一般国道49号
花立の短い旧道

2022年5月4日 探索 2023年4月25日 公開

一般国道49号。レポートの中でも多く登場してきているこの道だが、今回もまた一つ、比較的探索しやすい旧道を紹介したい。場所は新潟県東蒲原郡阿賀町花立。
この地に、国道49号の現道の脇にひっそりと(でもなくて、どちらかと言うとかなり自己主張しているが、ここでは「ひっそりと」にしておこう)佇む旧道の路盤があることをご存じの方は多いのではないか。
と言うことで、現地の画像の前にまずは地図を確認してみよう。もうすっかりおなじみとなった、地理院地図である。

国土地理院の電子地形図(タイル)に注釈を追記して掲載

これは現地の地図。中央を通る赤く色づけされた線が現道の国道49号である。真ん中を流れる川は音無川。この脇を通る地図上で示した道は国道49号の旧道で、以前にこの道を「音無川右岸道」としてレポートしているので、ご存じの方も多いだろう。だが、今回のレポートはここではない。中央にオレンジ色の四角い記号が点在している場所があるが、この記号は民家や建物を表す。そう、ここが花立の集落だ。

そこから右側に少し行くと131.3の水準点の記号があるが、この水準点の記号の脇に道路を挟んで崖の記号が見える。地図上で「ここ」と示した位置だが、実はこれは旧道の路盤跡なのだ。いや、正確に言うとこの崖の記号と現道の間の狭い空間が、路盤跡と言った方がいいだろう。辺りは等高線に沿って田圃の記号があり、実際に段々になった田圃の風景が見れるので、それだけでも一見の価値はあるかもしれない。古き集落と道の関係の姿を垣間見ることが出来る。

その風景を少しだけお見せすると、こんな感じだ。
民家があって、その奥に段々になった田圃の風景。そして目の前に見える細い道。これが実は国道49号の旧道なのである。もちろんその昔は未舗装で、トラックなどの大きい図体のクルマは土埃を巻き上げながら、のんびりと大きい体を左右に揺らして走っていたかと思えば、三輪のトラック(早い話がミゼットだが)がゴトゴトと走っていて、花立の集落へ買い物に出かける人が歩いていたかもしれない。
そう、今はすっかり人通りも車の通りも少なくなってしまった、一見すると旧道とは思えないような道筋だが、その昔の風景を現実の風景に重ね合わせてみると、往時の風景が蘇るようで楽しい。ここも、ついたくさん楽しんでしまったことは言うまでもない。

と言うわけで現地。
画像奥へ進んでいくと津川方向で、私はそっちを向いて立っているという訳だ。旧道はここから右方向へ分岐していく。上の地図を見るとわかっていただけると思うが、旧道は地図上に記載はない。となると、この道は廃道と言うことになる。最近の探索は旧道や未成道が多かったから、廃道の探索は久しぶりで少し緊張気味だ。

現道はここから津川方向へ向けて緩やかな下り坂で下っていくが、旧道はしばらく水平に進んだ後で、急な下り坂で現道と高さを合わせ、花立の集落へ向かう道筋になっていたようだ。と言うことで、この画像の位置から少し進んでいくと…

この通り!
どっからどう見ても旧道だ!

いいじゃないか!。路面と思しき平地には下草が見えるものの、手入れがきちんとされていて非常に歩きやすい。右側に見えるコンクリートの壁は旧道の擁壁で、その風合いからも長い時間を感じさせてくれるものだ。
下草が刈られているところが気になるが、それはおそらく右側に少し映り込んでいる電柱に関係するものかもしれない。それなら作業道として管理されていてもおかしくはない。でも、そうなると純粋な廃道ではなくなるなぁ…。ま、いいか(笑)。

この探索、長さ自体は短くていわゆる「短い旧道」シリーズに入るが、元々の道がなかなか濃いヒストリーを持つだけに、どんな顔を見せてくれるか非常に楽しみで、胸が高鳴っているのが自分でもわかる。

さぁ行こう!

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