一般国道402号
角田トンネル旧道

色見隧道 第1部

2019年11月24日 探索・2019年12月26日 公開

念願の場所へ

その日、私は午前中の私用を済ませて、一般国道402号の色見隧道の探索に来ていた。この場所は私が住む新潟市から一時間少々で来れてしまうのだが、こんな場合、近ければ近いほど「いつでも来れる」と言う考えが先に立って、後回しになってしまうものである。
実際、この色見隧道も随分前から私の中での優先順位は高かったのだが、前述の「近いからいつでも来れる」と言う理由で後回しになってきたものである。なので今回は、念願かなって…と言うわけだ。「念願も何も、単純にお前が行かなかっただけだろ」と言うツッコミがどこかから聞こえてきそうだが、聞こえなかったことにしよう。

国土地理院の電子地形図(タイル)に注釈を追記して掲載

これは最初でも使った、現在の位置関係を表す地図である。この日、私は色見隧道の間瀬側にいた。その方が、車を止めやすいためである。本来なら、この地図でも見える角田浜側の広い駐車場に止めてもよかったのだが、その駐車場から角田トンネルを抜けるまでの道形が結構な急勾配で、その勾配を歩く根性がなかった私は、あっさりと間瀬側にある道路脇の、少し広くなった場所に止めることにした。なお、この日の探索はすべて徒歩で行った。

さて、現地である。晴れ渡った青空が美しく、非常に気持ちいい。探索には絶好の日和だ。光量もたっぷりあるから、写真写りもいいしね。ここから正面に見えるのが、現道の角田トンネル。現道の402号はこの画像のように、海側にせり出した地形の根元を切り通しで開き、角田トンネルへ向かっている。この辺の地形は岩盤が非常にもろいようで、山側の法面には落石防止のネットが設置されていたりする。さて、色見隧道はこの辺のはずだが…もう少し近づいて辺りを確認してみよう。

少し近づいてみた。角田トンネルの手前にあるのが魚見橋で、御覧のように角田トンネルとくっつくように架けられている。角田トンネルの上も、山側になる道路右側も、落石防止の道路保護施設が多く設置されており、この辺がいかに落石が多いかわかって頂けると思う。左は角田美咲(←誰だ)…角田岬で、そこには灯台もあるのだが、まずはこの道を色見隧道に向かって進んでいく。

左にある小山は、切り通しで分断された右側の山の名残だが、ここだけなぜかフェンスが違い、ガードフェンスも海側へ向かって曲がっている。まるで「こっちだよ」と言っているかのように。そう、ここが色見隧道に付帯して存在する、非常に距離は短いものの立派な「旧道」なのである。早速フェンスを越えて探索しようかと思って足場を確認するために足元を見ると…

…どっかで見たな、これ。…おお、そうだ!。これはあの狭路の神様(笑)、新潟県一般県道506号の途中にあったやつじゃないか。てことは、これは県道時代に設置されたものなんだろうな。心なしか506号で見たものよりも、時を刻んできた風格が感じられるような気がするのは気のせいか。もう少し先へ進んで、橋のたもとまで来ると…

塞がれた隧道

いたよ、おい(笑)

ここまで堂々と姿を現してくれていると、実に清々しい気がする。
そう、この色見隧道は既に封鎖されており、残念ながら中を通行することはできない。見た目と、魚見橋や角田トンネルの竣功年などを鑑みても、結構歴史がある隧道なんじゃないかと思うのだが、軽く調べた段階では見つけられなかったのである。ま、それは後の机上調査で調べることにして、今は目の前の旧道と隧道だ。

角田トンネルとの位置関係は、こんな感じである。手前の橋が魚見橋で、色見隧道に繋がる旧道敷は魚見橋の袂から分岐している。ということは、魚見橋は角田トンネルと共に建造されたとみて間違いなさそうだ。それにしても、地盤的には色見隧道の方が安定しているように思えるのだが、なぜこの隧道は放棄されてしまったんだろうか?と、現地を眺めていて疑問が浮かぶ。それを解くには、まず一回旧道の分岐点まで戻って、旧道を通ってからこの色見隧道に接近していった方がわかりやすそうだ。

ということで、旧道である。ここはさっきの道路台帳基準点の脇にあった、旧道の入口を塞いでいたフェンスの脇から入った旧道敷である。御覧の通り、結構狭い。私がいるこの位置はまだマシだが、先へ進んでいくと車一台が通るのがやっとと言うような道幅になる。もしかして、この旧道も色見隧道も、この道幅の狭さが放棄された理由なのだろうか。

うん、狭い!

どうもこの山は非常に崩れやすい地質のようだ。常に山肌が崩れているような不安定な印象を受けるし、現に路面には大きな石が転がり落ちている。この危険地帯を回避するためと、道幅の狭さからくる交通のネックということから考えると、確かに改修するより新たに橋とトンネルで抜けた方が根本的な解決にはなるなぁ…などと考えながら、先へ進んでいく。

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