一般国道352号
椎谷岬トンネル旧道

2019年11月17日 探索・2019年11月28日 公開

新潟市内から海沿いの国道402号を走っていくと、新潟市西区や西蒲区を過ぎて長岡市寺泊町を通り、出雲崎町へ入っていく。このうち新潟から寺泊までの区間は越後七浦シーサイドラインと呼ばれ、海岸沿いの断崖絶壁の難所を貫く道なのだが、この道は三島郡出雲崎町の住吉町交差点から国道番号が352号に変わる。これはこの交差点から先が352号と402号の重複区間に入るからだが、これを更に先へ進んでいくと柏崎市に入り、観音岬またの名を椎谷鼻と呼ばれる岬に辿り着く。この岬の根元を貫くトンネルが椎谷岬トンネルで、今回紹介するのはこのトンネルの旧道である。

2007年(平成19年)7月16日10時13分23秒に、新潟県中越地方沖を震源とする新潟県中越沖地震が発生した。この地震はマグニチュード6.8、最大震度は6強を記録したのだが、当時は椎谷岬を回り込む道筋だった国道352号は、この地震によって国道に面した山側の斜面の大崩壊が発生して通行止めになってしまう。この迂回路と、もともと予想されていた崖崩れの危険性があるこの道の根本的解決のために掘られたのが椎谷岬トンネルで、2010年(平成22年)1月7日に全面開通となり、それまでの旧道は一部を残して廃道となった…はずだったのだが…。
まずは、現在の地形図を見てみよう。

おやっ!、旧道が国道表記になっている?

これは国土地理院の電子地形図を参照したものだが、上が出雲崎側、下が柏崎側になる。地図上に椎谷岬トンネルの外側を回り込んでいる、赤く色づけされている道があるが、これが今回訪れる旧道である。その他に地図上で目を引くのが観音岬の外側。断崖絶壁であるということが一目でわかる崖の記号が、これでもかと言うくらいに並んでいる。また、観音岬の灯台から出雲崎側の坂の下集落までの区間の山側の等高線の幅が、非常に狭く描かれている。
ということはこの部分は急斜面で、旧道はその急斜面の直下を通っているということであり、上でも書いた「地震によって国道に面した山側の斜面の大崩壊が発生して通行止めになった」と言う、長きに渡って通行止めになった崩壊の地点は、おそらくここだろう。
また地図を眺めていると、通行止めになった旧道は海側の崖と山側の急斜面に迫られた、非常に狭い場所に道を通していたであろうということ、出雲崎側から来るとこの区間は、おそらくかなりの急勾配でアップダウンしていたであろうことが地図から読み取れた。

旧道区間は地図上では今でも国道の扱いになっているようだし、今でも地図に描かれているということは、道路としての供用廃止を行っていないということでもある。なので、この地図だけ見て判断すると旧道は今でも通行できるように見えるし、観音岬を回り込んでいて崖と急斜面に迫られ道幅も狭く、通行のネックだった部分のバイパス的な存在で新道のトンネルが掘られたようにも見えるが、山側の斜面が崩落したとの情報がある以上、そう簡単には通れないだろうと予想して、それなりの準備をして現地に赴くことにした。

この画像は、椎谷岬トンネルの柏崎側の入口である。扁額の金色の文字が現代の新しいトンネルであることを示しているように見えるが、この坑口手前左側に香取神社と椎谷観音堂の入口を案内している看板と、左に分岐している道が見える。旧道はこの左への道で、ここから入れば旧道。ひとまず観音岬の灯台までは道路として今も通行することが出来るようなので、まずはそこまで辿ってみよう!

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