一般国道7号旧道
勝木峠 第3部

2019年1月14日 検索・2019年2月3日 公開

国土地理院の電子地形図(タイル)を使用したものである。

ここで、地形図を確認してみよう。地形図を見てもお分かりいただけると思うが、勝木峠は長い道のりである。第2部で碁石川を渡った私は、今度は大久保山の峠を目指して進むことになる。この部分は比較的真っすぐの道が続くようだ。等高線の幅も若干広く、道はその等高線の間を通っているので、勾配もさほどなく平坦に近い道程だと思った。

碁石川を渡ると、すぐにこんな標識が出てきた。右側は結構切り立った崖になっており(高さはさほどでもないが)、ここからの落石を指しているのだろう。路盤自体はしっかりとしていて、非常に走りやすい。この標識が現れるところは道幅はまだ狭いが、先へ進むと…

先ほどの標識の場所に見えた右カーブを過ぎると、こんなに道幅が広くなる。路肩には駒止が見えるが、開通時からあるものにしては新しい気もするが…
路面右側には石垣が見える。大き目の石を組み合わせた風格のある石垣で、これは峠開通時からのものだろう。木々の隙間から差し込む太陽の光が眩しく、非常に清々しい。路盤に一部白いところが見えるが、これは積雪ではなく真新しい砂利で、転圧して固められている。この土工はこの峠道全体にわたって行われており、この道が今でもしっかりと管理されていることが伺える。

更に先へ進んで、振り返って撮影してみた。太陽の位置を見ると日没まで1時間強だろうか。やや急がないといけないが、御覧のように山側の石垣に目を引かれて立ち止まって観察している私だ(笑)。
碁石川を渡った後の緩やかな部分を通っていて、地図上にある最初の右カーブに差し掛かるあたり。

いいなぁ!この道!

そして前を向くと…二間半の当時の道幅がよく表されていると思う。
山側の…これは石垣ではないかな?岩肌の風景。左側の杉の植林。そして、その中を走る国道7号の旧道。この道が新潟から山形へ向かう大動脈の一部だったと思うと、感慨深いものがある。しばらく立ち止まって、あたりの雰囲気を満喫した(日没が…)

更に先へ進むと、切通しがいい感じの峠道である。
右側はもともとの里山の林、左側は杉林になっており、その中を道が進む感じが旧道らしくてよい。現役当時を想像しながら進む。背負子(しょいこ)を背負って歩く人や、行きかう荷馬車。大きな身体を揺らしながら走ってくるバス。自転車も走っていたかも?などと想像すると、なかなか楽しい。

このように、沢が道を超える場所が多くなってきた。この部分だけ沢の流れで道が削られたのか、それとも人工的なものなのかわからないが、澄んだ水が流れていた。右側の路面の端の溝が人工的なものを感じるので、もしかすると路面を横断するように掘られたのかも知れない。

脇道があったので覗いてみると、黄色い看板。電力会社の保線に使用する作業道のようだ。里山の中を一直線に進むこのような道は、道としては非常にいい雰囲気で、思わず足を踏み入れてみたい気もしたが、眠ってないプーさんにうっかり鉢合わせするといけないので、やめておこう。

ここから見える登った先の道は暗く、隧道じゃないか?と言う雰囲気もあったりするのだが、この勝木峠には隧道はない。この辺、蒲萄峠と同じである。路面はここも砂利がしっかりと転圧されて固められていて、非常に通りやすい。どうやら雪の季節に入る前に、路面を補修したようである。

暗闇の先の景色がうっすらと見える…よね?。道はこの先で右カーブしているようだ。地図にない隧道の登場を密かに期待していたのだが…。左側には「不法投棄禁止」の看板も見える。では、暗闇の中に突入!。

…とは言うものの、さほど大げさなものではなく、この通り木立の美しい道が続く。この道は明治に入って通された道であるが、古くからの峠道には必ずある「馬頭観音」の祠が全くない(蒲萄峠にはあった)。これも道が開通した年代を知るのに、いい目安でもある。それにこの道、湧き水の類がほとんどない。荷馬車の馬たちはどこで休憩していたのだろう?。

おおっ!ここが峠か?

一直線に最高地点まで駆け上がろうとする道の雰囲気からすると、ここが大久保山付近を通過している地点の峠道のような気がする。ここでもしばらく立ち止まって、切通しの状態や石垣の有無、峠道の様子などを観察していた。明治・大正・昭和を通して使われた、この道の風景が浮かんでくる。

峠を越えても道は相変わらずの狭さだが、この道は海側の大崎山隧道・岬隧道経由の道が開通する昭和40年代前半まで国道7号として使われたので、この狭い道を大型トラック等が行き来していたことになる。この頃と言えば、360㏄の軽自動車が元気だったころ。のんびりと走っていたに違いない。
右側に見える錆びたような棒が突っ立っているがこれは標識柱で、周辺を探してみたものの標識本体は見つからなかった。

さぁ、勝木峠も半分を過ぎた。次は間の内川を目指そう。

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