一般国道345号
楠トンネル旧道

第1部
「探索は自転車に乗って」

2024年5月18日 探索 2024年6月14日 公開

「探索は自転車に乗って」

右側に置いたベースの車から少し離れて、道の左側の茂みを覗き込んでみる。ふーむ…緑に覆われてわかりにくいが、これはコンクリートのパネルで出来た擁壁だな。でも、これ一つ見つけただけで、この道の風景が現役当時だったころの風景が見えてくるから不思議なもんだ。橋の先のカーブからどんな車がひょっこりと現れてきたのか。想像してみると楽しい。では、その先に見える橋に行ってみようか。



橋まで歩いてやってきた。こうしてみるとなかなかに道幅が広い橋で、一見現代の橋のように見えるが…その幅はやはり一昔前の車の幅を基準にしているようだ。現代の車なら対面通行はギリギリかもしれない。高欄は非常に簡素な造りで歩道はなく、路面を見てみたが白線も引かれた様子はないので、現道当時から車の幅しかない橋だったようだ。もちろん交通量も大してなかったのかもしれないが…。

チェンジ後の画像は、この橋で唯一残っていた銘板だ。親柱的なものがないので高欄の一番端の支柱に止めてあるだけの簡素な銘板だが、それ自体は立派なものだ。橋の名称は「菅野代橋」。この楠峠で唯一の隧道や橋の道路構造物と言ってもいいかもしれない。

橋から見える景色がこれだ。深い緑と田圃、その中心に流れる川。この川は現道でも越えていた五十川だ。もしかしたら、あの橋も菅野代橋というのだろうか。確認するのを忘れたなぁ。この川を眺めていると、いかにも冷たそうな水が流れていて気持ちよさそうだ。ここだけ見ていると、なんとなく初夏の山々の爽やかな空気を連想する方も多いかもしれないが、実際はさにあらず。山に入るために長袖、ヘルメット、川の手袋などを着用している上に、この日差しなので暑くて仕方ない。熱中症にならないように、水分と塩分は少し多めに持っておこう。

景色を眺めながら、大きく息を吐く。
さ、車に戻って自転車に乗って、探索を始めるとしましょう!

自転車に乗って、あらためて眺めてみる。これが楠峠の菅野代側の入口にある「菅野代橋」だ。橋の上はコンクリ、その他は古ぼけたアスファルトの路面が顔を覗かせている。ここだけ見ると峠までこの舗装が続くように思えるが、きっと違うだろうな。そうでないと面白くないじゃないかという声も一部から聞こえてくるような気もするが…ほら、そこ(笑)。

ところで、こうした峠道も「ところ変われば品変わる」で、今まで見てきた新潟県の峠道と比べて、心なしか雰囲気というか、何か印象が違う気がする。このところ新潟県から離れて山形県に来ているけど、一度離れてみるのもいいもんだ。

少し進むと、この通り。旧道の雰囲気満載の道が現れる。路面にはダブルトラックが見えるので、まだ車の通行はありそうだ。この辺から早速上り坂になってくるが、まだまだ道の勾配がさほど厳しくないので、自転車に乗ってのんびりと進んでいく。日差しは相変わらず暑いが、木々を通る冷たい風が時折吹いてくれたりするので非常に気持ちいい。頭の中に流れている音楽は、なぜか「アルプスの少女ハイジ」が流れているところも気分を乗せてくれる。但しハイジは歩いているが、私は自転車に乗っているので少々違和感がある(←そんなことはどうでもいい(笑))。
さて、ここから先の左カーブを過ぎると…

これこれ!。早速、遺された道路構造物を発見!。落石止めのこのフェンス、現役の国道や酷道でもよく見かけるもので珍しくもなんともないが、それは現道上でのお話。こうして旧道や廃道で見かけると、交通量が少なくなった道を今でも懸命に守ろうとしている姿に感激する。上の斜面を見ると、ここだけ木々がなく、斜面の角度も緩やかになっているので、ここは以前に崩れたところだと見た。そういえば、このフェンスは木々がない区間だけで施工が終わっている。ここも現道当時は災害国道だったのかなぁ。

次回、五十川の渓谷沿いに進む旧道。涼を求められるか?

第2部
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