新潟県主要地方道78号
大潟高柳線 尾神隧道

2021年6月13日 探索 2021年9月14日 公開

新潟県主要地方道78号。
この主要地方道は新潟県上越市大潟区潟町、終点は新潟県柏崎市高柳町で、総延長43キロの主要地方道である。だが主要地方道ではあるものの、その経路上に2カ所の未開通区間があると言う楽しい道で、今回探索する尾神隧道も未開通区間の中に存在する。
まずは地図でその場所を確認してみよう。おなじみの地理院地図である。

国土地理院の電子地形図(タイル)に注釈と矢印を追記して掲載

地図上で左側は日本海で、まっすぐ進んでいくと上越市柿崎区の上下浜駅付近の国道8号に接続している。右に行くと、山間の集落の川谷を過ぎて「桜坂峠」と言う麗しい名前の峠を越え、そこから先は柏崎市。そのまま進むと国道353号と合流、高柳町に向かっている。
今回、探索の起点となった吉川区の尾神と言う集落は、古くは山岳信仰の山だった尾神岳の登山口で、現在では地形の利を生かしてスカイスポーツが有名らしい。その尾神岳の山頂東側には、この主要地方道78号から分岐した林道が走り、その林道の周囲は天然のブナ林になっていて森林浴やトレッキングも楽しめるようだが、私は旧道の探索一本で訪れたために今回は林道には入らなかった。

この地図を見ていると右側に346.4の標高点が見えるが、このすぐ脇にトンネルの記号がある。これが今回の探索の主人公、尾神隧道だ。

今回、私は柿崎区の上下浜側から入ってきた。尾神岳に近づくにつれ山間の緑が濃くなり、標高も高くなってくる。探索は2021年6月中旬だったが、例年梅雨の時季にも関わらずこの日は天候に恵まれたものの湿度も高く、少し動けば汗ばむくらいの陽気となった。
最近少々体重が増えている身にとっては、汗をかくことで痩せる効果も少々期待したいところだが、汗をかきすぎると今度はお腹が冷えてしまうので要注意だ。まったく面倒な身体になったもんだと実感する。

ところで、画像の場所は探索開始地点から車で上ってきたばかりの道筋を撮影したものだ。この辺りまでは道幅もまだ2車線と広く、まさかこの先に未開通区間があるとは思えないような快適さなのだが…

途中でこの標識を見つけた。今では山間部でもほとんど見かけることが無くなってしまった「警笛鳴らせ」の標識。この下に矢印の標識が着くと「警笛区間」に意味が変わる。クルマを降りて辺りを探したり標識柱の下を探したりしてみたが、見つけられなかった。
でも、ホントにこの標識を見たのは久しぶりだ。クマ避けも兼ねて、ちゃんと鳴らしておいた。

さて、探索のスタート地点は左カーブで、この地図上で現在地と注釈がある地点だ。この左カーブの脇には少しばかりの空き地があり、そこに車を停めてベース地点とした。今回の探索の相棒である自転車を下ろして組み立てつつ周囲を見回してみると、人はおろか車一台通りゃしない。
この先が未開通区間になっているから当たり前なんだけどね。でも、地図上では点線ではなく実線になっているので、徒歩道ではなさそうだ。

ところで、ここは地すべり地帯でもあるようだ。指定は1974年(昭和49年)12月28日とあるから、47年前になる。しかも他に、フナゴ地区の近所の四俵刈地区と隠耕地地区(何となく惹かれる地名だが)も地すべり防止区域になっていて、この辺全体が地すべりを起こしかねない地質のようだ。気を付けないといけない。

美しい青空に豊かな緑、薫る風にトンビの鳴き声、照り付ける日差しに蒸し暑い空気(笑)。
いやぁ、いい探索日和じゃないか!。自転車も組み上がったし、いよいよ探索開始が近づいていることに少し緊張している。これから向かう隧道がどんな隧道なのか、途中の道の様子は?などと思いつつ、装備を整えるこうした時間が実に楽しい。今回はお馴染みD300に広角ズームを装着、他に200ミリ望遠を1本組み合わせることにした。
あっ!、水分も忘れずに持って行かないとね!。

これから進む道を眺めてみる。道幅は2車線は取れる幅があり、路肩に白線もある。
が、その白線は消えかかっていて、アスファルトも心なしか荒れているようだ。路面のアスファルトは荒れているが、私の心は弾んでいた。ここだけ見ても、この先が実に楽しみな展開じゃないか(笑)。こりゃ、この先にある地図上で一本線になっている区間が楽しみだ!。

…などと、この時の私は実に呑気なことを言っていたが、この後それを後悔することになる(笑)。

それにしても暑い。着替えて装備を整える前に、あの日陰で少し休憩して探索を始めることにしよう。現在時刻は12時25分、探索に使える時間はおよそ3時間。それだけあれば隧道や険道と戯れていても大丈夫かな。気分も高揚しているし、頭の中にはなぜか「ヤマト」のテーマが流れている。

さぁ、それでは…

探索開始!

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