新潟県一般県道480号
山中上野線 第3部
「ヘアピンカーブの真ん中で」
2024年9月28日 探索 2025年1月27日 公開
ヘアピンカーブの真ん中で
と言うことで、前回の最後に「思わず小躍りしてしまうくらい私の大好きな道形」が登場すると予告していた。その答えがこれだ!。想像していた方も多いのではないかと思うが、その道形とはこの180度カーブのことだ。よく見て頂くと右側の道の路肩にコソッと隠れたように、ガードロープのエンドがはっきり見えているじゃないか。
やっぱりこのカーブの真ん中にテント張ってみたい(笑)。んでもって、月夜の夜にパイプチェアにランタン、出来れば焚火で、スコッチウイスキーのロックなんぞを傾けながら、月の光に照らされるこのカーブを眺めてみたいとは思わないか?!…普通なら思わないな(笑)。
閑話休題。ガードロープのエンドがある道を、ここからもう一度覗き込んでみよう。
杉の中を進む旧道。そこだけ切り開いて道を通しましたと言う印象がある。いやぁいいなぁ。でも、その道幅は極端に狭いのよね。これが3ケタ国道の実力と言うものか(もっとも、この道は今は旧道だが)。この道を大型でも通ろうものなら、対向車は通行できないか、離合待ちのどちらかになってしまう。でも…今は舗装されているが、これが未舗装だったらと考えてみたらどうだろう?。きっと、遥か昔から多くの旅人が通行していた、歴史ある道に見えるんじゃないか?と思ってしまう(←実際にその可能性が高いんだけどね)。
今度はカーブの先を覗いてみよう。ひび割れた路面が、なんとも言えない寂しさを醸し出してくれる。一見するとただの農道にも見えないこともないこの道が、以前は国道252号、今は新潟県一般県道480号山中上野線として指定されている道だ。よく見ると、左側に電柱らしきものが見える。そうすると、この道はもう一度方向を変えて登り続けていると言うことか!。
なるほど~…まだまだ標高を上げるのか。ま、峠を越えるわけだから当たり前と言えば当たり前の話だが、この分だと自転車はしばらく押し歩きになりそうだ。…ま、脂肪の付いた身体に対してはいい刺激になりそうだ。少し体重が落ちてくれると嬉しいが…。
180度カーブの道から少し上がって行くと、このような景色が現れる。雰囲気は完全に農道。しかし、ここは紛れもなく県道だ。左側には稲を刈り取ったばかりの田圃の姿が見えている。やはりここは県道ではあるものの、農道としても機能を果たしているようでもある。だからガードレールも何もないんだろう(ガードレールがあるとトラクターやコンバインなどの農耕車両が出入りできない)。元が国道で現在は県道で、見かけは農道であっても(若干ややこしいが(笑))道としての機能をしっかり果たしてくれていると言うことは、実に嬉しいことでもある。道としての歴史が過去から現在までしっかりと繋がっているという証だから。
しばらく進むと、こんな素敵な風景に出くわした。右側は雑木林、しかも路肩の斜面はここから見ると、どうも石垣に見える。道幅は現代の車でも余裕ですれ違いが出来るほど広くなり、左側は針葉樹は広がる林。なんだろう?この雰囲気は。清々しくも感じられるし、畏怖も感じられるほどピンと張りつめた空気が感じられる道。こんな雰囲気の峠に出会ったのは久しぶりで、以前にもどこかで感じたことが…と思って現地で悩むこと10分。思い出したのは国道7号の峠、蒲萄峠の旧道だった。
ここもおそらく峠だろう。但し、そんなに大きい峠ではなく集落に近づく前の峠道かもしれない。さて、ここではやっぱり右側の擁壁でしょう!。近づいてじっくり観察せねば!。
きちんと側溝が形作られ、お決まりで枯葉に埋もれているところも愛おしい(笑)。石垣のように見えた擁壁は実は違っていて、土の法面そのままで擁壁ではなかった。だが、その表面は苔でびっしり覆われていて、もしかして苔でその強度を保っているんじゃないかと言う気さえしてくる。
でも、これは美しい。時間を重ねないと作り出せない風景と言うのは、どんなところでも実に美しい。
そういえば、ここまで休憩らしきものを取っていなかった。この辺で少し休憩しようか。リュックから毎度お決まりのルイボスティーを取り出して一息つく。今日は気温も上がって暑い日になったが、ここは日陰で風が冷やされて涼しい。まだまだ先は長いし(隧道への分岐点にもまだ到達していない)、ここで少し小休止してから先へ進もうか。
持参の地図を見てみると、ほどなく山中の集落のはず。路線の名称にも、トンネルの名称にもなった集落はどんなところなのか、それも興味は尽きない。まずはその山中集落を目指そう!。