一般国道113号
弁当沢トンネル旧道
2019年5月3日 探索 2019年10月19日 公開
国道113号旧道のシリーズも子子見片洞門、綱取橋、辯當澤橋と続いて今回で4カ所目。よくよく考えたらこの国道113号のシリーズはすべて新潟県を離れて山形県、長めの県外シリーズの初か?と思ったら、この前に福島県西会津町の国道49号を書いてたので、初ともならなくて残念である(自分で書いておいて残念もないもんだが。ちなみに新潟県外の初は一般国道17号綾桜隧道跡)。
さて、今回は弁当沢トンネルが開通する前の旧道だ。今回の「弁当沢」の文字は、同名のトンネルの表記に倣って同じ表記とした。トンネルということで道路トンネルリストや全国隧道リストを念のため確認してみると、この弁当沢トンネルは子子見(こごみ)トンネル(1959年・昭和34年竣功)、綱取トンネル(1958年・昭和33年竣功)より遅い、1974年(昭和49年)に竣功している。これから考えると、子子見トンネルと綱取トンネルの2本のトンネルは、この付近の旧道の中でも特に危険な片洞門の部分をショートカットする目的で先に工事が行われたということが考えられる。それに対してこの弁当沢トンネルの部分は明沢川沿いを通ってはいるが、片洞門よりは危険度は低いため、トンネルの掘削が後になったのではないだろうか。
それでは、ここで地図を見てみよう。
地図上に弁当沢トンネルの記述がある米坂線のトンネルが目立つが、明沢川の川岸に沿うように点線の道が描かれているのが見える。これが弁当沢トンネルの旧道で、今回の探索は左側の小国町側から入り、綱取トンネルを抜けてすぐ右側にある駐車場を起点とした。この駐車場は、その昔は「片洞門休憩所」や「たんぽぽカフェ」と言った名前で観光客向けの休憩所があったらしいが、今は閉鎖された建物が寂しく残るだけであり、広い駐車場が当時の賑わいを思い起こさせる。また、ここから113号の旧道を利用した片洞門への遊歩道が始まっていた。ここを通過する旧道の前後の道形から、おそらくは駐車場となっている場所の一部も旧道だっただろうと思われる。
ここから見える景色の右側は明沢川で、元はたんぽぽカフェと呼ばれた建物の脇から始まる国道113号の旧道。片洞門への道と違い、その道幅は広くて安心して通行できる道といった感じだ。それだけに非常に雰囲気が良い道で、車が通れないようにバリケードがされてはいるものの、その入口には通行止めの標識や看板などは一切なく、旧道と知らなくてもこの風景を見れば歩いてみたくなること請け合いだろう。今までの片洞門や綱取橋とは一味違った、安心して楽しめる旧道(旧道としては少し物足りないが)である。
現役当時にはここを多くの車がゴトゴトと砂利道を走り、子子見片洞門へと繋がる道へと走っていたと想像すると懐かしき想いと共に、当時のドライバーは非常に神経を使ったのだろうなと思う。今回は、そんな道を辿ってみたい。
詳しくは本編で紹介するが、これはこの旧道の一部の風景だ。右側の擁壁に左側の渓谷。片洞門付近の険しさはなく、穏やかな感じの素晴らしい風景だ。新緑が眩しい初夏や紅葉の季節は更に美しいだろう。この画像の撮影時間は夕刻(16時くらい)だが、夕方にも関わらず日差しが暖かく、少し汗ばむくらいの陽気だった。今回の探索はすべて徒歩で探索したので時間はかかったが、辺りの風景や雰囲気を非常に楽しめたし、賑やかな現道の車の音もここには届かないため、川が流れる音と小鳥が囀る音しか聞こえない。この静かな道を辿っていると、思わず時間を忘れてしまうほどだった。
それでは現地にご案内しよう!。