一般国道113号
横根トンネル旧道
第3部
2019年5月3日・2020年3月28日 探索
2020年6月23日 公開
沢と谷と川と
日陰で休憩し、水分補給をして再度出発(それほど大した出発じゃないけど)して少し歩くと、四番目の沢に辿り着いた。どうやらこの沢は「大石沢」と言うらしい。らしい、と言うのは、この辺まで来ると沢の案内表示柱もなく、ただそこに沢があるだけだからで、今のところ見落としはないと思うので、案内板を信じるならこれは「大石沢」ということになる。
結構な水量だが、この冬の降雪量を考えると少ないはずで、通常の降雪量ならもっと水量は多いだろう。この旧道は道沿いに沢が本当に多く、これまでもあったように沢の水が道に溢れていたりするのだが、この大石沢はカルバートで道の下を通して荒川に流していた。
実に長閑な風景だが、旧道の様子がよくわかる一枚ではないだろうか。のびやかに道が伸びていて、まさしく山の間を縫うように走る谷に沿って進む旧道。道幅はやはり狭いが、大型トラックとは言っても、今のトラックよりも若干小さかっただろうから、この道幅でも必要十分だったのかもしれない。
そういえば、昔の片洞門付近を写した画像(小国町WEB「小国町近代のあゆみ」より)でも道幅はこれとあまり変わりないような感じがする。
そのまま先へ進んでいると、またまた沢が現れる。この沢はどうやら「コウノトリ沢」と言うらしく、今までの沢とは少し違って段々と流れてくる沢の流れがいい感じだ。この沢はこれまでの沢よりも水量が多いような気がする。この沢も、水が路面に流れ出すことなくカルバートで道路の下を潜って荒川へ注いでいた。もしかするとカルバートで道の下を潜っている沢は現道時代にもあった沢なのかも、と言う気がしてきた。
コウノトリ沢が現道の下を潜るカルバート。その幅は結構広くとってあり、沢の水量に見合った広さになっている。眺めていて思ったが、これは橋ではないので当然欄干も親柱もない。車で走っていると、このカルバートの幅は非常にわかりにくいので、こんな山の中で携帯電話もない時代で脱輪でもして動けなくなったらどうするんだろうという気もしてくる。本来なら欄干がある場所に、デリネータでも立っていたのだろうか。
ここまで辿ってきた旧道を振り返って撮影してみた。いかがだろう?、この風景。今は冬枯れの時期なので彩りがない画像だが、これが新緑や紅葉の季節なら若々しい緑や紅葉の赤が眩しく映えることと思う。荒川のそばを通る旧道は今も現役時代の姿をとどめながら、今も人を通している。
上の画像とほとんど同じ位置から撮影した、2019年5月3日の15時過ぎ頃の画像だ。緑に包まれている道の風景がよくわかって頂けると思う。遊歩道になっている今のこの道をのんびり歩くのもいいが、自転車や車で走っても気持ちいい道だったのではないか。そんな気がしてくる。
この道を見ていると、やっぱり八ツ口旧道も遊歩道にならないだろうかと言う気がしてくるが…自治体が違うからなぁ…ダメかなぁ(赤芝峡遊歩道=山形県、八ツ口旧道=新潟県)。
背中のカメラ機材の重さを感じながらポツポツ歩いていくと、結構先にチラチラと橋が見えてくる。あれが現道の横根トンネルを抜けてすぐにある橋のはずだ。この旧道は結構長いように思えたが、こうして歩いて見ると意外と短かかったように感じたのは気のせいか。それはそうと、右側の山側の法面はゴツゴツした岩肌が露わになっていて、その下の路肩は補強工事の跡が見える。もう少し近づいて確認してみよう。
しっかりと路肩に擁壁が造られている。その擁壁はつい最近造られたものではなく、かなり年季が入っている感じだ。以前に大きな規模で崩れてしまって、それを修復した跡なのだろう。山側の岩肌が露出した法面は路肩の擁壁の部分だけの範囲で、この二つに何か関連した事柄があることを教えてくれている。雑木が生えまくっているこの斜面は、なんとなく降りることが躊躇われたことから上からの撮影だけとなったが、御容赦頂きたい。
さぁ、残る区間はあと少し!。これまで旧道としての痕跡を見つけられずに多少焦っているが、ここが113号の旧道だったことには間違いなく、このままじっくりと観察を続けていこうと思う。