一般国道290号
堰下橋

旧 新潟県一般県道上谷地越後長澤停車場線)

2019年12月10日・2020年1月18日 探索
2020年2月24日 公開

出会いは突然

2019年の12月。今年の冬は雪が少なく(と言うか、全く降ってない)、記録的な暖冬などとニュースで報じられる中、街はそんなことはお構いなしとばかりにクリスマス一色に彩られ、もうすぐ今年も終わりと言う、冬のある日。
私は三条方面での仕事を終えて五泉市方面に向かうために、一般国道290号を通って次の場所へ向かおうとしていた。この国道290号は山間部を通るため、街のクリスマス色一色の雰囲気にやや食傷気味だった私には、その喧噪を逃れるという意味でもちょうどいい道なのだ。
そんな街の喧騒を外れて、周りは非常にのんびりとした風景。こんな道をのんびりと車で走っていた時に何気なく右側を見ると、突然その光景が私の目に飛び込んできた!。

おやっ?この道形は?!

ちょっと待てぃ!と思わず口に出て、その瞬間(ちゃんと後方を確認して)急ブレーキをかけたのは言うまでもない。これは降りて確認しないわけにはいかないだろう。このような道形で、しかも橋が2本架かっていれば、普通はそのどちらかが旧道になるからだ。この国道290号はこれまでに何度も通っているが、この橋を見つけたのは初めてだった。つまり、いつも通り過ぎていたことになる。やはり、周囲をちゃんと確認しながら運転しなくてはいけない(もちろん、安全確認のためだよ)。
では、この場所がどこなのか地図で確認してみよう。おなじみ「地理院地図」である。

国土地理院の電子地形図(タイル)に注釈を5ヵ所追記して掲載

この橋が越えている川の名前が「鹿熊川」。鹿といい熊といい、最近の暖冬では何かと物騒だが、この川はもちろん物騒ではない(←当たり前だ)ので、安心されたい。山間によく見かける、実に穏やかで清らかな普通の河川だ。この鹿熊川を越える地点に、この橋は架かっている。
国道290号が県道から一般国道に昇格したのが1970年(昭和45年)4月1日なので、今から約49年前のこと。この橋が一般国道の時代のものか、それとも一般県道時代のものかは橋の標柱を見ればすぐにわかるだろう。もしかすると、一般国道時代にも使われていたのかもしれない。それにしても、ここにこのような橋が残っていることに驚いた。よく残っていたな、と言うのが正直なところである。

左の橋の方が明らかに新しい。右の橋は昭和20年から30年代と言ったところか。とすると、右の橋の方向が旧道だろう。ここから見る限り、橋の上は舗装されているものの、その先はダブルトラックが見えることから未舗装と思われる。昔の道路は未舗装の道がほとんどだったのでそれはいいのだが、道幅が恐ろしく狭い。ここから見る限りは左の現在の国道290号は新道で(おそらく局所改修工事だろう)、これを造った際に右の道は旧道になったものと思われる。そう考えて左の国道の前方を見ると、丘を切り通しで切り拓いて、そこに道を通したようにも見えるから、まず間違いないだろう。
今度は現在の国道の橋を渡って、今とは反対側から見てみよう。

左に見える橋が旧橋。私は国道290号の現道の方に立って撮影している。こうしてみると、新道(現道)と旧道の関係がよくわかるかもしれない。私はいつも奥から手前側に向かってこの橋を通ってきたので、この橋はちょうど手前の森に隠れてしまって、私が来る方向からはたまたま右側を見ないと発見できない場所に旧道はあった(←言い訳)。

新道と旧道の分岐点に戻って、もう少し橋に近づいてみることにする(もちろん古い橋の方に)。この画像は旧橋から先に続く道の様子を撮影したものだが…その道幅は実に狭い、まるで田圃の畦道のような道が旧橋の先に見えており、丘を回り込むようにしてその先に続いている。その道には明瞭なダブルトラックが見えるから、きちんと管理されている道であろうことはわかるのだが…。
ま、まぁひとまず、橋を調べてみよう。そうすれば、この先に続く道の正体も自ずとわかる気がする。

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