでみよう。
なんだこりゃ?!
見た瞬間に笑ってしまった。なんでこんな構造にしたのか理解に苦しむが、あの反射材の光は路面の幅が狭くなるための警告だった。そこから先は、それまでのボックスカルバートの延長がコルゲートチューブの巻き立てになり、鉄骨で補強してある構造に変わっている。コルゲートチューブの区間はカーブでもなんでもないので、そのままボックスカルバートで進めばよかったはずなのだが、なぜ途中から変えたんだろう?。
また、穴の形が丸のコルゲートチューブと四角のボックスカルバートの組み合わせなので、いわゆる「とってつけた感」がものすごく、それでも一応高さは合わせようとしたのだろう、コルゲートチューブの区間はボックスカルバートの区間よりも幅が若干広い。
コルゲートチューブを補強している鉄骨のサビた禍々しさがものすごく、さっさと通り抜けることにして、出たところで車を停めて改めて眺めてみる。コルゲートチューブなので断面は真円形。こうして眺めてみると、工事途中で中止した隧道のようにも見える。鉄骨の補強は入っているので、これでコンクリートで巻き立てればトンネルの完成!と言う気もするが(コルゲートチューブは置いといて)、なんだか中途半端感が否めない。
少し入ったところで、改めて構造を観察。こうしてみると、確かに保守をするには巻き立ては無い方がよく、速やかに補修出来るのと同時に、異常も発見しやすいという気がする。う~ん、もしかしてここを施工する際に予算が尽きてしまったのだろうか?。…そんなことはないか。コルゲートチューブ自体には腐食などは見られず、洞内も乾燥している方なので、通行するには危険とかそういうことはないことをお断りしておく。
トンネル(?)を抜けて先へ進むと、少し進んだ先にこんな看板があった。この辺り一帯は不法投棄特別監視地域らしく、「目に余るもの」があると書いてある。私は環境活動家じゃないけど、こうして旧道や廃道を巡っていると、しばしば不法投棄されたものを目にすることがある。それらはタイヤだったり、洗濯機などの家電だったりするのだが、一つ不思議なのは不法投棄するときに罪悪感は感じないのだろうか?(それを感じていれば、そもそも不法投棄なんぞしないだろう、ということはおいといて)。私なんぞは長年使ってきたものには多少なりとも愛着はあるので、これまでに感謝しながらきちんと廃棄しないと嫌だったりするのだが…(余談だが、このためなかなか廃棄できず、旧いものを長く使っていることになるのだ)。
看板を見ながらしばし考えこみ、少し気持ちが沈んでしまったが、私の目の前には通るのを待ってくれている旧道がある。先へ進むことにしよう。ここはさっきの不法投棄の看板から旧道を眺めたところで、現道は右側の上を走っている。これから先、この旧道は山裾に沿いながら曾地の集落を目指していて、おそらく明治天皇もこの道を通られたはずの道だ。辺りに注意しながら、ゆっくり進んでいく。