新潟県一般県道480号
山中上野線 第2部
「取り残された場所」
2024年9月28日 探索 2025年1月22日 公開
取り残された場所
さて、山中にある山中集落を目指そうかとペダルを漕ぎだした瞬間、「あ、だから山中集落っていうのか!」といたく感心してしまった(ただし、本当かどうかはわからないので悪しからず)。さて、その道だが意気揚々と突っ込んで行くと、このようなところに出てきた。御覧の通り旧道は右へカーブして進んでいくが、何やら直進の道もあるように見える。
こりゃ覗き込まないといかんだろうと自転車を停めて興味津々で入ってみるが…先は森で行き止まりになっていた。そこには道の路盤のようなものは見当たらなかったが、こうして外側から見るとやはり交差点のようにも見える。以前は本当に何かの道が分岐していたのかもしれない。
多少道幅は広くなったが、変わらず旧道の雰囲気は満載の道。道端にはちゃんと側溝の姿も見えていて、左の山側には粗目の石が使われた疎石コンクリートで造られた低い擁壁の姿も見える。一見すると林道のようにも見えるこの道が国道252号だったとは俄に信じがたいが、これが三桁国道。その重要性から、この道は麓に新しく山中トンネルが穿たれて無雪道路になり、この道が旧道化したんだろうな。そう考えると、この道はおそらく山中集落まではしっかり管理されているだろうけど、そこから先はどうなっているのか少々コワいものがある(汗)。それに冬は、山中集落から先は冬季通行止めになっていたに違いない。きっと…たぶん。
画像を見て頂けるとわかっていただけると思うが、ここまで来ると結構急な勾配が続いている。この探索を行ったのは9月の終わりだが残暑が厳しく、12インチの小径車でこの坂を上っていると汗だくになってくる。こんなところで普段の運動不足がたたっているらしい。それに小径車であるが故に少しでも軽くなるようにとギアを変えると、さっぱり前に進まんし(笑)、結果として押し歩きになってしまった。
…ま、いいか。押して歩くには多少重いが下りになると楽になるから、その時まで楽しみに押して歩くことにしよう(←一般国道345号楠トンネル旧道で実証済み(笑))
ところで今回の探索に聞いていた音楽を久しぶりに紹介すると、今回はMrs.GREEN APPLEの「ライラック」と「ケセラセラ」を聞いていた。もちろんクマ避けにスマホから流しながらだけど(^^)
出てきました!360度急カーブ!…違う、180度急カーブ!(^^;
押して上がっていた自転車を道の脇に停めて、このカーブ全部を画像として収めるべくあちこち歩き回った。時間にして30分以上はここで過ごしただろうか。今回の探索は全長が長いので結構時間がかかるが、それを忘れさせてくれたのがここだ。現代の道の造り方ではまず出会えないものだけに、道がぐるっと回り込むこの風景が好きなのだ。特にこの回り込む道の真ん中の、島みたいに取り残された場所が非常にツボ。ここにテント張って一晩過ごしたいくらいだ(笑)。
ひとしきり180度急カーブを愛でまくったあとは、また集落を目指して進んでいく。もちろん、押して歩いて(←自慢にならない)。この辺はいかにも「山の中を切り拓きましたよ」と言う道の形をしている。右側の斜面は玉石積みの石垣でもなければ、もちろんコンクリートパネルの擁壁でもないただの土の斜面だが、そこに草が密集することによって地盤がある程度固まっている。そして左側は竹藪。竹はご存知の通り地下茎を張り巡らせて成長していくので、地盤は強固になっていく。その真ん中に、まるで守られるかのように進む旧道。道を一本通すにも、よく考えられているもんだと感動してしまった。
時間の経過で消えてしまって、その跡だけを残す路側帯の白線と、相方を無くしたガードロープのエンドだけが残る、一抹の寂しさが感じられるこの風景が、旧道ならでは。そこに滅びていく美しさがある。
旧道や廃道にはいろんな道があるけれど、私は身近にある道の風景を楽しみたくて、自分たちの生活のそばにある旧道や廃道を訪ねている。その方が楽しいし。それに見る人が変われば見える景色も変わるので、このレポートを見られた方が訪れて再度同じ道を探索した時に、私が見つけられなかったものを見つけられるかもしれない。それは素晴らしいことだと思ったりして。
でも、目を皿にして辺りを見回している私もいるのも事実だ(笑)
次回、またまた私の好きな道形が現れる!。思わず小躍りしてしまうくらいだ。
そのヒントは…一晩テント張りてぇー!(笑)
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