一般国道352号
椎谷岬トンネル旧道
第3部

2019年11月17日 探索・2019年12月10日 公開

真っ直ぐ進む路面と、舗装がひび割れて草が生え始めているセンターラインに、何か心寂しいものを感じる。路肩に生えた草は路面にも徐々に進出してきていて、あの入口のバリケードからすると当然だが、ここを通行するものがほとんどないということを物語っている。しかし、封鎖されてから12年弱の月日が経過しているのにも関わらず、この路面の状態は綺麗な方だと思う。安心して進めるのは探索を行う上で非常に助かるが、なんとなく物足りない気がするのは贅沢と言うものか。

そう思って先へ進むと、やはり思った通りと言うべきか路面が荒れてきていて、その原因が地震のせいか路面のズレが目立つようになっている。ここから見える手前のズレはアスファルトで補修されてはいるものの、その段差は一目見てわかるほど。また、先に見える斜めの草の帯もアスファルトのヒビか剥がれが原因だろう。だが、ここから見た限りでは、これより先の方にも路面が無くなるほどの大きな崩れはなさそうで、ひとまず崩れたところを越えるなんて言うことはなさそうだ。

斜めに見える草の帯までやってきた。路面には結構大きな段差があり、アスファルトが割れている。ここが大崩落したとされている場所だろうか。この草の帯はそのアスファルトが割れた部分に生えているようで、草の密度は濃いが高さが非常に低く、難なく歩いて超すことが出来た。ここまで来ると路面は、荒れていると言うよりも崩れていると言った方がいいだろう。今日は歩いて探索しているが、これが自転車だと、ここを超えるのに若干の不安が残りそうだ。

山側の法面は切り立ってはいるが地盤自体は安定しているようで、路面には落石などの類は見られない。崩落自体は法面に限って言えば収まているように見える。今回は万が一の落石を想定して高所転落用のヘルメットを被っているが、杞憂に終わったようだ。しかし、装備に「しすぎる」と言うことはないし、それなりの装備をしていると安心感が違うので、準備は大事だと実感する。だが、実は本当の危険な場所はここではなかった。先に見える右カーブを過ぎると…

ここまで来ると、かなり路面が荒れてくる。路面に覆ってくる草も多くなってくるし、左の路肩にはデリネータも見えるが、古びて結構傷んでいて、その外側に走っているガードレールの傷み具合も錆びこそあまり見られないものの、その姿は草に覆われていて、ほとんど見えなかったりする。こんな中でも路面に残る黄色のセンターラインは健在で、既に通ることもない車のために、今でも追い越し禁止の規制を行っている。先の方を見ると、路面を覆う草が茂っている場所が見えるが、今は見なかったことにして、路肩のデリネータを見てみよう。

残っているデリネータを見ると、自分を立ててくれた当時の管理者の存在を誇るように、表示したその部分だけちゃんと残したまま傷んでしまったその姿を見せてくれていた。そのデリネータには「新潟県」の文字が非常に誇らしくハッキリと残っており、ここがかつての国道であったことを物語っている。…さて、視線を戻して先へ進んでいこうか。

素敵に茂ってるなぁ!

先の方に見える茂みの更に奥に、ゴールのバリケードが見えているのがお分かりだろうか。その直前が一番茂みが深い。ここに来るまで山側の法面は崩れていなくて、大崩壊したとされている場所がわからなかったが、ここから眺めていると「崩れたのはもしかしてここか?」と言う気がしてきた。消えかけた黄色のセンターラインが、路面の茂みの向こう側に吸い込まれていく。

来たぞっ!こうでないと!(笑)

路面は草に覆われていて、非常に歩きにくい。しかも、先にゴールとなるバリケードが見えている。この状況を喜んでしまっている自分が、なんとなくコワい気もするが(笑)、今はせっかくのこの状況を楽しむことにしよう。路面をよく見ると、草の他に蔦の類も生えてたりして注意しないと歩くのに足をとられてしまいそうだが、慎重に進めば越えられそうだ。それに、ここから見る限りでは法面や路肩も崩れていないようなので、それもありがたい。あとは変に落とし穴などなければ簡単に進めると判断した。これがいよいよ最後の区間だ。これを越えると、反対側の封鎖バリケードに辿り着く。

さて、行こうか

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