新潟市秋葉区
熊沢隧道 前編

2019年3月26日 探索 2019年11月4日 公開

国土地理院の電子地形図(タイル)に注釈を追記して掲載

新潟市秋葉区草水町付近の地図をもう一度見てみよう。真ん中あたりに「煮坪」が見えるが、今回私はこの煮坪の前にあるスペースにクルマを止めて、熊沢隧道の探索に向かった。
煮坪までは、道幅は狭いが軽自動車なら車で来ることが可能だ。それから先は道幅は急に細くなり、人一人歩けるのが精いっぱいの登山道のような小径になる。山の斜面を真っ直ぐ突っ切るように上がっていく道を上がっていくと…

山中にひっそりと開く隧道

おおっ!これかっ!

煮坪から1~2分ほど歩いただろうか。急な坂が続く登山道のような道を上がっていくと、目の前にその坑門が見えてくる。人がすれ違えるだけの大きさしかない小ぢんまりとした隧道は、普段は素掘りや車道の隧道しか見ていない私の眼にはとても新鮮に映る。いい雰囲気の隧道じゃないか。この隧道に繋がる道の急な上り坂はいただけないが、この隧道はいい!。少し早歩きになって近づきたいところだが上り坂のためにそうもいかず、息が上がらないようにゆっくりと近づいていくことにする。

近づいていくと、隧道内を照らしている蛍光灯の照明の明かりと、小さな坑門が見えてきた。そういえば、この隧道に通じる上り坂の道にも電柱が立てられ、街路灯が取り付けられていた。それらの街路灯は、夜にはちゃんと点灯するのだろうが…。街路灯があってもこんな山道を夜に歩きたくはないし、何より危険だと思うのだが、どうか。

コンクリートで固められた坑門は、人道の隧道とは言えどなかなか立派に作り込んである。坑門の左右の翼壁もしっかりと施工されていて、そこに生えている苔がいい感じである。ここまで来ると、隧道の中に連続して点灯している照明が多く見えており、日中でも通行するのに暗くて怖い思いをすることはなさそうだ。坑門の扁額と銘板が見える。早速確認してみよう。

おや、扁額には「熊沢トンネル」とあるが、後年に改修でもされたのだろうか。坑門左には電力を坑道に引き込むための懐かしい木製電柱が見える。また、隧道の内部は鉄板でしっかりと巻き立てが行われているようだ。ここから隧道を見ると別の世界につながるトンネルのようにも見えて、異世界の温泉宿に勤めることになる某アニメを思い出してしまった。

坑門右下にある銘板には施工者と竣功年月日が記されていた。それによると、竣功は昭和50年12月とある。だがこれは、もともとあった隧道に改修を行った日付だろう。冒頭で探索前に軽く下調べを行った際に、1911年(明治44年)には既にこの隧道が存在していたことを旧版地形図で確認しているからである。ということは、この隧道は最初は素掘の隧道だったのだろう。

外見以上に安定した隧道

洞内はきちんと巻き立てが行われていて、安心して通行が出来る。この隧道の前後の様子を見ると、この隧道を利用する人は一日の中でどのくらいいるのか?と言う疑問があるが、この隧道はこの通り立派に「人を通す」と言うその使命を守っている。隧道内にはちゃんと照明もあって、24時間安心して通行することが出来る。

前の画像からカメラの照明を切って撮影したのが、この画像。坑道の巻き立ての様子や、隧道内の雰囲気が一番よく伝わる。隧道内には一部錆などは見られるものの非常に安定していて、この隧道がちゃんと管理されていることがよくわかる。ただねぇ…この隧道を通行する際には隧道の照明だけではなくて、その他にも照明を持っておいた方が安心かもしれない。ここにきて、隧道内はちょっと暗いかな?。この雰囲気は角神隧道に似ているが、角神隧道よりは格段に通りやすい。


隧道の全長からすると、出口はさほど遠くないということがわかる。このまま素直に進んで出口を目指そう。この時点では、この隧道がどこへ出るのか全く確認はしていなかったので、そういう点でも非常にドキドキ感があって、楽しみなところもある。

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