一般国道290号
人面トンネル旧道 人面峠
後篇 第2部

2021年4月3日 探索 2021年4月23日 公開

道端の意外なもの

この景色は旧道の脇にある、今は使われていない採石場の方向を眺めてみたものだ。春の爽やかな青空と杉の木の緑色が鮮やかで、なかなか開放的な風景じゃないだろうか。ところで、前回の最後で書いた、道端にあったとんでもないものとは何か。それは、今は見切れてしまっているが、ここからもう少し右を向けば見えてくる。ただ、そんなに大したものではないと言うことは最初にお伝えしておこう。


なぜこんなところに?!

バナナを持ってこちらを笑顔で見つめているものは、ゴリラのぬいぐるみだった。こんなのが家にあれば、見方によっては実に愛らしくもあったりするのだが、一番の問題は「なんでこんなところにあるの?!」と言うことじゃないだろうか。このぬいぐるみを見つけてしまって、しばしその場に佇んで眺めてしまった。なかなか愛嬌のある顔をしている。もしかして、お地蔵様の代わりだろうか。…そんなことはないか。ふーむ…と思いながら、ふと視線を道端にずらすと…

人為的に切られた、木の切り株を見つけた。切り口はまだ新しく、切ったばかりのようにも見える。切られてから、そう日にちは経っていないだろう。この旧道が放置されている状態なら、この木も放って置かれたはずで、やはりこの旧道には今でも何かしらの手が入っているようで嬉しくなる。問題は、旧道のどのあたりまで手が入っているか。多分、全体には…入っていないかなぁ。

さて、旧道へ戻ろう。左下に見えるのは現道だ。その先には人面トンネルの坑口が見えていて、現道の開通記念に植えられた桜並木も非常に美しい。それに対して旧道は、私が今いるこの辺りまではハッキリとアスファルトが見えるのだが、その先は旧道の趣きよろしくヤブ状態になっている。これはこれで、なかなかそそられる展開じゃないか。右の腰につけているバトルアックス(←ナタ(笑))を持つ手に力が入るし、なんだかワクワクしてくる(←変態(笑))。さ、行ってみよう!。

おお!いよいよか?!

これまでの「何となく手が入っていて整備されている道」じゃなくて、この先からは廃道と言う雰囲気が漂ってくる。道の両脇には笹、右側には杉の木、右下に見える現道よりも数段高いところを走っている旧道。現道が峠の山の麓をトンネルで貫いているのに対して、旧道は峠に向かってひたすら高度を上げながら山中を縫うように走っている。だが、その旧道の行く先は…ヤブ?!(笑)。もうちょい(期待をこめながら)進んでみる。

ところで突然だが、今日の私のいでたち。頭はお馴染みのヘルメットに長袖のトレーニングウェア、背中にはサブカメラのD90を収容した小型のカメラリュック、腰にはクマ鈴にナタとノコギリ、足は長靴と言う恰好だ。山の中に突っ込んでいく時には、いつもこの格好をしている。あ、厚手の皮手袋も忘れずに。何を掴むにも安心して掴めるし、安心感がある。

なぜ皮手袋?とお思いの方もいらっしゃると思うが、こういった廃道敷には棘がある植物も結構存在しているし、ゴツゴツした大きな石を掴むときもあったりする。ニトリルの手袋は手軽で軽くて使いやすいが、棘は貫通してしまうことがあったりして、破傷風の危険もある。そこで厚手の皮手袋なら、こういった棘も貫通しないし丈夫だし、何より手をケガする可能性は非常に低くなるのでオススメだ。

いよいよヤブに突入だ。しかし、私には心の支えがある。それは前方に見えている、おそらくは路肩であろう位置に今でも残っているガードワイヤーの支柱だ。俗に言う「路肩防護施設」と言うやつ。と言うことは、あそこにはガードワイヤーがあるかもしれないし、あそこから見える風景を見てみたい。
これを見てる方の中には「何を言ってるんだ」と言う方もいらっしゃると思うが、こういった旧道や廃道を探索する時には、誰だってヤブの中に突っ込んでいきたくはないと思う反面、こうして残された構造物の姿が心の支えになっている場合も多いものだ。私も、あそこからの風景を見てみたい。

ヤブの先へ。

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