新潟県一般県道480号
山中上野線

2024年9月28日 探索 2025年1月12日 公開

道と歴史と人と

新潟県一般県道480号山中上野線。
起点は新潟県柏崎市高柳町山中、途中で新潟県十日町市中仙田を経由し新潟県十日町市上野に至る、新潟県の一般県道である。県道番号が480と新潟県の県道番号としては後ろの方になるので、県道指定されたのは比較的新しい方に入るのかなと思うが、定かではない。

新潟県の一般県道は453路線(1号-100号(実際は97号まで)までは主要地方道になるので除外。101号から591号までの491本の路線番号のうち、38本の路線番号が欠番になっている)。

そんな新しめな県道を、なぜ取り上げるのかって?。よーく思い出してほしい。必ずそうと断言できるものではないが、県道番号の数が400番台後半とかになると、なかなかにアヤシイところが出てくるような気がする。レポートにしただけでも一番は550号東谷塚野山線だろう。他に470号大室水原線506号岩沢中条線513号中ノ沢内川線546号駒込北潟線などなどあったりして、何かないかと注目はしているところなのだ。

その中で今回は480号山中上野線と言う道が加わった。果たしてその道はどういう道なのか、ここでおなじみ地理院地図を見てみよう。これを見ることで、この県道の素性が一発でわかる。

国土地理院の電子地形図(タイル)に注釈と矢印を追記して掲載

中心を貫くのは国道252号、上下に貫くのは国道403号。上に「榎峠」なんて言う、どこかで聞いた峠の名前が出てきたもんだから調べてみると、案の定と言うか主要地方道56号小千谷大沢線の榎峠だった。そして今回探索を行う一般県道480号は、国道252号が薬師岳を貫く山中トンネルの旧道に当たり、山中トンネルと同じように薬師岳を貫く「仙田隧道」と言う隧道がある。この県道の延長は定かではないが、地図上の直線距離で計測するとおよそ9km。と言うことは、実際には10kmを越えるだろう。この県道を起点から終点まで探索すると言う、近年では稀にみる長丁場の探索となるので、何か支障があればすぐに撤退することにして、左側の柏崎市側から探索を始めることにした。

また、今回の探索は方法を前後で分けた。最初に地図上で左側に位置する柏崎市側から自転車で入り、中心の国道と十字に交わる場所(十日町市中仙田)までを自転車と徒歩、後半の中仙田から十日町市側の上野集落の国道252号合流点(県道の終点)までを車で行った。長丁場なので、出来るだけ体力は温存しておきたいし、いざとなれば再度自転車で行かなきゃいけない場合もあるだろうから。

さて、現地。
今日は9月28日。今年も残暑は厳しく、毎日暑い日々で少々バテ気味な私は、なかなか空かない時間の合間を縫って、新潟県柏崎市高柳町山中にいた。
「確かこの辺になるはずなんだが…」などと思い、注意深く走行していると、やがて左側の路肩に卒塔婆(左の県道番号が記された矢羽根のような標識)が見える。あそこから右か?と思い、指定されたその道を見てみたら、これだ。

…うーん、なんと細く頼りなげで長閑な道だ
素晴らしいじゃないか(笑)

私が思わず小躍りしたことは言うまでもない。但し、車に乗っているので「心の中で」と言うことは付け加えておこう。走行中の車の中でいきなり小躍りを始めたら、それは間違いなくヘンな人だからだ(笑)。

「間違いない…よな?」と思いつつ、もう一度卒塔婆に近づいて確認してみる。うん、やっぱり間違いない。反対側の向きにも矢羽根が取り付けてあり(背中を向けている標識が上に見えるが、これだ)、間違いないだろう。この川岸に進む道が県道480号であり、国道252号の旧道だ。となると、仙田隧道はあの右側の山地の中か。

近くの路肩の広場に車を停めて、さっそく探索の準備に入る。下調べ段階で、今回の探索は長距離に及ぶことがわかっていた。これまで一番長かった探索は、常浪川ダムの湖底に沈むはずだった新潟県一般県道227号室谷津川線旧道だが、今回はこれを優に上回るかもしれない。そんな予感さえしている。

いい!実にいい!(笑)

この道の風景を見ていると、まさしく「旧道ここにあり」と言った感じで、実にいい。左側は現道なので高規格で対面通行の立派な道が山中トンネル目指して走っているが、仙田隧道を目指す我らが旧道はこのように非常に細い道で、作業道のようにも見える。だが、道の歴史と言う観点から見ると、その奥深さはケタ違いで、この旧道も多くの人が通ったことだろう。だが、事前調査ではこの古い峠道に、実はもっと古い道も存在することがわかっている。

その道の分岐点は国道252号ではなく、新潟県一般県道219号松代岡野町線にある無名のロックシェッドを抜けたこの地点。岡野町から高柳町栃ケ原方向に進むとロックシェッドがあり、それを過ぎたここから左に分岐して山中に突っ込んで行く、この道。これが仙田隧道に繋がる旧道の旧道と思われる。なるほど、この道を使えば宿場だった高柳町の岡野町(おかのまち)から一直線に薬師岳を越えられ、越えた先に中仙田の宿場があるので行程的にも無理がなくスムーズだ。

この道はGoogleマップで見ると、今は途中で不自然に折り返して県道480号に合流するが、実は折り返す先にもまだ道があり、それが仙田隧道の手前に繋がっている(この道は地理院地図には記載されている。但し地理院地図なので、今も通行できるかどうかはわからない)。今回、この道の探索は行っていないが、確かに仙田隧道に辿り着く少し前に、道の脇に不自然な草ヤブがあった場所があった。位置的にもそこで間違いないかなと思うが、それはまたのちほどのお話にしましょう(撮影していたかどうかが非常に自信がない(汗))。

さぁ、改めてここから。
今回も、道と歴史と人に触れる

素敵な旅が始まる。

探索開始!

第1部
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