新潟県一般県道339号
小栗山川口線
荒谷トンネル旧道 第3部

2021年9月11日 探索 2021年11月13日 公開

さ、今度は下りだ。印象的な峠を越えて下っていくが、なにやらいきなり道が狭くなった。この道幅は(今日は比較対象の自転車がないので並べるわけにもいかないが)普通車一台くらいの幅しかない。狭いし、冬季通行止めになるし、トンネルで貫こうと考えたのもわかる気がする。でも、その割には現道が出来ても放置されずに舗装されていて、路肩には蓋つきの側溝もある。旧道となった今でも道として役になっているようで、嬉しくなってしまった。

細い道幅のまま、結構キツめの下り勾配で峠を降りていく。探索前半の、峠へ向かう道は勾配も緩くて道幅も広かったが、峠を過ぎるといきなり様相を変えてしまったような印象だ。それに、心なしか緑も濃くなったような気がする。探索前半の明るかった道を「陽」としたら、今通っている道は緑も濃く、どことなく日陰の雰囲気があるので「陰」といったところか。

おお!こりゃまた美味しそうなカーブ!(笑)
しかも、見事なヘアピンじゃないか!・・・と大声で独り言を言ってしまったが、でも大丈夫!。周りには誰もいないから(笑)。これが廃道や旧道探索のいいところだ。声に出すことでストレス解消にもなるし、クマ避けにもなるしね。でも、隧道の中での独り言はやめておこう。よく響くんだ、これが(笑)。

180度クルッと見事に回り込むカーブで、その内側に畑がある。それも放っておかれている畑ではなくて、何かを栽培している立派な畑だ。カーブを過ぎた左側の法面は擁壁でガッチリと固められているが、ホントは手前左側の手前に見えている斜面のような、自然のままの斜面ではなかったか。もしかすると一度崩れてしまって、その復旧であの擁壁が造られたか、などと想像が膨らむ。
ところでお気づきだろうか。画像にすると道路の勾配はわかりにくくなるものだが、ここもかなりの急角度で下っている。凍結したら怖いなぁ、ここ。

上の画像から視線を右にずらすと、急勾配で一直線に下っていく道の先が見える。おおっ!、道の脇に溜池もあるし田圃もあるじゃないか!。旧道がこうして使われているのは実に嬉しい。その道が管理されて維持し続けられると言うことだから。でも、この道を地形図で見ると、きっと等高線を無視して一直線に貫いてるな、これ。

ヘアピンカーブを過ぎて、左側の擁壁が終わるあたりから道筋を眺めてみる。この旧道どころじゃない、勾配を無視して電線を張って強引に降りてきた電柱群の姿が見える。そりゃ道路よりは等高線や勾配に関係なく通せるかもしれないけど、せっかくこんなに立派な旧道があるんだから、道沿いに降りてくればいいじゃないと言う気がしてしまう。旧道の脇にある田圃は見事なまでの稲穂で、実ってその首を垂れ始めている。きっと美味しい米になることだろう。・・・なんだかお腹が空いてきたしなぁ…、米と言えば酒が・・・(笑)

決して緩やかではない道を下っていく。この峠、上ってきた道もそうだったが、あまりカーブがなく、勾配は結構急な峠道だ。越えている山の標高がさほど高くないと言うことが一番の要因だと思うけど、狭い道がクネクネと曲がりくねっている道の方が好きな私(←変態(笑))には、少し物足りなく感じてしまう。
道幅としては普通車1台通ると「どこで離合しましょうか」と言うほどの幅しかなく、もちろん先ほどの峠を下りてきた直後のヘアピンなんかは、トラックだと多少キツいかも。やっぱり狭い。

おっ!この感じ!(笑)

先に進むと、下り勾配が少し急になって、回り込むように下っている。下り坂なのでスピードが出ないようにゆっくりと下っているが、周りの木々の緑の隙間から秋の日差しが差し込んでいて、こうして歩いているだけでもじんわりと汗ばむくらいの陽気だ。腰に付けたフェイスタオルで顔の汗を拭う。前方の山側の斜面に何か構造物が見えた。もしかして湧き水だろうか。それなら、少し顔でも洗ってクールダウンしようかと、少し早足で行ってみると…



湧き水ではないな…何だろうこれ。おや?右肩に何やら銘板があるので確認してみると「荒谷地区地すべり横孔ボーリング工」とある。チェンジ後の画像は、その銘板を拡大してみたものだが、画像がブレブレで申し訳ない。
工事発注者は新潟県長岡地域振興局小千谷(おぢや)維持管理事務所とある。完了は2011年(平成23年)1月とあり、中越地震の発災が2004年(平成16年)だから、このボーリング工の工事は地震からおよそ7年後に完了したことになる。
この「地すべり横孔ボーリング」と言う工事のことを調べてみると、地すべりの地質を持つところに横孔のボーリングを行って塩ビ管を通し、その地質の地下水を排除することによって地すべりを予防するという、多くの地すべり地で施工されている地すべり対策工事のようだ。

湧き水と言う期待は叶わなかったものの、この施設がこの付近の地質の地すべりを防ぐ一翼を担っていると思うと誇らしい。
この塩ビ管から水が出ていなくて良かったと思った。
現道に合流するまで、あと少し。この旧道の探索が終わったら、クルマに積んでいる水で顔を洗ってさっぱりすることにして、今はこの旧道を楽しむことにしよう!。

第4部へ