一般国道7号
明月橋旧橋

2020年1月26日 探索 2020年2月4日 公開

新潟県村上市北中。国道7号を村上市から北上して蒲萄トンネルや大毎トンネルを越えて進むと、この集落が右側に見えてくる。 この集落を過ぎると国道7号は海側へと進路を変えて勝木を目指すが、この北中の集落は(と言うか、このあたりの集落は、の方がいいかもしれない)やはり山間の集落と言った感じで、冬の積雪期になると非常に雪深いことと思う。さて、今回の主人公を務める明月橋はこの北中の集落を少し過ぎた、長閑な田園風景に囲まれたところにあるのだが、その場所はどこなのか地図を見て確認してみよう。おなじみ地理院地図である。

国土地理院の電子地形図(タイル)を掲載

右下から左上に斜めに横切っている、赤で示された道が国道7号だ。この左上に「明月橋」と記載があるが、この橋の右側にいかにもと言う感じで小径があるのが見えるだろうか。この小径には橋の記号も何もないが、川を渡っている以上は洗い越しでもない限りは必ず橋が架けてあるはずで(厳密に言うと洗い越しも橋だが)、今回のレポートの主人公は、この地図にも載っていない橋である。

ところで「洗い越し」とは、普通は道路が河川を横断するときには、その河川の上を橋で渡るようになっているが、これを道の「上」(路面上と言った方が良いかもしれない)を川が流れるようにして、渡れるようにしてあるものをいう。洗い越しは今は非常に少なくなっていると聞く。


ここはその洗い越しではなく普通の橋だが、かなり年季が入った貫禄のある橋で、このような橋を見るのは国道113号辯當澤橋や栗松沢橋以来だった。栗松沢橋もたまたま見つけた橋だったが、今回も旧道や廃道の調査とは違う別の用事で上大鳥の集落の近くまで行った帰りにこの付近を通り、本当にたまたま見つけたのがこの橋だ。本編が始まる前にその姿を見るのは些か興醒めするかもしれないが、早くお見せしたくて仕方がないので(笑)、その橋を少しだけご覧頂こう!

どうだろう、この貫禄!

長い年月ここに存在するからなのか、人工物と言えどもこの長閑な田園風景の中に溶け込んでいるような雰囲気のこの橋、一見すると結構傷んでいる様子にも見えるが、今までよく持ちこたえていたものだ。この橋は老いていながらも立派に「川を渡る」と言う役割を果たし続けているじゃないか。以前は国道7号(もしかすると、旧制国道10号だったかもしれない)として、多くの人と車を通していたこの橋。この風景を眺めていると、360ccの軽自動車や自転車に乗ったおじさん、ほっかむりして背中に背負子を背負っているおばあちゃんに、ツインテール(両側三つ編み)を揺らしながら歩く女の子の姿など往時の様子が目の前に蘇ってくるような風景で、今回撮影した多くの画像の中で非常に好きな一枚だ。欲を言えば道の脇に立っている電柱が木製で、新緑の季節だったらもっと良かっただろうなぁ…と、些か贅沢なことを思ってしまった。

この画像の左側を見ると一段高いところに現在の明月橋と国道7号が通っているが、この橋とその前後で現道に接続している道は、現道に比べてかなりの高低差がある。左側中央に何やら縦長の看板らしきものが見えるが、この看板は現道に設置されているので、その高低差がお分かり頂けると思う。この高低差は改良工事で現道を作るときに盛り土されたか、もともと段々畑のようになっていた田圃の上に現道を通したための高低差と思われる。この辺は後ほどの机上調査で調べることにしよう。

それでは、これからご案内しよう。
歴史を重ねて自然の風景に溶け込む、この橋へ!

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