新潟県一般県道339号
小栗山川口線
荒谷トンネル旧道 第4部

2021年9月11日 探索 2021年11月17日 公開

「地すべり横孔ボーリング工」の場所から反対側の現道側を覗き込むと、現道の荒谷トンネルの坑口が見える。荒谷トンネルも俗に言う突出型坑門のようで、雪崩や地すべりから坑口を守るためにこの坑門の形式を採用しているようだ。今通ってきたこの旧道の様子を思い返してみると、冬にはおそらく通行止めになっていたはずで、雪が深いこの地域(真冬には積雪が数メートルにも達する)の集落の孤立化を防ぐためにも、この荒谷トンネルが必要不可欠だったに違いない。

ここから現道の合流点までは、あと少し。下り坂であるが故に、歩く速度があまり速くならないように注意深く坂道を下っていると、目の前に分岐点が現れた。どちらが旧道かは一目瞭然で、それでも「直進の道が旧道だったら面白いだろうな」と思ってしまったが、直進はおそらく作業道だろう。「もしかしたら旧道?」なんて言う淡い期待は置いといて、先へ進もう(笑)。

ふと振り返って、これまで通ってきた旧道の様子を撮影してみる。峠付近とは違って、この辺りは御覧の通り、何とかすれ違い出来るくらいの2車線の幅が確保されていた。それでも、結構急なこの勾配。この風景を眺めて私はしみじみ思った。「こちら側をスタート地点にしなくてよかった」と(笑)。

のんびりポテポテと歩いて合流点を目指すと、こんな開放的な風景。草に覆われた広場はトンネル掘削時の飯場(←古いなぁ(笑))もとい、現場事務所があった場所だろうか。坑口付近が美しく整備されているトンネルを以前にも見たような気がする。あれは確か・・・人面トンネルだったかな。

左側から現道が近づいてくる。・・・いや、旧道が近づいていくと言った方が正解かな。路面の高さの差も、もうこの位置まで来るとさほどではなく、なんだったら目の前の斜面を通ってショートカット出来るくらいだ。でも今日は完全に歩くための格好をしていて、靴はスニーカーだし、大人しく旧道を辿ることにする。どうせそんなに長い距離じゃないし。

山の斜面を回り込むように進む旧道を辿っていくと、やがて見えてくる合流点。距離としてはそんなに長くない旧道だったが、実に楽しかった。そんな道程も、もう少しで終わると思うと何となく名残惜しいような気もするが、この峠道も私をすこぶるリフレッシュしてくれた。そのことに感謝しながら合流点の最後まで辿ることにする。それに、峠を越えた旧道の途中で見かけた田圃の見事な稲。ここは魚沼、こんな素晴らしい山の中で造られたお米は、きっと美味しいだろう。

さぁ合流!

合流点に到着!。全行程は1時間ほどでそんなに長くなく、そこそこに楽しめる旧道だった。先に見えるのは荒谷スノーシェッド。このスノーシェッドを過ぎたところから、急勾配と幅員の狭さで一部の方(←私みたいな(笑))に有名な、新潟県一般県道477号荒谷竜光線が分岐する。今日は辿らないが、最近の探索対象が中越地域にシフトしているので、そのうちに否が応でも探索することになるだろう。その時まで楽しみは取っておくことにしよう。
だが、この一般県道477号荒谷竜光線、実はこの後のどこかのレポートでチラッと姿を見せることになるので、乞うご期待!。

合流点に到着した後は、現道を辿ってスタート地点に戻ろう。現道の荒谷トンネルを少し離れたところから見てみると、これはこれでなかなか貫禄あるトンネルではないかと思う。しかも、反対側の坑口まで一直線に真っすぐ掘られた坑道が実に美しい。これから通るので、道すがら観察していくことにして、ひとまず車の流れが切れたのを見計らって道路の真ん中から撮影したのがこの画像。そんなに交通量はなく、トンビの鳴き声があたりに響いていた。・・・長閑だなぁ・・・

トンネル坑口に向かって歩みを進めていると、左側の道路より一段上がった場所に6体の石仏がきちんと手入れされている状態で安置されていた。周りに雑草のかけらもなく丁寧に下草が刈られており、地元の方々がこの石仏を大切に祀られていることが伝わってくる。
拝見すると左側の4体はお地蔵様で、右側2体は馬頭観音のようだ。馬頭観音があると言うことは、この道が古くから存在していたと言うことであり、現道沿いにあるのは荒谷トンネルが開通した際に旧道から移設されたためだろう。私も各地の旧道を旅して探索している身、今とこれからの旅の安全を祈って、深く首を垂れてお祈りした。

荒谷トンネルに正対する。坑道のみ突出している、いわゆる「突出型坑門」かと思われたが違っていて、坑門全体が前に出ている構造だった。そのためか、坑道上部の土被りが妙に少ないような気がする。こういった坑口は坑門付近の坑道の強度が不足するため、今ではあまり見られない。今なら・・・ベルマウス型坑門だろうか(リンクはネクスコ東日本のWEBへ飛びます)。

荒谷トンネルを通って、スタート地点へ到着。今回の探索が終わる。無事に探索が終わったことに感謝して、荒谷トンネルの風景を撮影。今回も楽しい探索だった。この後私は次の探索地に向かうのだが、それはまた今度のお話として、この荒谷トンネルが中越地震の時にどのような状態になったのか、少し調べてみよう!。

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