一般国道290号
堰下橋 第3部

旧 新潟県一般県道上谷地越後長澤停車場線)

2019年12月10日・2020年1月18日 探索
2020年3月7日 公開

のどかな道の先

いや~、のどかだ!

どこからどう見ても「田圃の畦道」と言う雰囲気のこの道が、その昔は国道だったかもしれないなどと思うと、こりゃあもう楽しくて仕方がない(←変態(笑))。
その道を砂利を踏みしめる音を鳴らしつつ、のんびりと歩きながら辺りに何かネタはないかとキョロキョロして歩いていく私は、どう見てもアヤシイ人物に他ならないじゃないか(笑)

右は田圃、左は法面と言うか、山の斜面。正面のカーブの先から、ミゼットマツダT360でも可(笑))などが走ってきたら、ものすごく嬉しい(と言うか、当時は走っていたのだろうが)。
道はこの先で左右に分かれている。右側の道は画像の中で言うと、中央から右に水平に分かれていく道が見えると思うが、この道である。一見すると廃道っぽくてそそられるが、この道は県道の旧道ではない。私はもちろん左側の道へ進む。

左へ進む道を先へ進むと、道は緩やかな上り坂になる。路面は丁寧に管理されていて、下草も刈り払われて綺麗だし、左の斜面側も笹が綺麗に刈り払われている。この画像を改めて見ると、この部分は山の斜面の末端部分を少し削り取って、そこに道を通した。そんな風にも見えるし、小さい切り通しのようにも見える。

この画像は山側の斜面の路面近くを、しゃがんで撮影したものである。笹と苔で非常にわかりにくいが、この斜面には高さこそ低いものの、擁壁らしき施工がきちんとされている。この道が仮に最初から田圃の畦道なら、このような施工はされなかっただろうから、やはりここは県道だった。そんな気がする。

この画像だと、より明確に山側に組まれた擁壁の様子がわかって頂けると思う。こうしてみると、擁壁と現在の路面との間に結構な隙間があるのが見える。現役当時のこの道は、今よりも1.5倍ほど広かったのかも?と言う気がしてきた。これで路肩に「新潟県」と刻まれた標柱でもあったら、もう最高なのだが…。辺りをくまなく探したが、残念ながら見つからなかった。

道は先ほどの微妙な広さを保ったまま、更に先へ進んでいく。路面がきちんと管理されているこんな調子だから、最初に思った通り、これは「探索」ではなく「散歩」の様相を呈してきている。今年は暖冬のせいで新潟県でも雪が非常に少なく、今こうして歩いているこの道でも、例年なら冬になるとどこが道かわからないほど雪に覆われて辺り一面銀世界になっていたはずで、そうなるとこの時期は探索どころではなかったと思う。

道は左の台地(と言うか、丘と言うか)を回り込むように通りぬけていて、それを過ぎるとこのような一直線の道になる。気持ちいいほど真っ直ぐだ。こんな短い区間の旧道でも当時の姿を想像すると楽しく、これが旧道を歩く楽しみの一つなのだ。夏のこの区間は見ての通り日陰が一切ないと思われるので、向こうから来た馬車や牛車は、先ほどの堰下橋の近くで鹿熊川に降りて(実は降りれそうなところが一カ所あった)、あの清らかな水で喉を潤して休憩していたのかも?。で、その脇で昼飯のおにぎりなどを食べてたりして…そう考えると非常に楽しい。

振り返って、回り込んできた道を改めて眺めてみる。こちら側から見た風景の方が当時を偲べるかもしれない。そんな気がした。やはり、ここから見ても道の広さは明確で、今の道幅の1.5倍ほどの広さはあったようだ。これなら荷車や自動車もなんとかすれ違うことが出来る。
この道は、この先にある「上谷地」の集落と「越後長澤駅」を結ぶ道だったので、人の往来のみならず、当然そこには荷物の往来もあったはずだ。とすると、馬車や牛車以降には、ここにはトラックも走っていたことになるなぁ…などと、眺めながら考えていた。

真っ直ぐ続く道。ここまで真っ直ぐ一直線だと気持ちいい。路面もやっぱり広いなぁ。当時からのものかどうかはわからないが、道幅はさっきより更に広くなり、今では余裕ですれ違えるほどになった。後年に町道か農道として再整備されて道幅が広くなった可能性もある。右側は田園になっており、田植えの時期には水が張られて苗が植えられ、水田の美しい風景が広がるだろう。あと200mくらいで現道と合流して、旧道区間は終わる。

旧道と現道の合流点に立って、それぞれを眺めてみた。右が現道、左が旧道だが、ここから見てもわかる通り旧道は中央にある丘を回り込むように道が通っていて、堰下橋で現道に繋がる。それにしても、道幅がこんなに違うものかと改めて思った。また、ここから右の現道を眺めてみると、旧道が回り込んだ丘をあっさりと貫いて、新堰下橋へ向かっている。改めて現道を見てみよう。

これでもかと言うくらいに丘を切り裂いているのがわかって頂けるだろうか。局所改修工事で新たに道を作るときに旧道が避けて迂回した丘を、新道はあっさりと切り通しで貫いている。先に見える青看板のふもとに堰下橋があるはずだ。その新道が通っている切り通しは丘を綺麗にV字型に切り取っており、ここまで来ると芸術的と言う気がする。

さて、後は調査編だ。この旧道がどのような変遷をたどったのか、国道に認定される直前まで旧版地形図で追跡してみよう!。

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