一般国道345号旧道
鬼坂隧道
 第3部
「千歳緑の、その先へ」

2024年5月18日 探索 2024年8月20日 公開

千歳緑の、その先へ

ピンク色の花に見とれながら、傍らの白いガードレールから外側を覗き込んでみると(というほどでもなく、ガードレール越しにと言った方がいいかもしれないが)…あれは?。何やら穴のようなものが見える。そして、それにつながる灰色の路面…おお!ありゃ現道じゃないか(←今頃気づいたヤツ(笑))。
やはり、この区間は現道と並行して走っているようだ。すると、この先で現道の鬼坂トンネルの直上を通るはずなんだけど…気を付けて見ておこう。…いかん、覗きこんでいたら背中がややムズムズしてきた。探索に集中しよう。

今は現道と並行しているので、この先で左カーブがあったらそこが現道と交差するところだな。そこでは旧道はたぶん現道の上を通過しているはずだ。さて、そこではどんな景色が見えるんだろう?と今からワクワクする。もしかして、下草が濃くてヤブになってて現道が見えなかったりして。それだけは勘弁してほしいもんだが…。それはそれとして道の前方も気になる。こりゃヤブになってないか?。このような状況でも長靴を履いているが故に、足元が一向に気にならないのは大いに助かるところ。ストレスなく探索出来るというのは大事だよねぇ。

ヤブの近くまでやってきた。先の方に見える木々に紫色の花の姿が見えるが、あれはたぶん藤の花だろう。そういえば、この直前の探索である楠峠でも藤の花は見かけたっけ。路面には水が流れている。これはたぶん道端に流れ出した沢の水が路面に流れてきたもんだな。路面にはアスファルトだけじゃなくて土の姿も見える。となると…滑るかもしれないから慎重に歩いていかないと。こんなところでコケてしまって骨折でもした日にはシャレにならないし。では、楽しい(?)時間の始まり!。ヤブを掻き分けることにしましょうか。

とは言うものの、最初はこんな感じ。ヤブはまだ始まってなく、路面に流れる水に注意しながら進むくらいだ。一見すると滑らないように見えるが、実は結構水苔が付いていて普通の靴だと間違いなく滑るタイプの水の流れだ。実は私も以前にこの手の水の流れを油断してトレッキングシューズで入ってしまい、思いっきり滑ってしりもちをついた苦い経験がある。あれは確か、一般国道352号の種苧原・城山トンネル旧道を巡っていた時だったか。いやぁ、あの時はケツが痛かった…。

昔の探索の出来事を思い出し、やおら痛くなってきた貧相なケツをさすりながら進んでいると、だんだんと周りの草の高さが高くなってきた。それでも、人ひとりが通れるだけの踏み跡らしきものがついている。それだけに安心して進むことができるので、軽くかき分けながら歩いていく。この先、ますますヤブが深くならなければいいが…

おおっと!

私の目の前に広がっていたのは、新録が目に眩しい草むら。でも、なんだか細い踏み跡がついているのにお気づきだろうか。ここまでくると元の道幅がよくわからないが、おそらくはここから見える山側の木々の生え際が、元の道の路肩だろうと思われる。
この道が旧道化してから34年。しかも旧道の隧道が貫通しているならいざ知らず、たぶん現道の鬼坂トンネルが開通した直後に隧道は封鎖されてしまっただろうから、この道も34年間封鎖されていると言ってもいいかもしれない。その道を取り囲む緑は非常に深く、まるで千歳の時を超えたかのような濃い緑だろう。その先に鬼坂の隧道がある。ちなみにこの隧道は未舗装だったらしいが…一度通ってみたかった。

この先にあるであろう隧道の前までくると、それをより一層強く思うんだろうな。
昔は通れたのに今は通れない。この道から見えた風景を、私も一度見たかった。

だから、せめて隧道へ逢いに行く。
草を掻き分けて踏みしめる力に、一層気持ちが入る。

おや?。現道との交差地点はどこだったんだ?

第4部
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