一般国道290号
人面トンネル旧道 人面峠
後篇 第1部

2021年4月3日 探索 2021年4月19日 公開

2021年4月。今年の冬は雪が多くて、この人面峠もかなりの雪に覆われたことと思う。3月に入ってからこれまで、何度か下見に来たものの、積雪の多さに閉口して時期を伺っていたのだ。地球温暖化の影響か、暖かくなり始めてからは急速に気温が上がり、この通り新潟としては早い時期に桜が満開となっていた。
ここは人面峠の旧栃尾市側。人面トンネルの開通の際に植樹されたであろう桜並木が満開になっていて、これから行う探索の成功を予め祝福するかのようだ。だが、これまでの経験から、こういう時は大抵…気にしないようにしよう。

満開の桜並木を見上げると、現道よりも一段上がった斜面の上にガードロープの支柱だろうか、規則的に、しかも等間隔に、白いポールが並んでいる。あれは間違いなく旧道の跡だろう。と言うことは、これから私が訪れる道筋じゃないか。現道の開通記念に植えられた桜並木の裏側を回り込むように旧道が走っているとは、なんとも粋じゃないか。それでは、入口に向かおう。

ここは桜並木から少し栃尾市側に下ったところだ。トンネルから出てくると左側に、今は使われていない採石場があり、その脇から山の方へ向かう頼りなさそうな細い道がある。これが人面峠の旧道、栃尾市側の入口。この手前の左側に車が停められる駐車帯がある。そこに車を停めて準備をして、いよいよ突入開始だ。

旧道の入口に立って、これから進む方向を見てみる。
うむ、なかなかいい旧道じゃないか。だが、この人面峠だけは、この入口の印象は当てにならないと言うことを私は知っている。第1部でそうだった。この先もそうでないといいんだけど。すっきりと晴れた今日は暖かくて探索には絶好の環境だ。入口の桜並木に、冬枯れの旧道。すっきりと見えた道筋。いかん、非常にワクワクするのは気のせいか。

古びたアスファルトが伸びる先には杉林。旧道はその中を突っ切っているようだ。だが、道幅としては狭すぎるような気がするのは気のせいか。これはおそらく現道を切り開く際に旧道の一部が削られたからかもしれない。ま、それはここから進んでいけば、おのずとわかることだ。それよりも目の前のこの旧道が楽しませてくれそうなことにワクワクしている。



旧道を少し上がって、杉林に入る直前に振り返ってみる。奥の山並みと手前の山並みの間には「栃尾の油揚げ」で有名な長岡市栃尾(旧栃尾市)、手前にはこの峠の名前の由来になった人面の集落がある。こうしてみると集落からこの峠までは結構な標高差があり、地理院地図で標高を見てみると、人面集落の田圃の真ん中にある三角点は57.2、人面峠の脇にある三角点は197.4、集落内の神社の脇にある写真測量標高点は114を指していた。
チェンジ後の画像は、その地理院地図の画像だ。人面峠のみならず、近隣の標高がわかるので地形的にもわかりやすいと思う。

視点を変えて、現道と旧道の関係性を見てみると、現道の駐車帯が作られたために旧道の路盤が削られたような印象を受ける。よく見てみると、ここだけ旧道の幅が狭くなっていて、現道の建設のために旧道の路盤の一部が削られたというのは間違いなさそうだ。

さて、それではいよいよ旧道に入っていこう。冬枯れした草と緑が眩しい常緑樹、それに青空。それは春ならではの見事なコントラストだ。旧道と言うと、何となくだが暗~い雰囲気に包まれた鬱蒼とした雰囲気を思い浮かべるかもしれないが、実はそんなことはなく、私も経験しているが思いがけず明るく見事な風景を見せてくれる。そして、それは非常に美しい。
通行が無くなった道路は管理する者もおらず、荒れ放題になるのが通例だし、この人面峠もそうなのではと思ったが、実はそんなことはなかった。入口だけは。


さぁ、人面峠はこれからが本番…かもしれない。
と思ったら、道端にとんでもないものを見つけた。それはいったい…?!

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