一般国道351号旧道
榎峠・比礼隧道
第2部
2019年5月2日 探索・2019年6月17日 公開
前回の地点から先へ進むと、道幅がやや狭くなってくる。砂防ダムが設置されていた右端の川も細くなって渓流となり、道に近くなってきた感がある。そのせいか空気が非常に清々しく涼しい。探索を始めた浦瀬町からそう離れていないはずだが、少し山へ入るだけでこんな自然が待っているとは、羨ましい限りである。
森の中を一直線に進む旧道。新緑の緑が空の青空と相まって、コントラストが非常に美しい。左側が山側で、切り立った壁になっている。この道が最初に作られたときに開削して作られたものなのだろうが、なかなか立派なものだ。
今日は天気も良く気温も上がってきて、だんだんと暑くなってきた。目の前に小さな橋が見えるが、欄干はなく名前も見当たらない。沢を渡るだけのコンクリート製の簡易な橋なので、設置されてないのだろう。緩い勾配の山の稜線に沿って細い道がヒョロヒョロと進んでいる。道はこの先かなり高度を上げながら進んでいき、つづら折りを抜けると…
急なヘアピンカーブを抜けると、この展望。このカーブの左側は城跡になっているのだが、原油井の跡があるからと立ち入り禁止になっている。だが、カーブ付近は少し開けているので休憩するのに最適。先ほどから自転車で探索していたので多少疲れ気味だったが、ここでしばし休憩と水分補給したので、だいぶ回復した。
せっかく辺りが開けて道が明るい雰囲気になってきたのだが、また森の中へ突っ込んで行く。一見すると、この先に隧道があるように見えるし、実は私も資料に載っていない隧道があるのか?と一瞬期待したのだが、実はそんなことはなかった(←当たり前だ)。その代わり…
森の中に入って振り返ると、なんともいい感じの標識を見つけた。左の標識を御覧頂きたい。走行している車に向かって落石が発生している。その上、一番大きいヤツは今にも走っている車に直撃しそうじゃないか。なかなかよく表現されている標識で、警告を発するにはこの位のシュールさが必要なのかもしれない。ひとまず、この車はなんとか逃げ切って頂きたいものである。
標識を見た後に山側を見ると、コンクリートブロックに守られた小さいお地蔵様を見つけた。注意して見ていなければ見つけられない場所にあるこのお地蔵様を、たまたま私が見つけてしまったと言うことは何か縁があるのだろう。私が探索中にこのようなお地蔵様や祠や馬頭観音像を見つけた際には、そのまま素通りしない。お供えするものを何か持っていれば良かったが、あいにくこの時には何も持っていなかったので、手を合わせて深々とお辞儀をし、その場を後にした。
いいねぇ!
この美しい景色はどうだ!。左側につづら折りありの標識、そこはかとなく路面に積もった枯葉と、抜けるような青空。奥に見えるカーブミラーと、手前の標識のサビ具合。壊れかけのデリネータ、実にいいじゃないか!。
この道はこのまま残っててほしい。思わずそう思った。このまま進んで先に見える左カーブを曲がると…
若干道幅が広くなった印象を受けるが、それでも国道として考えると十分狭い。しかし、新緑の緑の美しさと青空のコントラスト、道のサビれ具合がなんともいい。左右の道の様子を見てみると、ここは切通しだろうか。
旧道を通っていると、このような景色に出会うことがよくある。それは決まってどこも似たような景色になるのだが、その雰囲気はやはり道の歴史によって変わってくるもの。その道によって変わってくるそういう景色が、私は大好きだ。だから旧道探索が止められないのかもしれない。
ここをのんびりと歩いてみたい。そう思って、この手前から歩いて探索した。途中立ち止まると、賑やかな小鳥のさえずりが山全体に響くように聞こえる。右側を流れる川のせせらぎがアクセントになって、心地よいハーモニーとなって響いてくる。鉱山二つを結んで開通したこの道は、当時は人通りも非常に多く、かなり賑わっていたことだろう。立ち止まってこの道を眺めていると、当時の姿が思い浮かばれる。
この先、道はまだまだ標高を上げて最高点近くになり、その最高点の付近に比礼隧道があるはず。ここからさほど遠くないはずだ。
比礼隧道目指して辿っていこう!