新潟県主要地方道14号
新発田津川線の短い旧道

第4部

2020年5月8日 探索 2021年2月18日 公開

さて、前回の最後で登場した、こちらを向いている標識。まさか、こちらの道路が50キロ制限?!…なんてことは当然あるはずもなく(当たり前だ)、この標識は旧赤谷線の路盤を使った現道に対しての速度制限だ。ただ、何かの理由で(例えば冬季の除雪の際に、とか)向きが変わってしまったと思われる。ところで現道の奥に車が見えるがこれは廃車体で、車が止まっている場所の奥は元は農耕地だった。その倉庫代わりとして置かれたもののようだが、その後に耕作をやめてしまったため、今の様子になってしまったようだ。この画像で一見するとこちらに向かって走行してくるかのように見えるところが面白い。



上の画像の位置から少し現道に近づいて撮影してみる。実は私が今いる旧道も現道も小さい沢を横断していて、この画像は現道が沢を越えている小さい橋を旧道側から撮影したものだ。周りに生えている木々のおかげで非常に見えにくいが、この橋はコンクリート製で中のアーチの部分にコルゲートチューブのパイプで巻き立てをしてある。実に簡素な造りだが、必要にして十分といったところか。
チェンジ後の画像は、位置を変えて撮影したものだ。先ほどの車と小さい橋の位置関係がよくわかると思う。赤谷線がここを通っていたころもこの小さい沢はあったはずで、この橋は開業当時からのものではなく後年になって改修されたものだと思うが、なかなか年季が入っているように見える。



ふと視線を逸らすと、傍らに「標識板」という主がいなくなって寂しそうにしている標識柱を見つけた。この標識柱には何の標識が設置されていたのだろうか。近寄って確認してみることにしよう、そう思って見てみたのがチェンジ後の画像だ。その標識柱には「新潟県」の文字があるじゃないか!。
標識柱に「新潟県」の文字と言うことは、「工事中」や「その他の危険」に代表される警戒標識が設置されていたと思われる。


ところで、道路に設置される標識は案内標識、警戒標識、規制標識がある。
この標識や道路標示に関して定めている法令が昭和35年に制定された「総理府・建設省令第三号 道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」と言われる法令だ(この法令の前身は昭和25年3月に改正された、あの「道路標識令」)。この中で道路管理者が設置する標識に関しての規定があって、「案内標識」「警戒標識」、規制標識のうち「危険物積載車両通行止め」、「最大幅」、「重量制限」、「高さ制限」及び「自動車専用」を表示するものは、道路法による道路管理者(以下「道路管理者」という。)が設置するとある。そして、これ以外の道路標識では、

一 規制標識のうち、「大型貨物自動車等通行止め」、「特定の最大積載量以上の貨物自動車等通行止め」、「大型乗用自動車等通行止め」、「二輪の自動車・原動機付自転車通行止め」、「自転車以外の軽車両通行止め」、「自転車通行止め」、「大型自動二輪車及び普通自動二輪車二人乗り通行禁止」、「車両横断禁止」、「転回禁止」、「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」、「追越し禁止」、「駐停車禁止」、「駐車禁止」、「駐車余地」、「時間制限駐車区間」、「最高速度」、「特定の種類の車両の最高速度」、「最低速度」、「車両通行区分」、「特定の種類の車両の通行区分」、「牽けん引自動車の高速自動車国道通行区分」、「専用通行帯」、「普通自転車専用通行帯」、「路線バス等優先通行帯」、「牽けん引自動車の自動車専用道路第一通行帯通行指定区間」、「進行方向別通行区分」、「原動機付自転車の右折方法(二段階)」、「原動機付自転車の右折方法(小回り)」、「環状の交差点における右回り通行」、「平行駐車」、「直角駐車」、「斜め駐車」、「警笛鳴らせ」、「警笛区間」、「前方優先道路」、「一時停止」、「歩行者通行止め」及び「歩行者横断禁止」を表示するもの並びに道路法の道路以外の道路に設置する「重量制限」及び「高さ制限」を表示するもの

二 指示標識のうち、「並進可」、「軌道敷内通行可」、「高齢運転者等標章自動車駐車可」、「駐車可」、「高齢運転者等標章自動車停車可」、「停車可」、「優先道路」、「中央線」、「停止線」、「横断歩道」、「自転車横断帯」、「横断歩道・自転車横断帯」及び「安全地帯」を表示するもの
以上の標識は、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)が設置するもの、と規定がある。

つまり、道路の構造に関する標識は道路管理者が、道路の法令に基づく規制に関する標識は都道府県の公安委員会が設置しなさいと言うことになっているのだ。この標識柱に「新潟県」の文字があるということは、この標識柱には「道路の構造に関する標識」が設置されていた、と言うことが考えられる。おそらくは警戒標識だったのではないかと思うんだけど…正解はわからない。


標識柱があった付近をくまなく見てみたが、標識の残骸は確認できなかった。標識柱に「新潟県」とあったことから「つづら折りあり」か、「重量制限」か、はたまた「幅員制限」かといろいろ考えてみたが正解はわからず、諦めて前を向いた時の風景がこの画像だ。一車線の狭い舗装された道。沖見峠ほどではないが、それでも十分に狭い道が続いている。…こういう道は私の大好物だ!(笑)

この道の全長はさほど長くなく、あっという間に現道に合流して終わる。だが、その間に注意して見ていくと結構注目する場面があったりする。長めの旧道のレポートを書いていると、こういった細かなところは飛ばしてしまいがちになってしまうけど、実はその中に大きなヒントが隠されていることも珍しくない。気を抜かずに観察していくことが大事だと、改めて気づかせてくれる旧道だった。


次は、この旧道や、その関連で見かけた構造物(?)などをお話しすることにしよう(実はこっちの方が長いかもしれない。いわゆる「おまけが長い」というやつか?!)。

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