新潟県一般県道480号
山中上野線 第2章 第3部
「小さい峠を越えて」
2024年9月28日 探索 2025年9月9日 公開
小さい峠を越えて

さ、先へ進んでみよう。道は大きく右カーブして上野集落に向かっているが、このカーブなんか素晴らしくない?。こういったカーブを眺めていると、もしかしてここは森林鉄道の路盤跡だったんじゃないか?などと思ってしまうが、残念ながらそうではない(なんとなくそんな雰囲気ではあるんだけど…違うんだなぁ)。
ところで、カーブ中央の路肩部分に、何やら補修の後が見られる。その上の斜面には特段変なところは見られないので、多分路肩が崩れたのかなぁ。うーん、ごっそりイってしまったのかなぁという気がするが…。

多少画面が暗くなってしまったが、ご勘弁いただきたい。さっきの路肩が崩れたところを過ぎると、このようなのんびりした風景の道になる。ここは酷道や険道のジャンルには到底当てはまらないだろうとは思うが、こういう日本の原風景を感じることが出来る道と言うのも地味に好きだったりする。左側が拓けているので、こんなところからクマさんがヌッと出てきたらどうしましょうかと言うことになる。最近、新潟県でもクマの目撃が非常に多い(2025年現在)ので、気を付けないといけません。

森の中に突っ込んで行く道。ここは元の国道252号。ここをどんな車たちが通っていったんだろうなぁと思うと、これもなかなか楽しい。バスも通ってたんかなぁ…。でも、この道は旧道とは言え、廃れているような感じはなく、むしろきちんと整備されていて、路面に下草がはみ出してきていると言うことも…(あったかな?第2章になって少し行ったところに)…あったかもしれないが(汗)、通行するのに苦労することはなかった。いろんな旧道があって、それは通行出来たりそうでなかったり、色々な旧道や廃道があるが、やっぱり一つとして同じ雰囲気の道はないと言うのが面白い。ここから少し先に進むと、小さな峠を越える。この道は山中集落から出発して上野まで、いくつの峠を越えるんだろうか…。

これがその小さい峠。峠と言えるのどうかは別として、山の中にひっそりと佇んでいる、こういった切り通しの道はやっぱり峠道なのかなぁ…と言う気がする。この切り通しなんか、やっぱりこうして現地で切り通しの道を見ると、たまりません。近くに車を停め、少しの間ウロウロしたのだが、その最中ずっとセミが煩かったのを覚えていて、田舎育ちの私はその煩いセミの声がすっごく懐かしかったのを覚えている。

大きく左にカーブしていく旧道。左は耕作放棄地だろうか。左カーブの先には過去に滑った山肌を止めるように、擁壁が造られて、滑ろうとする地盤を止めているようにも見える。さっきの路肩が崩れていた跡がある場所もそうだし、この道も災害酷道だったことは間違いない。もともと、この道が国道として指定されたのは1963年(昭和38年)4月1日。二級国道252号柏崎会津若松線(新潟県柏崎市~福島県会津若松市)が始まりだから、この道はおそらくその極初期の、二級国道として指定された当時の道なんではなかろうか?いう気がしている。

その擁壁のところまでやってきた。実に年季が入った、ある種の貫禄を感じさせてくれる擁壁。新潟県一般県道になってどのくらいの時間が過ぎているのかわからないが、現道の山中トンネルの開通が1972年(昭和47年)11月だから、優に50年は過ぎている。ちなみに仙田隧道の開通が1955年(昭和30年)なので、この擁壁が最初からあるかどうかはわからないが、50年くらいかなぁ…。なんにせよ、えらく古くからここに鎮座していると言うことだ。
…でも、この風景だけを見る限りでは、とても50年前後の時間が過ぎているとは思えない、立派な道だ。やはり道は管理されてこそ、毎日安全に通行することが出来るのだなと言うことがよくわかる。
こういった山道は、少し放っておくと下草が繁殖しまくってしまうからねぇ…。
次回、もう少し大きな峠を越える。そこには…!
第4部へ
新潟県一般県道480号 山中上野線
- 山中上野線 第1部「その日は突然に」
- 山中上野線 第2部「取り残された場所」
- 山中上野線 第3部「ヘアピンカーブの真ん中で」
- 山中上野線 第4部「稲架掛けの先に」
- 山中上野線 第5部「草と苔に覆われて」
- 山中上野線 第6部「天空の三差路」
- 山中上野線 第7部「ひび割れたアスファルト」
- 山中上野線 第8部「国道の貫禄」
- 山中上野線 第9部「宿場を目指して」
- 山中上野線 第10部「アースクェイク」
- 山中上野線 第11部「旧き隧道の姿」
- 山中上野線 第12部「断面が変わる隧道」
- 山中上野線 第13部「峠越えの街道」
- 山中上野線 第14部「取り残された道」
- 山中上野線 第15部「嬉しくない出会い」
- 山中上野線 第16部「取り残されたエンドポスト」
- 山中上野線 第17部「丸石積みの擁壁」
- 山中上野線 第18部「通せんぼの県道」
- 山中上野線 第19部(完結編)「旧き家、旧き道」
- 山中上野線 第2章 第1部「旅の続き」
- 山中上野線 第2章 第2部「常盤緑のワインディングロード」
- 山中上野線 第2章 第3部「小さい峠を越えて」