新潟県一般県道207号
大栗田村上線
第5部「ぬるで」
2025年8月31日 探索 2025年12月23日 公開
ぬるで?

橋の名前は後に調べる…とは言っても、どうやって調べようかなぁ…やっぱり道路台帳だろうなぁ…などと思いつつ、橋の親柱を見てみるも真っ白で跡形もなく、何が何だかわからない状態。石に書くとこうなるのね…と思いつつ、同じ様式で今もかろうじて判別可能な状態で残っていた、一般国道113号の辯當澤橋の親柱を思い出す。私は日本のあちこちに探索言っているわけではないが、それでも道の風景は記憶の片隅に残っている。親柱の銘板の様式が同じなので、そうだとすると昭和10年代を思ったりするが…高欄の形からすると昭和30年代かなぁと思ったりする。

先に進んで現れたのは、8番カーブの名称「ちゅうりっぷ」。なぜこの名称がついたのかはわからないが、この8番カーブの近辺にちゅうりっぷはなかったし、それらしき葉っぱもなかった。うーん…何の順番でカーブの名称がつけられているのか、いまいちわからない。…となると、これから先もいろんな草花の名前が出てくるに違いない。それはそれで楽しみではある。

途中の山側に保安林の標識を見つける。「水源かん養(涵養)保安林」とある。この保安林が何か少し調べてみると、森林法第25条第1項第1号に規定される水源の涵養を目的とした森林、とある。
んー、いまいちよくわからないな。ということで、更に調べてみると…。
森林には、その森林を構成する立木の樹冠や土壌などを通じて、河川の下流の流量のピークを調節する機能があり、この機能を特に水源地周辺において発揮されるよう期待して保護するために「保安林」に指定される森林。一つの流域で数百ヘクタールから数千ヘクタールといった大面積で指定されることが特徴で、その面積が広大なため、基本的に林業を通じて森林の維持管理を図ることとしている。このため過度な規制は行われておらず、都道府県知事の許可次第では大面積の伐採(皆伐)も可能とされているなど、他の保安林種と比べて規制が緩い面もあったりするが、保安林であることには違いがない。
ということで、早い話が水源としてこの森を守り、土壌に水を貯えさせることで下流の洪水を防ごうと言う目的で保護される森林、ということらしい。…となると、やはり森を切ったりして発電所などを造ったりすると、下流の流域にも洪水として影響を及ぼす…ということになる。やはり「自然はすべて繋がっている」ということを実感した。

次の9番カーブは「りんどう」。この「りんどう」は「竜胆」とも書き、植物名の竜胆/龍胆(りゅうたん)の音読みに由来し、強烈な苦味で古くから知られる胃薬「熊胆(くまのい)」よりも、さらに苦いという意味で「竜胆」と名付けられた。リンドウの全草は苦く、特に根は大変苦くて胃薬として薬用になる。地方による別名は「イヤミグサ」、「ケロリグサ」などがあり、なかでも「イヤミグサ」は「胃病み草」の意味らしい。
熊胆(くまのい)…クマの胆汁や胆嚢(たんのう)を乾燥させた生薬で非常に苦味が強く、古くから健胃、消化不良、食べ過ぎ、飲み過ぎなどに用いられる漢方薬の原料。「ゆうたん」とも呼ばれる。また、アイヌ民族の間でも珍重されたとされ、クマの胆嚢を挟んで干す専用の道具(ニンケティェプ)があり、東北のマタギにも同様の道具がある。

大栗田集落まで、残り6km。苔むした路面が何となく愛おしい。鬱蒼とした森を抜けると明るい道が待っている。それを体現しているようで、思わず見とれてしまった。しかも、路面右側の路肩には(両方か?)ちゃんと側溝も作られていたりして、ここは「県道」で、地味に管理されてます!ということを示してくれているようだ。

さ、10番カーブは?と見てみると…そこにあった名前は「ぬるで」。ぬるで?!。
「ぬるで」とは何だ?。ということで少々調べてみると…「ぬるで」とはウルシ科ヌルデ属の落葉小高木、山野の林縁などに生えていて、ウルシほどではないが、まれにかぶれる人もいる。落葉広葉樹で、葉は秋に紅葉し野山を美しく彩る低木らしいのだが、それを話し出してしまうと「道」と大幅に離れてしまうので、ここではやめておくことにしよう。
次回、門前川に沿って進む道の風景を追いかけていく!
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