一般国道291号
東山トンネル旧道

第1部

2021年8月28日 探索 2021年10月16日 公開

探索の始まり

現道の東山トンネルの脇から伸びる、旧道に入っていく。真っ直ぐ正面から山に向かっていく現道に対して、旧道は脇を流れる朝日川に沿って山を回り込むように進む、いかにも旧道と言った趣だ。ここから見ていると、地形図通りに崖の下に道が張り付くような恰好で、この旧道が現役のころには災害と隣り合わせだったんじゃないかと言う気がしてくる。

現道のトンネル脇にある茂みの中を覗き込んでみると、そこには玉石積みの見事な石垣が隠れていた。思わず草を刈りこみたい気分に刈られるが、今回はやめておこう(笑)。この道が現役だった頃には草もなく、この素晴らしい石垣の姿がきっとよく見えたことだろう。この道が現役だったころの時代に見たかったなぁと思った。

玉石積みの石垣をじっくり眺めて堪能したあと(夕刻が迫っているので、実はあまり時間もかけられないのだが)、旧道を少し辿ると左の山側に小さな沢を見つけた。今は流れはほとんどないが、雪解けの季節にはここもかなりの水が流れていることと思う。だが、沢が道路に落ちるところにグレーチング(路面の金網)があるところを見ると、この沢は右側の朝日川に流れこんでおらず、側溝に流れ込んでいるのかもしれない。

分岐点に出くわした。とは言っても、あらかじめ地図で確認してあるので、どちらに進んでいいかはわかっている。旧道は直進で、ここから右に降りる道は、降りきるとすぐに橋があって朝日川を渡り、朝日の集落の中で県道と合流するようになっている。ここは真っ直ぐ進みたいところだが、少し寄り道することにして、下に降りてみる。

旧道から離れて結構急な坂道を下りていく。正面には民家が見えるが、道は右に曲がって朝日川を渡っているはず。その橋から見る朝日川は良い景色なんじゃないかと思うが、ここでも石垣を発見!。長さは短いが、往時の面影は留めていそうだ。…あっ!いかん、涎が(笑)。



全長は短いが、丸石を積み上げた石垣だ。一部崩れてはいるものの、その役目を今もちゃんと果たしているように見えた。また、石垣の上部が少し崩れているところを考えると、本来の姿はもっと高かったが、時間の経過と共に崩れたのかもしれない。
チェンジ後の画像は、この石垣を角度を変えて撮影したものだ。この石垣がどういった作り込みをされているか、よくわかると思う。下り側は旧道側に回り込むようになっていて、一番危ない箇所だけ石垣を造ったようだ。

朝日川を渡る橋から、その朝日川の風景を撮影したのがこの画像だ。右側の川岸は森、左側の川岸は今のカミソリ土手じゃなくて、昔ながらの川岸の風景が広がる。朝日川の水深はさほど深くないが流れは非常に速くて透明度が高い水で、迂闊に入ると足を取られてしまいそうだ。橋から覗き込むと、川を泳いでいる魚の姿が見えた。

朝日川の景色を存分に堪能したので旧道に戻ってきた。なかなかいい看板が立っているじゃないか。「この先工事中につき通り抜け出来ません」。…てことは、通り抜け出来ないってのは車なのかな。徒歩ならいけるわけだ。フェンスもされてないし、今日の探索は徒歩だし、大手を振って進入しようじゃないか。実はこの時、頭の中に「さんぽ」が流れていたのはナイショだ(笑)。

周りに何かないかとキョロキョロしながら進んでいると、出てきたのは一軒の廃屋。ここだけ少し道幅が広くなって、道の雰囲気も明るい感じがする。もしかしてあの廃屋は茶屋の跡だろうか。こんなところで頂くお茶と団子は、さぞかし格別なものだったろう。もしかして車道になる前からの茶屋だったのかもしれず、昔の旅人もここでお茶と団子で休憩していたのかもなどと思うと、非常に感慨深いものがある。多少(かなり?)ワクワクしながら、近づいてみよう!。

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