一般国道253号
田澤トンネル旧道

第2部
「コンクリート柱と角型蛇籠」

2024年4月20日 探索 2024年10月14日 公開

コンクリート柱と角型蛇籠

並木道の部分に近づいていく。路面はアスファルトが露出していて、ここだけ見ると未だに現役の道と言っても信じてもらえそうなほど傷みが少ない道だ(もっとも、今でも地図に記載されているから、現役の道なんだけどね)。
左の山側は急角度な崖、しかも吹き付けコンクリートなどない正味そのままの土の肌むき出しの崖だ。右の川側は路肩に針葉樹(杉)が見えるが、実は結構急な崖でもある。もし仮にここから川側に落ちようものなら、さして引っかかるところもなく渋海川に真っ逆さまで落ちてしまうだろう。これが2級国道というから恐れ入る。現道がいかに整備され保全管理が行われているか、わかろうと言うものだ。

その針葉樹の並木のところに近づいてみると、こういった旧道にありがちは不法投棄が見える渋海川に落としてないだけ上出来といえるのかもしれないが、本質はそういう問題ではない。こんなところに廃タイヤやブラウン管のテレビを置いてしまうということ自体が、そもそも違うだろうと思うのだが、どうだろうか。ここから見える景色は素晴らしくいいだけに、非常にもったいないし、やっぱりこんなところにこんなものを置いてはいけないよねぇ。

先ほどの並木道のところで、ほてった頭と体をクールダウンしようと思ったが、あの不法投棄を見てさすがにそんな気にはならず、先へ進むことにした。路面の舗装はアスファルトからコンクリートに代わり、のんびりとした穏やかな道が続いていく。対面通行で車が通るにはやや狭い道幅、それはおよそ5メートルほどだろうか。この道は「松代道路」や「上越魚沼地域振興快速道路」といった大掛かりな改良が行われているだけに、それ以外のところも局所改良として多くの部分が改修されている。なもんで、こうした旧道がいろんなところにあって、私の興味を大いに引いているのだが(笑)。

緑豊かな山々の裾を辿り、なおかつ渋海川に沿って走っている道。その道の脇には田んぼがあったりして実に楽しい道だが、実は上越と南魚沼市を結ぶ非常に重要な道だったりするが、確かにその道がこうだったりすると、そりゃあ真っ先に「改良しましょうか」ということになるわなぁ。

山側の斜面に並ぶ、コンクリート柱で組み上げて造られた擁壁。その風景は独特の風情を引き出していて実に美しい。今はここを通っている人もいない、私だけの独り占めの風景。こんな風景を独り占めできるということが止められずに、ここまでやってきた。いいねぇ…。
こうしていろんなところの風景を見ていると、どこかで忘れてきた何かを教えてくれているようで、立ち尽くしてしまう。
…いかんいかん、先へ進まないと(笑)。

左側の擁壁(と言っていいのかどうかだが)、コンクリート柱だけで組み上げてあるのがスゴいなと思う。こういった場所では今なら「地すべり防止用金網製ふとんかご」、またの名を「角型蛇籠」(またの名を、と言うよりも、こっちが本来の名前だろうが)を使って組み上げるんだろうけど、ここはコンクリート柱。よくもこんなに綺麗に組み上げるもんだと、見ていて惚れ惚れしてしまう。これに角柱のガードレールなんぞが川側の路肩に残っていてくれると非常に嬉しいんだけど…無いんだよねぇ、これが。標識さえも全くないというのは、こうした旧道では毎度のことではあるんだけどね(笑)。

少し見る位置を変えるだけで、少し見る角度を変えるだけで、その風景はまるで違った風景に見えることもあるし、太陽光の当たり方によってキラキラすることもあれば、ど~んよりとした風景になってしまうことも少なくない。この画像は…上出来な方かな。
さて、休憩したいんだけど、さっきは不法投棄の件で興奮して休憩できなくなってしまったからなぁ…その代わりに前方に見える、あの木の下で休憩することにしましょうか。

第3部
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