一般国道252号旧道
三坂峠
 第9部

2020年4月12日 探索・2020年5月30日 公開

さぁ、峠目指して先に進もう。最初に通った十日町側の区間よりも、こちらの魚沼側の方が峠までどう考えても長かったが、泣いても笑ってもあと四分の一だ。ここに来て路面に灌木が多くなってきたが、最初の「茂み」に比べればなんてことない。むしろ旧道化してから遥か44年の歳月が過ぎていることを考えると、およそ半世紀の時間が過ぎてもこれだけ道幅が保たれているというのは歩きやすいと言えるかもしれない、などと思っていたのだが…

結構キテますなぁ!

前言撤回(笑)。ヤブはそうでもないが、枯れた下草が積もりに積もってフカフカになっていて非常に歩きにくい。とは言え、今回は長靴を履いているのでお構いなしだ。長靴バンザイである(笑)。
今の時刻は14時40分ころで、気温が一番上がる時間帯であることも手伝ってか、暑くて仕方がない。こういった峠道の旧道には余り日陰はないので燦燦と太陽の光を浴びることになるから日焼けもするが、被っているヘルメットの中から汗が落ちてくる。

三坂峠の頂上がだんだん近づいてくる。魚沼と十日町を結ぶこの峠は古くから多くの人や荷が行き交ったと思われるが、それにしてもこの峠を越すには大変だっただろう。今は三坂トンネルで一気に抜けているので短い時間で抜けられるが、この山道が現役だったころは車でもそこそこの時間がかかったことと思う。おまけに初期の頃は舗装されていない砂利道のはずで、バスなども通ってたんじゃないか、などと当時の交通を思い浮かべながら峠目指して歩いていく。もう少しだ。

峠が近づいてくる。左に少し見えている小山はおそらく現道時代からあったものだろう。その手前には一見すると橋のようなものが見える。橋とするなら、おそらく沢か何かを越えていたのだろうが、使用されているコンクリートは遥か昔のものだから、注意して進まなくてはいけない。それにしてもこの三坂峠、およそ50年前に旧道化した道としては当時の道形をよく保っている道だったと思う(前半のヤブには閉口したが(笑))。
ところで、この先の道は左カーブになっている。そのカーブを抜けると…

峠だ!

いやぁ、結構長かったぞ三坂峠。あとはこの切り通しを抜ければ自転車が待っているはずなんだが、その前にこの道幅は狭すぎやしないか?。道全体を眺めてみると、どうやら右側の法面が崩れて狭くなっているようだ。もちろん崩れたのは旧道化してからだろうが、右側の路面に細かい石が散乱しているところを見ると、この斜面は崩れやすいのかもしれない。

先に見える右カーブを抜けると、いよいよ三坂峠完抜だ。路面に鮮やかな緑の草の新芽が見える。これが初夏を迎える頃になると新芽から成長した草が茂り、木々からも新緑の若葉が芽吹いて、ヤブ漕ぎしないと通れない状態になってしまうのだろう。やはりこういった探索は下草が冬枯れしている初春の頃が一番だと実感した次第だ。

正面に見える杉林は十日町市側にあるもので、ゴールはすぐ目の前だ。この付近は斜面が崩れていることもなく、峠本来の切り通しの姿を見せてくれる。ところで、この景色から見てもわかるように、この三坂峠は峠を挟んで前後の風景が一変する。つまり十日町側は森の中を進む道で、魚沼側は山の地形に沿って進む道で、その境の地点がまさしく峠のこの辺なのだが、日陰と日向でくっきりと明暗が分かれているのが面白い。

振り返って、十日町側から魚沼側を眺めてみる。こちらの方が道幅がより分かりやすいだろうか。多少法面が崩れているので往時の道幅ではないだろうが、それでも十分に道幅は広く、対面通行でも楽々通れそうな幅がある。それに、この切り通しがものすごく大きな切り通しで、これならいっそのこと隧道を掘った方が早かったんじゃないかと思ったりもして、周囲をウロウロして確認してみたが隧道を開削した跡もないようだし、やはり最初から切り通しで開通した峠のようだ。

抜けた!完抜!

15時10分、自転車を回収して最初に撤退した地点に到達!(リンクを開くと2018年に訪れた時の画像が開きます)。ヘルメットを脱ぎ、背中の重いリュックを下ろして、市販の水のペットボトルに持参した塩を一振り混ぜた水で乾杯だ!(本当ならここでビールなんだろうけど、そうなると帰れなくなってしまう)。塩を多めに入れたので本来ならしょっぱいはずなんだけど、非常に美味しく感じた。それだけ汗をかいて塩分が不足していたのだ。
2年前に訪れた時と同じように十日町側は木々のおかげで非常に涼しく、今までの静けさが嘘のように小鳥の囀りが聞こえて、爽やかな風が吹いている。おかげで塩入りの水と相まってスムーズにクールダウンすることが出来た。自転車の後ろに見える灌木が芽吹いて、この場所に緑の壁が出来るのも、そう遠くないだろう。


さて、後は十日町側の峠道を下りて現道の三坂トンネルを通り、魚沼側に待機してベースとなっている車に戻るだけだ。残るは机上調査だが、新型コロナウィルス感染症のおかげで新潟県立図書館が閉館しており、調べようにもなかなか調べられないと思うが…多少時間がかかると思うけど、出来るだけ掘り下げてみよう!。

第10部へ