一般国道345号
楠トンネル旧道
第5部
「静かな森の先に」
2024年5月18日 探索 2024年7月4日 公開
このレポートは初出は「楠峠トンネル旧道」としていましたが、
正しい名称は「楠トンネル」のため、訂正しました(URLはそのままです)。
「静かな森の先に」
森の中に突っ込んで行く道…と思ってドキドキしながら進んでいくと、このような道が現れた。山の中の廃道にしては、往時の道幅をよく残していてとても嬉しい(お決まりだがガードレールはない(笑))。でもここには路面にダブルトラック、残されたアスファルト。これは今でも自動車の交通があることの証で、これだけ明瞭なダブルトラックだと頻繁ではないけれど、それなりの頻度で車が通行していると言うこと。でもねぇ…その割には途中の道が草だらけだったし、道の周囲にもどこにも電線の類は無いようで、そうなると管理道とも違うし…林業関係の方々か、ハンターの方々が通行してるのかもしれない。
上の場所からふと横を見ると、このような景色が。さきほど見えた耕作放棄地から、かなり上に上がってきたが、ここにも耕作放棄地があった。ここは結構な山の中、昔はここまで畑や田圃を耕しに来られてたんだなぁと思うと、それだけで感慨深い。その脇を通っていたこの道も、当時はいろんな人が元気に行き交ってたんだろう。つい最近まで人々が農業を営んでいた土地。山の中のその場所は、静けさに包まれながら自然に戻りつつある。
ここから先に見える左カーブ。その先が何やら急勾配の線形になっているのが、この位置からでもよくわかる。あそこを自転車を押しながら上がるのは少し苦労しそうだが、仕方ない。ここから道の勾配がキツくなると言うことは、いよいよ峠が近いのか。以前にここを通行されたことのある方々の情報をネットで調べてみたが、頂上からの景色はよさそうだ。空を見上げても、峠までそんなに距離はないだろう。
道は周囲を針葉樹に囲まれ、花粉症のシーズンにここを訪れようものならとんでもないことになりそうだが、幸いに私はまだ花粉症を発症していないので構わずに通行することが出来る。もし花粉症になったら…薬を飲んででも、こうした廃道や旧道に赴いているかもしれない。
路面のアスファルトもくっきりと、今にも向こうから車がやってきそうな道だが、ここは廃道(なんだろうか?)だ。道幅も一気に広がり、大型車が優に対面通行で通れそうなほどの道幅になっていて、その幅に切り拓かれた周囲の林から空を見上げるとV字型に切れ込んだようになっていて楽しい。それに空の青と木々の緑、地面の草の鮮やかな緑が、これまた美しく映える。ここで標識の一本でも登場してくれたなら、テンションが一気に盛り上がるんだが(笑)
しかし、この勾配を自転車を押して上がるには少し苦しいものがあるな。え?。ほとんど乗らないのに、なぜ自転車を連れてきたのかって?。それは、峠から降りるときに楽をしたいからに決まっているじゃないか(笑)。それに峠を降りてからも、今度は現道のトンネルを通ってベース地点まで戻らないといけない。この距離が結構あるのよ。やっぱり楽したいじゃない(笑)。
ここでまた道幅が狭くなる。いや、狭くなるというよりも、山側の斜面と路肩に木が生えて狭くなったのが、多分正解だろう。路面にはここにもダブルトラック。ホントに今も通行している車がいるのかもしれない。でないと、ここまでハッキリとダブルトラックが残らないだろうと思う。
周囲の森の深さはますます深いものになってくる。今は時間からすると正午前で、一番暑くなる時間でもあるけど、いつもは元気な小鳥たちも木陰で休んでいるのか、賑やかに囀る声はまったく聞こえない。ここに来て物の怪の類がいそうな雰囲気になってしまった静かな森の先に、道は進んでいく。
…そうこなくちゃ、面白くないよね(笑)。自転車を押す手に力を込めて先に進むと…!
着いた!ここが楠峠だ!
自然の植え込みのような木々の間にバリケードらしきもの。現道だったころはこの木々はなかったんだろうな。出ないと車が通れない。その先はものすごく広い平地がある。もしかして、ここには展望広場のようなものがあったのだろうか。でも、私の目の前にあるこの錆びついた柵のような物はいったい…?
この幅からすると、この道が廃道化したあと、ここにバリケードのようなものがあったのでは?。このポールの幅、なんとなく峠道などでよく見る長方形の黄色い板に矢印がついた、おなじみのデリニエータがついていたんじゃないだろうか。
だが、よく考えてみよう。ここは峠だ。
左に行けば谷に落ち、右に行けば森に入るという場所で、いったいどっちに行けばいいのか。結局は引き返すしかないではないか。それとも矢印が上か下に向いていたのか。そんなデリニエータは初めて見るぞ(笑)。
…わかった!それで路面にダブルトラックが付いてたんだな!(違)
さぁ、この柵を越えれば峠の広場だ。そこからどんな景色が見えるのか、それは次回!。