新潟県三条市道
吉野屋1号線 旭隧道

第2部

2019年4月13日 探索・2019年5月29日 公開

前回、私は洞内に入って先へ進んだ。洞内の右カーブがあって反対側坑口が見えなかったが、そのカーブを曲がると反対側坑口が遥か先に小さく見えた。今回は、ここから先へ進んでいく。

さぁ素掘りの吹き付けに変わったぞ。やっぱりこうでなくちゃ(笑)
路面が湿ってきて、素掘りにコンクリートを吹き付けした壁面に、青い球体のようなものが取り付けられている。これは隧道の内部の歪みを測定しているセンサーか?。そういえば、この青い球体のところどころにバツ印がつけられている。壁面に見える青い線のようなものは、壁面の隙間を埋めているようだ。

少し先に行くと壁面にあったセンサーのような突起物はなくなり、素掘りのコンクリート吹き付けに変わった。路面には水が溜まっているが深さはさほどなく、水たまり程度の深さである。自転車に乗っているため多少の水は平気。路面中央が高くなっていることも幸いしている。と、思ったら…

路面の水が深くなってきた。自転車を走らせていても水の音がするくらいの深さと言えば、わかっていただけるだろうか。5センチ程度の深さはありそうだ。壁面もブルーシートで補修してある部分があり、若干傷みが見られる。先を見ると、壁面にはまた青い突起物が取り付けられているようだ、それに、なんだかものすごく狭くなっているような気がするが…

うおっ!きたきた!

吹き付けコンクリートの部分を抜けると綺麗に補修された部分があり、そこを抜けようとすると…これだ(笑)。今までで一番狭いんじゃないだろうか?。それに角神隧道でも見られた黄土色の土が見られる。これがタイヤや靴、衣類なんかに付くとなかなか取れなくなるんだよね~。この隧道の一番初期の姿は、こんな姿だったんだろうな。

またまた青い球体が取り付けられた区間に入るが、路面の水深はかなり深くなってきた。球体が取り付けられている部分からも地下水が湧き出しているようで、それがさらに水深を深くしている原因のようだ。先に見える出口の明かりがだんだん大きくなってくる。およそ800メートルは、さすがに長い。対向車は私が通っている間は幸いにも来なくて、快調に進むことができた。

もうすぐ出口が近いからか、きちんと補修された区間になる。出口まではあと数十メートルくらい。路面に溜まっていた水もなくなり、非常に走りやすい。一番狭かった真ん中の部分もこのように補修されていれば、地元の方々が通行する際も走りやすくなるだろうにと思ったが、それだと私たちからすると面白み(?)のない隧道になってしまう。痛し痒しである。

脱出!

長かった旭隧道を完走した!。対向車が来ないかどうかヒヤヒヤしたり、洞内にセンサーらしきものが付いていてびっくりしたり、そうかと思えば急に狭くなって開通当時の姿を見せてくれたりと、非常に楽しい隧道だった(帰るときにもう一度通るわけだが)。それでは、改めてこの隧道を外から見てみよう。

これが吉野屋集落とは反対側の出口である。扁額もなく(吉野屋側にもなかったが)、あっさりとした坑門。山腹にいきなり隧道と言った方がいいかもしれない。坑門上の標識は、左が高さ制限1.8メートル、右が全幅制限1.5メートルの標識。となると、ここを通るのはせいぜい軽トラクラスということになる。どこでも走る軽トラに、改めて敬意を表したい(笑)

この坑門の右側は、このように広場になっている。しかし、林道などの類ではなさそうだ。そうなると、この広さの空き地は何だろう?。一見すると森林鉄道のヤードのようだ。ここで、森林鉄道についてのお話を少し。

森林鉄道とは、その昔林業が全盛期だったころ、山から切り出された材木を麓の町や港の貯木場まで搬出するために敷設された、専用鉄道のことである。その軌間はほとんどの場所において狭く、また簡易的な鉄道であったためにレールも一般の鉄道用とは違い、断面が小さく細いレールを使用していた鉄道がほとんどだった。また、通常の鉄道だと管轄官庁は当時の運輸省(現在の国土交通省)だが、森林鉄道の場合は農林水産省林野庁が管轄していた。このため森林鉄道と言えども分類上は鉄道ではなく林道に区別された。森林鉄道は全国各地に存在したが、林業の衰退とともに運行経費などのコスト削減から順次トラック輸送に切り替えられるようになり、最大規模を誇った木曽の王滝森林鉄道が1975年(昭和50年)廃止となって森林鉄道はほとんど姿を消した。現在、森林鉄道と言える状態で残っているのは、京都大学農学部付属芦生演習林専用軌道と、屋久島の安房森林鉄道だけである。

ということで、もしかしたらこの空き地も森林鉄道のヤードだったのかなぁ?と考えた次第なのだ。
この時は何気なくそう考えただけだったのだが、この後単純にそうも言えないものを見つけてしまった!。

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