山形県一般県道349号
鶴岡村上線旧道 旧尾浦橋
2023年10月14日 探索 2024年5月25日 公開
山形県一般県道349号鶴岡村上線。これまで大針洞門、荒沢隧道、笹根隧道、大鳥隧道とお送りしてきたが、今回は旧尾浦橋の登場だ。この旧尾浦橋も鶴岡村上線の歴史背景の中で重要な役割を果たしており、それも含めて歴史を遡って調査しているところだ。それぞれのレポートはどこから読んでも、ここから読んでいただいても十分楽しめるようになっているが、より楽しんでいただくためには一般国道345号鍋倉トンネル旧道から始まる一連のレポートを順に読んでいただくといいかもしれない。
さて、私は三姉妹の隧道の探索を終え、帰路についていた。今回の探索を思い返しながらクルマを走らせていると、視界の左側に一瞬気になるものを見つけた。もちろん私は(十分に周囲の安全確認をしたうえで)急ブレーキをかけたことは言うまでもない。私が一瞬見つけたものとは、これだ!。

普通に走っていれば何事もない、ありきたりの道路風景だ。丁字路を示す警戒標識も、これといって変なところはない。でも私はこの警戒標識と脇道、一瞬見えたその脇道の先の風景、そしてこちらに背を向けている標識の背が気になって、車を止めたのだ。
この警戒標識は「丁字路あり」だが、この交差点はどう見ても丁字路ではない。では現道から真っすぐ進む、この微妙な直進に進めそうな道は何だろう?。そして、この「丁字路あり」の標識は、そのすぐ先に見える横道(この道は、ここから見える直進の道につながっている)のことを示している。と言うことは、だ。この直進の道は廃道ではないか。そして、私が今通っている349号は、以前はここを直進していたのではないか。だが、現道はこの先の尾浦橋で赤川(大鳥川)を渡るはず。となると、この先にも橋がある可能性が高い。そして、こちらに背を向けているあの標識も、おそらく「丁字路あり」の標識だろう。ということは、最近まで自動車の交通があったと言うことになる。
実際は瞬間的にここまで詳しくは考えてはいない。だが、これに似たようなことを直感的に感じたのは確かだ。そして、私は急ブレーキをかけた。

この県道の旧道であり、今は廃道の扱いになっているであろう、短い直進部分に車を止めて、道の先を覗き込んでみる。道自体は綺麗に整備されて今でも現役の道のようだが、交通量は非常に少なそうだ。なぜこんなに交通量が少ないんだろう…と、奥をよ~く見てみると、なんとなく理由がわかった気がした。道の先には、まるで塞ぐように横たわっているガードレールに、黄色と黒のゼブラも見える。これが見えるとなると、答えは一つしかない。道が封鎖されていると言うことだ。その理由は橋そのものが落とされているか、老朽化で封鎖されているかだが…残っていてほしいなぁ。
では、この旧道と橋の位置はどこなのか。
登場してくるのは、毎度おなじみの地理院地図。
これを使って確認してみよう。

尾浦橋はここだ!(←わからへんって)
地図にも記載があるが、ここは大針洞門と荒沢隧道のちょうど中間地点。ここから荒沢隧道方向に進むと、田沢の集落に辿り着く。橋の袂に今でも水準点があることから、この道は県道の旧道で間違いないだろう。それだけに、橋は残っていてほしいものだ。そして、私がさっき覗き込んでいたあの道も、実はものすごく歴史のある道と言えるかもしれない。こんな旧き道と、こうして自然に出会えてしまうあたり、道路探索と言うものがやめられない原因でもあったりする。もう少し進んでみよう。

先ほどの位置から旧道と思しき道を進んで先へ。あの横たわったガードレールと、黄色と黒のゼブラの正体はこれだった。その先にあるのは…
橋じゃないか!
橋が残っていた!。ここから見える限りでは、橋の高欄は改修されて原型をとどめていないようだが、親柱は健在だ。その姿は現代の橋では考えられないほど重厚で美しい。この橋が仮に県道だったとしたら、この橋を渡って右に曲がった先の道も県道だったはずだ。これはタマランチ会長だ!(←…また旧いネタを(^^;)
山の中ではないから、さほど装備は必要としない。それだけにゆっくりと探索することが出来るともいえる。せっかくの旧き橋、堪能させていただくことにしよう。頭の中には久しぶりに音楽が流れている。ただ、それが何故か「科〇研の女」のテーマなのは、自分でもよくわからないが・・・。
さぁそれでは…
探索開始!