新潟県一般県道480号
山中上野線 第1部
「その日は突然に」
2024年9月28日 探索 2025年1月17日 公開
その日は突然に
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分岐点から入って初めての風景がこれだ。今年(2024年)はあまり探索が出来ていないが、こういった場所に来ると改めて「いいなぁ」と感じる。なぜだろう?その道の歴史に直接触れているからだろうか?。
そんな道を見てみると、旧道にありがちな路面の様子。路面のアスファルトはひび割れてるわ、路面に覆いかぶさるように伸びてきている樹木。旧道の左側は塩沢川(鯖石川の支流)と言う川が流れていて、この道は今のところその塩沢川のそばを走っている。そのためかどうかはわからないが、川岸側(左側)の路肩が若干下がっているらしく、路肩のアスファルトの同じ位置にずっとヒビが入っているのが見えるから、路肩は弱くなっているようだ。だが、すぐに崩落するかと言うとそんなことはなく、交通量も現役当時からすれば比べものにならないだろうから大丈夫と思うが、気をつけるに越したことはなさそうだ。その弱くなった路肩に「ここからは路側です」と健気に表している擦れた白線が旧道の雰囲気を盛り上げてくれている。
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少し進んで、足が止まる。画像的には前の画像とあまり変化はないが、大事なものが目に留まった。右の山側の斜面に、ツタに絡まれてその身を隠されながら今でも法面の崩落から道を護っている、まさしく縁の下の力持ちの擁壁の姿。山側の路肩も草に侵食されて、さらに狭くなる道幅。往年の栄華は今は無いかもしれないけれど貫禄は十分、ひとしきり(じっくりと)眺めさせていただいた。ここから見ると道の先は草ヤブのようにも見えるが、左カーブでちゃんと先に繋がっているので安心されたい。私も最初からヤブ漕ぎはなるべくしたくないので、ホッとした(笑)。
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左カーブを過ぎると、道は徐々に高度を上げながら進んでいく。塩沢川と、それにつながる沢に沿って進んでいく旧道は山中集落を目指していくが、みるみる間に道の標高は上がって行く。右に見える建物は農機具小屋か。その手前には刈り取った稲を束にして稲架(はさ)に掛け、天日と風で乾燥させる「稲架掛け(はさかけ)」をしている風景が見える。この稲架の下に落ちたお米を目当てに、スズメが寄ってこないかな?と思いながら、そばを通った。
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その左側を流れる塩沢川を、旧道の路肩から覗き込んでみる。目の前に見えるデリネータには、既に「新潟県」の文字は消えていて、ステッカーの跡だけが残されていた。塩沢川の川岸は今でいう「カミソリ土手」になってはいるが、その表面には草と苔がびっしりと生えていて、およそ現代の無機質な感じは微塵もない。これも時間の成せる業か。でもこういった旧道に、やっぱりガードレールがない!と言うのはお決まりで、ここにもなかった。落ちたらどうするねん!と思ったりしてしまうが、昔の車は車幅自体が狭かったから、この道幅でも優にすれ違いが出来ていたんだろうな。
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農機具小屋の後ろを見てみると、稲架掛け(はさかけ)をしているところがよく見えた。その後ろには段々になった地形が。今は休耕地になっているんだろうか、山中の勾配を段々にして農耕地が拓かれていた証だ。そういえば、この道の探索に当たり珍しく事前調査を行った際に、この辺りは地盤が軟弱で以前から地すべりがよく起きていたらしい。この旧道が開通する以前の話だし、もしかすると旧旧道も地盤が弱くて影響を受けているかもしれない。そうすると、この道も場合によっては通行できなくなる区間がこの先に現れるかもしれず、やっぱり道路は通行できる間に通っておかないと、もう二度と通れなくなる日は突然やってくる。痛切にそう思った。
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稲架掛けの農機具小屋を抜けて先へ進んでいく。農機具小屋を過ぎると、一転して長閑な道が続く素敵な道に変わる。このまま眺めているとただの農道だが、その昔は地域にとってみれば非常に重要な道。右側にはまだ刈り取りの済んでない田圃や休耕地らしき跡も見え、農業が活発に行われていたことを教えてくれている。そしてその中心を走るこの旧道は、柏崎と十日町を隔てる薬師岳に向けて、一気に勾配を駆け上っていく。
まずは山中集落を目指そう!