一般国道290号
堰下橋 第2部

旧 新潟県一般県道上谷地越後長澤停車場線)

2019年12月10日・2020年1月18日 探索
2020年3月3日 公開

おおっ!この橋桁は!

堰下橋を横から見た画像だ。単純に見ると何の変哲もない単純な上路プレートガーダー橋だが、欄干の中央に通っている鉄の棒(欄干の補強の意味合いもあるのだろう)や、橋桁の色の褪せ具合が長年の風雪に耐えてきた歴史と風格を感じさせてくれる。で、その橋桁をよ~く見てみると、橋桁の右側に何やら文字の跡が見えるようだ。もう少し近づいて見てみよう。

これは2020年1月18日に撮影した画像だ。橋桁の直前に重機が止まっている。この重機は、この橋の近くで行っている鹿熊川護岸工事に使用される重機のようで、使わない時にはここに停めてあるようだ。ところで、この前の画像に見られた橋桁の文字は、ここでははっきりと読み取ることが出来る。「大島工業KK」とあり、おそらくはこの橋を架けた企業なのだろう。詳しいことは不明だが、これだけでもこの橋の素性が何となくわかるような気がして、探索者としては嬉しい限りだ。

今度は反対側から橋を眺めてみよう。…とは言っても、一見すると何の変哲もない橋だが、I型鋼の桁の上にコンクリートのプレートが乗っかって橋になっている、プレートガーダー橋の構造がよくわかる 。橋下を流れる鹿熊川は水が綺麗で、橋の上から川を見ると泳いでいる川魚が見えるほどきれいな水だ。田舎育ちの私は、小さい頃の当時の家の近所にこうした水が綺麗な川がいくつも流れていたこともあって、こうした川を見るとつい「水遊び」や「釣り」をしたくなってしまう(←ホントに水辺まで降りようかと思ったのはナイショだ(笑))。

釣り竿もないし、水遊びしたい気持ちをぐっとこらえて(笑)、現道の橋を確認してみよう。これは堰下橋側にある右の親柱だ。「昭和六〇年十一月」とある。昭和60年は1985年。ということは、おそらくは局所改良か何かでこの付近の現道が開通した際に、この橋も架けられたということだろう。国道指定が1970年(昭和45年)4月1日なので、堰下橋やその先に続く細い道が指定から15年の間、国道だった時代もあったということになるが…

続いて堰下橋側の左の親柱。ひらがな表記で「しんせきしたはし」とある。銘板の左下部が白華現象で白くなっているが、その他は特に傷んでいるところもなく至って普通の橋である。こんなところに旧橋を見つけて車を止めて歩き回って、つぶさに観察しまくっている私は、他から見るとどう見えるんだろうと思う時がある。
きっと怪しいヤツだと思われてるんだろうな(笑)。
この新堰下橋も、竣功から35年近くが経過していることもあって、堰下橋と同じような苔に覆われつつあり、ここだけ見るとまるで旧道の橋のような風格を出し始めている。
さて、今度はいよいよ旧道に入っていこう。

さーて(笑)

堰下橋に戻り、旧道と思われる道を眺めてみる。これは堰下橋から先を眺めた風景だが…この頼りなげな道。一言で言って細い。1975年(昭和50年)台でも日本の道路は未舗装路が多かったので、舗装がされていないのはわかるとしても、国道と言うには余りにも細すぎるような気がする。
しかし堰下橋を越えた先には、ここから見えるこの細い道以外には他に道がなく、結果として旧国道290号と考えられるのはこの道しかないのだ。

だがしかし(笑)。ここから見える道は、どう見ても(多少立派な)田圃の畦道ではないか。しかも、路面は立派な砂利道(その昔はこれが当たり前だったということは、頭では理解してるのだが)だし。路面の砂利は新しいものも含まれていることから、定期的に敷き直すなど道としての管理は受けているようだ。

いいねぇ~

田舎の畦道!…と、違った。ここは国道の旧道(県道)だった。
国道と言えば、今でも3ケタ国道の中に未舗装路区間と言うのはあって、中には階段国道なんてのもあるのは有名な話。その中でもとりわけ有名だったのは国道289号で、新潟県三条市と福島県只見町の間にある八十里越の階段国道が有名だったが、新道の開通によって階段部分は国道指定から外れ、ただの登山道となってしまった。現在、階段国道で唯一残っているのは青森県外ヶ浜町の竜飛岬(たっぴみさき)付近にある国道339号で、竜飛岬の丘の上から海沿いの漁港に通じる、およそ400mの階段区間が国道に指定されている。 きっと県道なんかでも日本全国探せばありそうな気もするのだが、まだ探せていない。

これから、たぶん旧道と思われる道を辿ってみる。この旧道の探索時には、ここを訪れるのは2回目で、この道が最終的にどこに繋がっているかは事前に地形図で下調べはしてあるので、わかってはいるのだが、果たしてどんな風景を見せてくれるのか、それは地図ではわからないものだ。地図上で見るのと自分の眼で見るのとでは全然違う。
先へ進んでみよう。…ただ、いかんせん探索と言う雰囲気ではなく、どちらかと言うと散歩と言う感じに近かったりするのだが…(笑)。

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