新潟県主要地方道78号
大潟高柳線 尾神隧道

第5部

2021年6月13日 探索 2021年10月4日 公開

さて、いよいよ入洞だ!。私は今、隧道の入口に立っている。ここでよく観察してみると、こちら側は隧道の坑口が高く、3mはあるだろうか。ところが、先へ進むに従って低くなり、反対側の坑口の付近はおよそ2mほどしかない。高さ制限の標識にあった「2m」とは、おそらくこの付近のことを指すと思われる。やはり、こちら側の坑口の付近だけ崩れたのかなぁ。

坑口の直上を見上げると吹き付けされたコンクリートにヒビが入って、そこに草が生えてすくすくと成長しているようだ(笑)。草が生えているヒビの周りを見ると、他にも結構ヒビが入っていたりして、ここだけ見ていると「危ないかなぁ」と言う気もするが、ここは確か雨量規制は設定されていなかったはず(もっとも、この隧道がある場所がそもそも自動車交通不能区間なので、規制を行わなくてもいいと言えばいいんだろうけど)。

高さを確認しながら隧道の奥へ進んでいくが、そんなに長い隧道でもないので、ほどなく出口に到達する。反対側の坑口の断面は四角い形をしているが、これが本来の隧道の断面なのだろうと思う。坑口の天井を見てみると何かが擦れた跡があったりして、一部には吹き付けコンクリートが割れて落っこちてしまった場所もあるようだ。
はてさて、軽トラックだろうか。何がしかの車の交通はあるようだが、普通車ではないようだな。そもそも道幅が狭くて、普通車以上は通れないけどね(笑)。

反対側の坑口から出て、改めて振り返って眺めてみる。
こちら側の坑口の脇の側壁はさほど高くないし、草が茂っているので圧迫感はさほど感じない。でも坑口の直上の壁の高さは、こちら側もやっぱりかなり高いよね。
でもね、ここから見える坑口の周りに、掘って途中で止めたような丸い跡のようなものが見えるのは気のせいかな。離れて眺めてみることにしよう。

隧道を少し離れて見てみる。やはり、隧道の坑口の上に奇妙な丸型の凹みがあるのがおわかりいただけるだろうか。これって、この隧道はもっと広く2車線の幅で造ろうとしたものの、ひとまず今の坑道が出来た段階で工事が止まったのでは?と言うように見える。
そして、隧道を出た左側に見える斜面は、隧道が出来る前の旧道なんではないだろうかと言う気もする。帰ってから旧版地形図を手配して調べてみよう。

もう少し離れて撮影してみる。上の画像にも写っていたが、2mの高さ制限の標識がこちらにもある。どうせなら最大幅の制限も欲しいところだ。高さ制限の標識の脇には、比較的新しいデリニエータが見える。そこには「新潟県」の文字がしっかり刻まれていて、ここが県道であることを主張していた。

ところで坑口の上の丸い凹みは、更に離れたここから見ると余計にくっきりとして見える。
出来れば右側も掘り起こして確認してみたいところだが、それは無理と言うもの。掘り起こすのは文献と言うことになりそうだ。
ところで最初に示した地図に、この県道は隧道を抜けた先に旧道があるようだということを覚えているだろうか。改めて、冒頭の地図を見てみよう。

この地図を見ると、隧道の左側の道は地図中の346.4の標高点を過ぎて稜線を進む、徒歩道の入口のようにも見える。問題の旧道は、隧道を出て最初のヘアピンカーブから真っすぐに等高線の通りに、地形の通りに進む点線の道がそうだ。この地理院地図で黄色の県道指定がされていると言うことは、道路としての用途廃止を行っていないということだ。まずは、このカーブに向かうことにする。

隧道を出て、緑に包まれた狭い道を先に進む。左右にクネクネと振れながら緩やかに下っていく道は、おそらくは古くから存在した道だろう(これが現在の技術で造られた道なら、一気に一直線に下っていく、整った印象の線形になるはずだからだ)。
地図上でのヘアピンカーブは、この先に見えているカーブミラーの位置だろうと思う。まずはあそこまで行ってみることにしよう。

え~と…道がないな(笑)

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