新潟県主要地方道6号
山北朝日線 旧巻澤橋

第1部

2021年9月25日 探索 2022年3月29日 公開

日本国トンネル旧道の探索を終えて、一旦は解除した長靴やヘルメット、手袋など諸々の装備をもう一度装着して探索開始だ。今回の相棒はD300。防滴仕様(防水ではない)なので安心だが、D90と比較するとやや重いのは致し方ないところか。前の探索を終えてからやや曇り空になっていたが、今は雲が切れ始めて、隙間に青空も見えるようになってきた。

ところで私は現道上に立って、旧道方向を眺めている。画像の写っている未舗装の道は現道から分岐している、おそらくは旧道であろうと思われる道だ。この道は今でも通行があるのか、砂利が敷かれてダブルトラックが刻まれている。その道の左側には(おそらくは白樺だろうか)人工的に植林されたであろう整然と並んだ林が印象的だ。

さ、それでは森の中に眠る橋へ会いに行こう!。

旧道の入口は急な坂になっていたが、これは現道造成の際に路面の高さを調整したためだろう。坂はすぐに終わり、平地になったのがこの画像だ。坂が終わるとすぐにこうした広場が、森の奥にいきなり出現する。この広場は何だろう?。何かの工事の現地事務所跡か、それとも飯場か。
とても開放的で、とても穏やかな空気。でも、何故か神聖な感じもする不思議な場所だ。せっかくだから近くの草むらに座って、辺りを見回しながら深呼吸してみる。

現道からさほど離れていないはずだが、そこを通行する車の音は全く聞こえず、森を吹き抜ける風の音と、時折聞こえる小鳥の囀りしか聞こえない。日本国トンネル旧道でも感じたが、身体の中の見えない悪いものを吸い取ってくれているようで、非常に気持ちいい。

座ったまま、少し辺りを見回してみると、左側は更に景色が広がり、広大な広場になっていた。こうした風景は現道からは見えない位置にあり、これも旧道や廃道を探索しないと体験できない風景と言える。・・・そういえば、お腹が空いた(笑)。今日は探索に夢中で、ほとんど食事を摂っていないことに気づく。もし今、コンロと鍋、それに水とラーメンを持っていたら、至福の時が過ごせたことだろう。残念!(笑)。

広場を抜けると路面のダブルトラックも頼りなくなって、やがて擦れてくるようになってきた。広場はここより先の方になると元の道の姿に戻りつつあり、いかにも旧道と言った雰囲気が盛り上がってくるのが実に楽しい。日陰もなく、空は明るい曇り空。日差しもさほど強くなく、まさしく絶好の探索日和の時にこんな旧道と巡り合えるとは、今日は実についてる。

でもなぁ…今までの穏やかな道がこの状態なのは、ある意味これからを暗示しているかのようで、少し怖い(笑)。

少し先に進むと。あれだけ広かった場所は廃道の雰囲気を取り戻していく。これこれ、やっぱりこうでなくちゃ(笑)。右側はおそらく巻沢で、微かだがせせらぎの音が聞こえる。ここまで来ても下草はちゃんと刈り込まれていて、今でもこの道に何らかの手が入って管理されているようでもあり、おかげで非常に歩きやすい。

道の右側にはもともとの路肩の法面だろうか、草に埋もれて残っている。石垣などは見当たらず、土を削り取ったそのままの姿だった。この道が主要地方道になる前は、県道蒲萄寒川停車場線として一般県道だった時期があり、この道筋はその時代のものと思われる。
てことは、通常の交通としての他に、救急車や消防車が走ったり…と言うこともあったはず。この道を赤色灯回してサイレン鳴らして走っていたのか…と思うと、当時の生活は非常に大変だったんだなぁと言うことがわかる。

さて、そろそろ現道の巻沢橋から見えた「森の中の構造物(たぶん橋の欄干)」があってもいい頃なんだが…と思いながら先へ進むと、路面が妙に平たくなった場所が。あやしい。あやしいぞ。立ち止まって前方を眺めてみると…

おおっ!あれは?!

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