山形県一般県道349号
鶴岡村上線旧道 笹根隧道

第6部 「廃道のストリートランプ」

2023年10月14日 探索 2024年4月23日 公開

廃道のストリートランプ

私の進路を塞いでいるガードレールから先を覗き込んでみる。ここから先は、普通に通れる旧道の雰囲気を保ってそうだ。ここから覗き込む景色は隧道前と同じく、なんだか本来の道幅以外に結構な平場がここにもあったりするのだ。はたして、この広い場所は何だろう?。現道を工事する際に設置された現場事務所などの跡だろうか。

こうして画像で見てみると、森の脇を走っていた道の跡がよくわかる。路面に積もった枯葉の隙間から傷んだアスファルトが垣間見えているが、こんなところの一つ一つが廃道の雰囲気を盛り上げてくれると言えよう。
さて、それではこの「通せんぼのガードレール」を越えて、先へ行ってみよう。

前の画像にも見えているが、これがガードレールを越えた景色。左側にはなぜか電柱も立っていて、そこには電線が架設されているのが見えるだろう。と言うことは、この道はこれまでの数多くの道と同じく、電線管理道としても活用されていると言うことだ。山形県の光回線の保守道としても残されている道。古き道の第2のご奉公として余生を送るには、一番いいのではないかと思えてくる。
幸い、ここは荒沢ダム沿いで風光明媚な場所でもあることだし、毎度言っていることだが、その美しい景色を残したままで、この道にもっと違う何かの活用法がないのかと思ってしまう。

廃道の傍らに立っていた照明灯の柱。これも現道時代の名残だろう。その柱(ここでは電柱と呼ぼう)にはツタが絡みつき、今は使われていないと思われるがどうだろう。でも、仮にこの照明灯が今でも律義に点灯しているとしたら…それはそれでなかなかコワいものがあるな(笑)。

おまけに雰囲気からして、仮に今でも点灯していたとしても、それは決して明るいものではなく、薄暗くボーっと灯るものだと思う。…もしそんな道なら、心霊スポットになってしまうこと請け合いだろうな(汗)。道は右カーブで荒沢ダムに沿って進んでいく。

真っ青、という訳ではないが、秋ならではの高い空が美しく、そこに生える秋色の緑が目に眩しい。道はここから左にカーブすると、一路現道を目指していく。ここから見えるカーブの頂点(?)にはカーブミラー。通行する車や人がほとんど皆無になっても、彼はこうして道路の安全を守るために、今でもここに立ち尽くしている。

なんだかんだとこれまで日差しの下にいたので、秋と言えどなかなか暑く、じっとりと汗ばんでいる。水分の補給もあることだし、このあたりの日陰で、ひとまず休憩することにしよう。さぁて、この辺にどこか日影はないかな…。

左カーブに近づき、あたりを見回してみると…うーん、道路上に日影と言うものはなかなか無いようだ。その代わり、ガードレールの外側にはありそう。仕方ない、あそこで休憩するか…と、カーブの外側に向かってみる。でも、なんだかガードレールの外側に入ると、足場はほとんどなさそうだな、と言う気もする。

それにしても、道幅はこれまでにないほど広い。おまけに路面は非常に綺麗で、ここだけ見ると、とても廃道と言う雰囲気には見えない。まるでどこかの峠道の左カーブ、と言うようにも見えるから、ここまでは時期によっては多数の車が出入りするときもあるのかもしれないなぁ。

左カーブを回り込んでしまうと、このように真っすぐな道になる。木があっても低木か、路盤とは離れていて日影がほとんどない。こうして見ても、この辺りには残念ながら休憩に使えるような日影はなさそうだ。仕方ない、道端に寄って休憩することにしようか。

それにしても…どうだい、この暑そうな道(笑)。
私は今、持参した麦茶を飲んでいるが、リュックの中に入れていたせいか、すっかり温くなってしまっている。これが冷たい麦茶なら爽快そのものだっただろうな。それに、この強い日差しのアスファルトの照り返しがそのまま顔に来て、私の顔は既に真っ赤に日焼けしてしまっている。今日、風呂に入るときにはヒリヒリしそうだ。

休憩しながら道を眺めてみると、路肩を護るガードレールは白いものもあれば赤く錆びたものもあり、その対比がなかなか楽しい。ここから先は現道の合流点までさほど距離はないはずで、この地図上だと旧道と平行するように現道が走っている。たぶん…左上側が現道の路盤だろうか。合流までもうすぐなのは間違いないだろう。

三姉妹の隧道の探索もこれで次女と末っ子が終わり、残るは長女の探索だけだ。なぜに姉妹なのだというツッコミは、この際しないでほしい(笑)

この道の探索もあと少し
明るい日差しと深い緑に包まれたこの旧道
探索の終焉を迎えるのは少々寂しいが
合流まで楽しんでいこう

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