新潟県一般県道480号
山中上野線
 第15部
「嬉しくない出会い」

2024年9月28日 探索 2025年4月2日 公開

嬉しくない出会い

さて、山道をぼちぼちと進んでいると、山側の斜面がこのようになっている場所に出た。なんだか山の地肌が丸出しになっているので、思わず立ち止まってじっくりと眺めてみる。すると、山肌が一皮剥けたみたいに、表面だけなくなっていることに気づく。
ここは…この付近で起きた路盤崩壊と同じく雪解け水が地中に染み込んで、山肌の表面だけ滑ってしまって、こうなってしまったのか…。他を見回してみても、ここの斜面だけ他のところとは違って木も草もなく、ごっそり滑り落ちてしまったことを物語っている。

土肌が出た斜面をじっくり観察して満足したところで先に進む。そこで出会ったのがここだ。左も右も自然の木々に囲まれて、見事な切り通し。路面には蔦や枯葉が散乱して、とても現役の道とは思えないが、地味に広い道幅に緩やかな坂道、それは一見して「車道」と思える。一応は現役の県道だけど、ここが実は元国道だったなんて、この画像だけ見たら誰が思うだろうか。

…私も、この旧道や廃道の世界に入り込まなかったら、ここが元国道なんて思わなかっただろう。実に楽しくいい世界に出会えたものだと実感している。

地図上で言うところの等高線に忠実に沿って、先へ進んでいく旧道。ここだけ少し道が広くなっていて、もしかして休憩できるようになっていたのだろうか。でも、その先は道幅が極端に狭くなっているようにも見える。もしかしてその部分は過去に路盤が滑り落ちた部分か?。こういった山間部の旧道には珍しいことではなく、むしろよく見られることだけど、他の国道や県道の旧道と同じく、ここも災害と隣り合わせの危険な国道だったようだ。

仙田隧道から下りてきて、だいぶ高くなっている空を見上げつつ、山の中の旧道をのんびりと(自転車を押しながら)歩いていく。普段は車などの交通がほとんどないが故に空気は非常に綺麗。で、思わず深呼吸してしまう。…うん、獣の匂いはしないな。近くにクマさんはいないようだ。とはいえ安心は出来ない。山の景色と空気を楽しみながら、周囲に十分に注意して歩いていく。

谷側の路肩に木々が何も生えていない不自然な場所を見つける。ガードレールや白線はないものの、ここだけ舗装が微妙に新しくて、後から修復されたものだとわかる。山側にはさほど変化は見られないだけに、路盤の部分だけが派手に崩れ落ちたと思うけど…仙田隧道を過ぎて十日町市側に入った途端に、この道のあちこちに災害のつめ跡が見られるようになってきた。もしかして、この道の交通量が少なくなった直接の原因とは、こちらの十日町市側が原因なのか…?。それを明らかにするためにも、もう少し進んでみよう。

そんなことを思いつつ、先へ進んでいた時のことだ。このカーブに差し掛かった時に、いきなり目の前に自然動物の姿が!。それも複数いる。カーブを曲がるといきなりで、さすがに驚いて声を上げそうになったが、ぐっと堪えて、その動物たちと視線が合ったその瞬間、お互いに「えっ?!」「アンタ誰?!」「なんでこんなところにいるの?!」「マジ?!」と言った感じでモノローグが続き、時が止まる(笑)。
その動物はシカ。幸いその「シカども」はメスで(角がなかった)、しかも比較的穏やかな性格だったようで、私としばらく熱く見つめあったあと山の中に消えていった。どうやら私は彼女たちの好みではなかったらしい。

ひとまず無事でよかった。シカも、シカどもでよかった。これがクマだったら、こうは行かなかっただろう。気をつけなくては。

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