旧制道路標識 注意!

2019年1月14日 探索・2019年1月16日 公開

今回は、小ネタである。
道路の探索をしていると、思いがけず古い標識に出会うことがある。
昨年7月には「自動車通行止」の標識を発見して、ここでご紹介した。それを発見したのは、新潟県一般県道178号山ノ相川下条停車場線の調査を「頻繁に」繰り返していた時に、たまたま県道沿いのお家の庭で発見したものだった。(←旧制道路標識

そして、今回は国道7号旧道を探索中に、またまた出会ってしまった。こんなお宝ものも探索途中に見つけてしまうもんだから、旧道探索はやめられない。まずは論より証拠、早速御覧頂こう!。
今回の旧制道路標識は、これだっ!

注意 CAUTION

何に対して注意するんだっ!と言う気もするが、この標識には補助標識がついておらず、何に対して注意なのかわからなかった。この標識を見て、ここを通っていた人たちは、いったい何に注意を払って通行していたんだろう?。…周りの景色からしても、クマだろうか?(^^;

…なに?。標識の下についてる、穴だらけの板はなんだって?
この板は1950年(昭和25年)に制定された「道路標識令」(これは法令で、現在で言うところの「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」の旧法令のことである)の警戒標識に設置された、反射板や反射釦が取り付けられていた板だと思う。
決してここに蚊取り線香を付けていたわけではないし、クマの歯形でもない。
ちなみに、この標識が制定された1950年(昭和25年)3月31日発行の官報によれば、この「注意 CAUTION」は標識番号210番となっている。なお、補助標識ではなくて、標識自体に反射釦が取り付けられていた例もあるようで…


これは、先ほどの「注意 CAUTION」と同じ道で見つけたものである。
この標識は、道路標識令で言うところの標識番号206番「右(または左)つづら折りあり」の標識だが、御覧の通り黒いつづら折りの部分が穴だらけになっている。これは、反射釦が取り付けられていた穴だろう。
当時は、今みたいに反射塗料などなかった。そこで穴をあけて反射釦を付けて、夜間にも目立たせた。よくよく見ると、等間隔に器用に穴をあけている。だが、ここまで穴だらけにせんでもいいような気が(笑)

ところで、この「注意 CAUTION」の標識は今、何になっているかと言うと…

もうお馴染み、「その他の危険」のビックリマークである。普通はこの下に補助標識がついてるパターンがほとんどだが、この標識だけの場合もある。その場合、何の危険なのかわからなくなるのが、この標識の欠点だ。結局「注意 CAUTION」とあまり変わってない気がするのは気のせいだろうか(笑)
それどころか、もっと疑問もある。それは道路標識令の標識番号209番の標識。これである。

1950年(昭和25年)3月31日発行 官報号外 より引用

…普通に道路を走っていて、いや山道でも走っていて、いきなりこの標識が出てきて「危険」と言われて、運転者はどう対応すればいいのか(笑)。いやその前に、そんな危険な場所に道を通したらいかんのではないか(笑)

当然と言うべきか、この標識は現在ではほとんど残っていないと言っていいかもしれない。私は昔から道路標識は好きだった(詳しいと言うほどではなかったが、絵柄として好きだった)。「注意 CAUTION」の標識は何となくだが、見た覚えはある。しかし「危険 DANGER」を見たことは、少なくとも記憶の中にはない。

今回紹介した2枚の標識。よく見ると標識柱も角形で、やはり年代を感じさせる。よくぞ残ってくれていた。今も旧制道路標識がどこかに眠っていて、また会えることを楽しみに、私はまた探索へ向かう。

さ、次の標識はなにかなっ(笑)

旧制道路標識 注意!

完結。