一般国道252号
三坂橋旧橋

「幼き日の記憶」

2023年4月22日 探索 2023年10月2日 公開

幼き日の記憶

橋台はコンクリートで造られ、橋桁もコンクリートのように思われるが、もしかすると中にI型鋼でも入っているのだろうか?。今の橋桁と比較してみると比べものにならないほど薄く、これでトラックでも通ったらどうしていたんだろう?と思うくらい(実際、どうしたもこうしたも、当時からすれば通るしかないわけだが)貧弱だ。現道当時は重量規制でもしていたんだろうか。標識でも残っていないかと辺りを探しては見たものの、それらしきものは残っていなかった。その他に、橋の周りにどこか玉石積みの擁壁でも残ってないかな・・・と目を凝らして周りを探してみると、ありました。右側のU字溝が川に流しているところのすぐ隣に、玉石積みの石垣が残っていますねぇ。・・・ふむ、そうすると、この橋は二代目なのかも?

・・・こんなことを、周りの人から見れば何の変哲もない橋を前に、あれやこれやとつぶやきながらウロウロしているオッサンがいたら、あなたはどう思うだろうか。私だったら、話しかけるのを躊躇う(笑)。探索するのはいいが、その際の所作に気を付けなくてはいけないと反省した次第だ。改めて、探索中につぶやくなら廃道の中だけにしておこう。

でもなぁ…廃道を歩いていても、誰かと会うことがあるよねぇ(笑)

いやぁ~いい眺めだ

こうして橋を眺めていると、橋の至る所に見られる綻びが、この橋の年月の流れを感じさせてくれる。真ん中あたりに見える橋台の翼壁(?)は少しズレていて、これは補修が必要だろう。その他にも組み合わせているコンクリートの板に隙間があるところがあったりして、これでは重量物を積んだ大型車やバスが通るには、ものすごく不安だ(もっとも、今は通らないが)。この橋、今もちゃんとメンテナンスを受けられているんだろうか。もしもやがて朽ちていく運命なら、それは少し悲しい気がする。

それにしても・・・この雰囲気、実にほのぼのしていい。この道って、昔の街道に沿った道かもしれない。この橋を渡った右側には、低い土盛りの上にお地蔵様らしき石仏があるのが見える。この道をどんな人たちが通ったのか、目を瞑ると蘇ってくるようだ。

橋の袂には三本の木。改めて道全体を現道側から眺めてみた。その道幅は車1台分。おおよそ現代のトラックなどは通れそうにないくらいの道の細さだ。低い高欄、失われた親柱、未舗装の砂利道などは、過去の道の姿を明確に残していると言ってもいいだろう。昔の道(およそ昭和30年代から40年代だろうか)は、みんなこんな道だったのだ。そう思うと、今の道って快適で素晴らしいよねぇ。これが現代の道の原型の姿で、日本の原風景だと思う。

この橋をいろいろ探索していて、周りをウロウロしていて思い出したことがある。私が小さい頃を過ごした福岡県久留米市の家の脇の道(確か県道だった)も、路面に大き目の砂利が敷かれた、こんな細い道だった。その頃の他の景色は今はほとんど覚えていないが、不思議なことにその県道の景色だけは、今もハッキリと覚えている。きっと今は改修されて綺麗になっているんだろうな。廃道になっていることはないと思う。たぶん(仮に廃道になっていたらなっていたで、それはぜひ探索したいところだが(笑))。

探索の帰りにたまたま見つけた橋と道。
その道の昔の姿を想い、何か痕跡はないかと追いかけていたら、図らずも私の幼き日の記憶が蘇ってきた。そして改めて気づいたが、そこにも道の姿があった。自身が、なぜこんなに道に惹かれるんだろう?と不思議に思っていたが、なるほどこういうことだったのねと気づいてしまった。これはますます精進しないといけないだろう(笑)。

一般国道252号
三坂橋旧橋

完結。