新潟県主要地方道78号
大潟高柳線 尾神隧道
第1部
2021年6月13日 探索 2021年9月18日 公開
尾神隧道を目指して上っていく探索の始まりだ。画像を見ると勾配はさほどでもないように見えるが、実際は結構急な上り坂になっていて、自転車は乗らずに押して歩いている状況だ。道幅はご覧の通り狭くなってきていて、ここだけ見ると林道のように見えなくもないが、ここは立派な主要地方道だったりする。
この地点の標高は、およそ200mはあるだろうか(正確に測ったわけではないが。実際はもっとあるかもしれない)。周囲の景色はすこぶる良いし、車もほとんど通らないおかげで空気もいい。この坂道のために今は自転車を押して歩いているが、周りの新緑を眺めるためにも、息が上がらないように注意しながらポツポツと歩く。
日陰に入り、ほっと一息。日差しが強くて暑い中を歩いていると、こうした木々の日陰が非常に嬉しい。ここは街道筋ではないかもしれないが、古の旅人たちもこうした日陰で一息ついていたのかと思うと、その心境がわかる気がする。
出発する前に水分補給も兼ねて木陰で休みつつ、暑さに身体を馴染ませてから出発してほどないが、ここでも早目の水分補給をすることにした。今回はペットボトルではなく市販のステンレスボトルに氷と麦茶を詰めたものを持参している。火照っている身体にいきなりキンキンに冷たい水分を入れるのは良しとしないが、そこそこに冷えているものであれば、手っ取り早いクールダウンにもなると思っているが…お腹が冷えないか心配だ。
身体が少し冷めたところで出発。出発した時に2車線の余裕ある幅だった道は、軽自動車なら通れるが普通自動車ならちょっとキツいかなと言う道幅になってきた。ここはもう自動車通行不能区間に入っていると思う(「自動車交通不能区間」は、幅員、曲線半径、こう配や、その他道路の状況により、最大積載量4トンの普通貨物自動車が通行できない区間を指す)。まぁ、こんな山の中は滅多に走らないだろうとは思うが…
ここは勾配がさほどないので、のんびりと自転車で走ってみる。走っているときの風が心地よく、こんな道がずっと続くならいいのだが、そうもいかない。ここまでと同じように相変わらず車の通りは全くなく、道路の真ん中を走っているので贅沢な気分だ。
スタート地点の周辺まではまだガードレールやガードロープの類が路肩にあったが、この辺になるとほとんどない。交通量が少ないからと言えばそれまでだが、夜になると真っ暗になるのでせめてデリニエータくらいはあってもいいと思うんだけどな。
でも、その前に、夜にこんなところを誰も通らないか。
山中を一直線に伸びていく道。路肩に見える掠れた白線が、かなり以前に引かれたことを物語る。
このあたりは前方に見える林の他に、こうしてところどころに周囲が広く、見通しが良いところがいくつかあった。こういったところは、その昔は耕作地だったのかもしれない。田圃か畑か…麓の集落から上がってきたのか、それともこの辺に別に集落があったのか。ここまで上がってくるとなると大変だろうし、住むとなると余計に大変だろうし…などと想像しながらペダルを漕いでいる。
周囲から聞こえてくる音は皆無。静まり返った山の中を、クマを気にしながら進む。
ほとんど平坦な道をのんびりと進んでいると、こんなところに出てきた。
さて、この左への分岐はなんだろう。これ見よがしに「道が分かれていますよ」と言う感じで舗装してあり、丁寧に白線まで引かれているが、その先は森だ。作業道か徒歩道の分岐だろうか。自転車を停めて左の道の奥を覗き込んでみるけど、それはもうしっかりとした森だった。県道が舗装された時には道の分岐があったのだろうが、やがて廃道になっていったのだろう。思わず突っ込んでいきそうになったが、森の中を彷徨うことになりそうだったので、やめておいた。これまで人っ子一人、車も通っていないこの道、この脇道が誰も通らず廃道になっていったのも、わかる気がする。
おそらくは等高線に沿って進んでいるであろう、この道。右に左にクネクネとカーブを描きながら尾神隧道を目指している。前方に見える山々の真ん中、少し凹んでいる辺りが目指す尾神隧道だろうか。まだまだ道程は長そうだ。この周辺の路面をよく見てみると、路肩に半円型の側溝が設置してあるものの、そこに土が溜まって草木が生えてしまい、プランターのようになっているところもあったりした。
ここで少し停まって水分補給。背中に背負ったカメラ機材を下ろし、楽になったところで冷たいお茶を飲むと、スッキリして生き返るようだ。クールダウンということもあるけど、毎回感じることだが身体の中の「いらないもの」が出て行っているような気がする。
さて、進もう。
まだまだ先は長そうだ。