一般国道49号
花立の短い旧道
第3部

2022年5月4日 探索 2023年5月7日 公開

存在を教えてくれた擁壁



ここが辿れる旧道の路盤の終点だ。この後、旧道はどちらに進んでいたのか、今一つ定かでない。右側の路肩にある側溝をベースに考えれば、旧道はこのまま中央右寄りの暗くなっている場所へ突っ込んでいったように思えるが、現地で見る限り、ここから暗くなっている場所に向かっていく道筋は旧国道の路盤ではないような気がした。「地面が貧弱すぎる」と言うのがその理由だ。

もちろん、国道の旧道でもこんな感じで行き止まりで道筋がわからなくなって撤退し、自宅に戻って調べてみたら「うそぉ?あそこが?」なんてことは何度かあるが、まかりなりにもこの道筋は旧一級国道。1971年(昭和46年)10月まで多くの人や車を通して賑わっていた道だ。路盤自体が崩壊してしまえば別だが、そうでない限りは面影は必ず残っているはず。
でも、ここからその方向を想像して進むには、目の前の藪が深すぎる。と言うことで、ここから反対側に迂回して辿ることにした。一応、私の予想を記してみたのがチェンジ後の画像だ。直進ではなく、先に見えている電柱を目指して進んでいたのではないかと考えた。



一度現道まで戻り、回り込んでヤブの反対側まで来たのがこの画像だ。旧道の路盤はここに来ると一目瞭然で、私の目の前にある枯草に覆われた不自然な細長い空き地。これが旧道の路盤だ。左側に見える、青い若草に覆われた道ではない。この道は単なる農道だろうと思う。

チェンジ後の画像は、旧道の路盤がどんな風に進んで来たかを矢印で記してみたものだ。およそこんな感じで進んできていたのだろうと思う。左上部に見える電柱は一つ前の画像で見えていた電柱だが、その場所の標高と旧道の標高にかなりの差があり不自然な点が残る。この辺は戻って航空写真で調べてみることにして、ここが旧道の路盤と考えた理由は・・・

おなじみの標柱。これを見つけて大いに喜びたいところだったが、この標柱がある場所が現道から実に見晴らしが良く、そんなところでいいオッサンが草むらではしゃいでいると実にアヤシイ光景になることから、やめておいた(笑)。

この標柱は一枚前の画像で旧道の路盤と考えた、枯草に覆われた不自然な細長い空き地の道路側にポツンとあったものだ。そこには「建」の文字が掘られていて、最初は現道の境界を示す標柱かなと思ったが、調べてみるとその標柱はこれとは別に現道の脇にあったことから、これは旧道が現道だった当時のものだろうと判断した。

標柱の位置から現道との合流点を見てみる。道が二手に分かれているが、旧道と思しき道筋はもちろん電柱が寄り添っている左の直進の方だ。右は農道で、このまま右に進むと周辺の田圃の中を網羅している道に繋がっているし、この小山のようになった右側の森を回り込んで再度この道と合流している。この旧道と思しき道筋は、何となくこれまでよりも道幅が狭くなっている感じがするが、これは現道を通す際に削られたためと思う。実際にはもう少し広かったかもしれない。

じゃ、何故この道が旧道だろうと判断したのか。それは、このまま進んで森を回り込んだところにいる、こいつのおかげだ!。
それでは登場いただこう!。

うむ!いい擁壁だ!

擁壁に良いも悪いもないもんだと思うが、いかにも「強固」と思わせてくれるこの擁壁。実はこれ、現道からもよく見える位置にあって、現道を普通に走っていても結構目立つ存在なのだ。これを現道から見つけた時に「あの道は旧道なんじゃないか?」と疑い、この道筋が旧道なんじゃないかと思い始めたきっかけになった。現道から見ると、旧道と思しき路盤は農道に見えるし、今は実際に農道として使われているようだ。だけど、この擁壁は農道の規模じゃないような気がしたことから、「おや?」と疑ったのだった。

この擁壁が守ってきた道は一級国道から一般国道になり、国道指定を外れて今は農道になってしまったが、それでも「通行する者を守る」と言う使命を忠実に守り続けている。彼はいったいいつからここにいたのか。銘板も何もないのでわからないが、長年ここにいることは間違いないことだろう。思わず手を触れて「お疲れさま」と声をかけた。

この画像は、探索が終わった後に現道から擁壁付近を撮影したものだ。現道との位置関係がよくわかると思うし、こうして見ると現道を通すときに旧道の路盤が一部削られていることがよくわかる。おそらく旧道は今の道幅より倍はいかないまでも、1.5倍はあり、対面交通が可能な幅はあったと思う。また、ここにも電柱と電線が寄り添っていることに注目したい。結局、この電線はずっと旧道の路盤に沿って敷設されていた。珍しくはないことだが、この電線も現道が開通したからと言って新しい道に移されることなく、そのまま存在してくれていたからこそ、旧道の道筋が現在まで残っていたと言うことが言える。

この探索も、残るは擁壁から花立の集落へ入る交差点を確認するのみになった。
ゴールまであと少しとなって何となく口惜しいが、じっくりと見ていこう!。

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