新潟県一般県道480号
山中上野線 第16部
「取り残されたエンドポスト」
2024年9月28日 探索 2025年4月7日 公開
取り残されたエンドポスト

偶然にも、シカども(©沿岸バス様)に出会った私は、これまで以上に周囲の状況に気を配りながら進んでいくことにした。道は相変わらず路肩や山の崖側から下草が大いに侵食してきて路面が狭くなりつつあると言う、旧道や廃道にあるあるの景色が繰り広げられている。そんな中で私の前方に出現してきたのは…これだ。
デカい落石だね、おい(汗)
人の頭以上もある大きさの石が路面に転がっている。しかも2個も。
この道の通行量が大幅に減少したのも、おそらくはこの落石が原因だろう。これなら、この道の山中側の入口に「落石注意」のA型バリケードが置いてあったのも説明がつく。私は探索中は必ずヘルメットを被っていて、夏だと暑くてたまらない時もあるが、こういった光景を見ると、やはり暑くてもヘルメットは被っておいた方が良いと思ってしまう。

落石の地点を過ぎて先へ進むと、また元通りの旧道の風景に戻る。但し、さっきの落石を見てしまうと、何の注意もせずに進んでしまうわけにもいかない。左も右も深い森に接しているこの道は山中側よりも静かな雰囲気に包まれていて、実に柔らかな雰囲気に包まれている。少し先の路面にはダブルトラックも見えていて、一見廃道に見えるこの道も実は僅かながら自動車の交通もあるようだ。…しかし、それならさっきの落石はどうするんだろう?。道路のど真ん中に落ちていたが、あれでは車が通れないではないか。
そんなことを思いつつ(おおよそ、こんな時の私は1人でブツブツと独り言を言っている。傍から見るとアヤシイったらありゃしない)、のんびりと先へ進んでいく。

路肩にポツンと取り残されたガードケーブルのエンド支柱(エンドポスト)。その周囲の路面が落ち葉に覆われているのが、否が応でも旧道の雰囲気を盛り上げてくれる。この部分はカーブの部分に当たるが、ここだけ道幅が広くなっていてカーブを曲がっていく車のために広くなっているものと思う。この辺りを見回してみても他にガードケーブルの支柱はなく、これだけが取り残されている感じだ。それだけにここに一つだけポツンとあるこの支柱だけが目立ち、何となく哀愁を感じてしまう。

さっきにも増して空が高くなってきた。この道がもうすぐ平地に近づいていることを指している。自転車のスタンドを立てて固定すると、手持ちの地図を広げて確認してみることにしよう。山中集落からここまでなかなかに長い道のりだったが、着実に中仙田の宿に近づいているようだ。その割には路面の状況と言えばアスファルトがひび割れて、そこから草が生えてしまっている。うーん、こりゃどう見ても廃道の雰囲気だが…これはいったい?。
山側の崖を見てみると、なかなかに急な斜面が続いている。積雪が多い冬が過ぎて雪解けの季節になると雪崩や崖崩れも起きたはずで、この道も災害国道だったのだろう。

谷側には一本の印象的な針葉樹、山側の急峻な崖。これでもかと山岳国道の趣を持った道が続いていく。そんな中でもやっぱりお決まりのアイテム、谷側の一部分に補修した跡が。しっかりコンクリートブロックで施工されていて、これは何かの要因で路盤が崩壊した跡だろう。その原因は果たして雪解け水か、路肩の崩落か。今となっては知る由もないが、復旧された道を私は今こうして通行している。補修してくれた工事関係者の方々に感謝だ。

この旧道の中仙田に向かう探索はもうすぐ終わりを迎えるだろうが、実はその先にも旧道が続いている。この旧道は中仙田から上野に向かう道で、この道も実は国道252号の旧道だったりする。この区間のレポートはこのレポートと連続しないでお届けしようと思っているので、楽しみにして頂きたい。
さて、この道だが…この期に及んで路面には草が生い茂り、侵食度合いも激しくなってきた。おいおい、この道はさっきのダブルトラックの通り、少しでも交通量があるんじゃなかったのか。路面には何やら直線的な傷がついているし…とはいえ、除雪車が付けた傷でもなさそうだ。山中集落側から入って仙田隧道を過ぎてからと言うもの、この道の様子がどうもおかしい。仙田隧道の中仙田側に立ててあった立入禁止の看板、坑道断面が山中側と中仙田側で違う隧道、山中側に比べて荒れている路面…。今さらながらに、ある考えが頭をよぎる。
もしかしてこの道、通行止めになってない?!
新潟県一般県道480号 山中上野線
- 山中上野線 第1部「その日は突然に」
- 山中上野線 第2部「取り残された場所」
- 山中上野線 第3部「ヘアピンカーブの真ん中で」
- 山中上野線 第4部「稲架掛けの先に」
- 山中上野線 第5部「草と苔に覆われて」
- 山中上野線 第6部「天空の三差路」
- 山中上野線 第7部「ひび割れたアスファルト」
- 山中上野線 第8部「国道の貫禄」
- 山中上野線 第9部「宿場を目指して」
- 山中上野線 第10部「アースクェイク」
- 山中上野線 第11部「旧き隧道の姿」
- 山中上野線 第12部「断面が変わる隧道」
- 山中上野線 第13部「峠越えの街道」
- 山中上野線 第14部「取り残された道」
- 山中上野線 第15部「嬉しくない出会い」
- 山中上野線 第16部「取り残されたエンドポスト」
- 山中上野線 第17部「丸石積みの擁壁」
- 山中上野線 第18部「通せんぼの県道」