一般国道253号
犬伏トンネル旧道
第7部「路盤を横切り渋海川」
2024年4月20日 探索 2024年12月13日 公開
路盤を横切り渋海川
…タイトルが演歌っぽいな(笑)
前回は「崩れたであろう斜面の跡」や「もしかすると雪捨て場?」をじっくり眺めたところで、「雪捨て場とは言っても一番下に道があるんだけどなぁ…」と言うところで終わっていた。今回はその続きから始まるのだが、その雪捨て場の脇を見てみるとこのような構造物があったのだ。これは…沢だろうか?。見ると石垣のようなものが見えるが、あれは俗に言う「ふとんかご」で、水が流れているところは今の技術で積まれた丸石の石組だろう。
この沢の水は路面に流れているが、その流れている部分は一部がコンクリートで補強され、路面がこれ以上侵食しないように施工されている。と言うことで、この施工がある溝が路面を横断していることになり、このおかげで車は通行できない。実質、廃道化しているようなものなのだ。
もう少し近づいて沢を見てみることにしよう。
全景。なるほど、これは見紛うことなく「沢」だ。しかも、水量は結構ある。この沢の出所を見極めたいところだが、この高さでは斜面を登るわけにもいかず、いかんともしがたい。だが、この高台の上には犬伏の集落があるはずで、集落の中を流れる沢が渋海川に戻るための沢だろうと見た。これ、融雪時などは沢どころか滝になるかもしれず、そうなるとその流れは雄大で激しいものになるだろう。もう少し早い時期に来ればよかったか。
元の道の路盤に戻って、これから進む道筋を見てみる。右は渋海川。さっき眺めていた沢の流れが道の路盤を横断して、渋海川に流れ込んでいるところが見える。それは洗い越しのようなものではなく、側溝のようなもので、これを越えるには普通の車ではなくて4WDのジムニーくらいじゃないと越えられない。
道の脇の斜面を見るとなだらかなところもあれば、険しい岩肌が丸見えなところもある。たぶん、この道筋はこれまでと同じように古くからの道筋と見ていいと思う。それにここは道幅が非常に広く、道の空間として非常に安心感がある。一番大きい待避所のようなところだったのかな。
てくてくと先に進むと、「いかにも旧道です」と言った道筋の路盤が続く。でもガードレールやデリニエータなどの路肩防護施設や、川の護岸らしきものは全く見当たらない。この道筋が国道だった頃の時代には、それらはあったのかもしれないが…現道が開通して旧道になった際に撤去されたのかな。でもねぇ…この道、それがないと通るのに地味にこえーよ?(笑)。
…あ、さっきの沢の水の逃げの溝を作っちゃったから、車はもう通らないか。
さて…現道まであとどのくらいだろうと前方を見てみると、遠くに赤い橋が見える。あれは現道の「出合橋」という名前の橋だったかな?。ここから見ると、今私が立っている地点から先の川岸に護岸の姿が。なんだかいかにも古そうなで、期待が高まる。その手前は不自然に崩れている場所も見えていたりするし、これは楽しみだ。
今はこうして穏やかな景色を見せてくれている旧道も、草が覆い茂る夏手前の7月頃には通行すること自体が難しいほどの夏草に覆われるようで、やっぱりこの時期に訪れて正解だったなぁと実感する。
だってねぇ…今、こうして見えている路面を覆っている枯草の量!。…結構あるよ?(笑)
この探索では、よく「振り返った画像」をお見せすることが多いが、実はこの振り返った画像が美しい旧道の風景、と言うことが多いのだ。ここも、ぜひ見て頂きたい。右側に見えるのはあの「崩れたであろう斜面の跡」と、その隣の「もしかして雪捨て場?」、端っこに少しだけ写り込んでいる沢の姿も見える。しばらく眺めていたが、そういえば先程から休憩を取っていないことに気づいた。少し休憩しようか。たぶんこの休憩がこの道での最後の休憩になるだろうなぁと思いながら、背中のリュックを下ろす。
ところで今気づいたが、その斜面の跡の先の方に見える白く煙ったような大きな木が見える。あれは…桜だろうか?。ここまでこの道を通ってきたが、まだ桜は咲いてなかった。咲いたところを見たかったなぁ…と思いながら生ぬるくなったルイボスティーを飲むと、少し苦く感じた。名残惜しいが、この探索ももうすぐ終わり。見逃しがないように、より一層キョロキョロしながら進んでいく。