一般国道253号
犬伏トンネル旧道

第2部「白色のアンカー

2024年4月20日 探索 2024年11月18日 公開

「白色のアンカー」

さて、それではいよいよこの旧道の探索に入ろう。この位置から旧道を眺めてみると、なんとなく妙なことに気づく。アスファルトで舗装された道はこの先の右カーブを過ぎると、斜めに上がっていくような進路を取る。だがここで地図を改めて見てみると、この道は高台にある犬伏の集落に繋がる道で、途中で分岐して川沿いを進む道が旧道だ。よく見てみると渋海川沿いに路盤のようなものが見えるので、あれが旧道だろう。なんとなく嫌な予感がしなくもないが、ひとまず行ってみよう。

右カーブを抜けて分岐点までやってきた。路側帯を表す白線は斜め上に上がっていく犬伏集落を目指す道の方に付けられていて、今はこちらの道が本線となっているようだ。但し、今はその犬伏集落を目指す道もカラーコーンの簡素なバリケードで封鎖され、通行できなくなっている。そして旧道はここから右の渋海川沿いに進んでいくのだが、その路盤は…なんだか素敵なことになっているぞ、おい。楽しそうじゃないか(笑)。
道路に微かに残るダブルトラックの跡は旧道の方向にもついている。おそらくこのダブルトラックは除雪車が付けたものと思うが、路面は…除雪したようには思えない。となると…ま、行ってみりゃわかるか。

旧道に入っていくと…おお!なんて素敵な道だ!(←喜んでいる)。
田澤トンネル旧道の時は地図上では一本の線で描かれていたが、実際は軽トラくらいなら十分に走行できる、良い道だった。これに対し、この犬伏トンネルの旧道は地図上では二本線の道として描かれているが…どう見ても車の通行は不可能のように思える。またしても国土地理院にしてやられてしまったようだ。ま、楽しそうだからいいが(笑)。

しかしこりゃ…今は4月の終わりころ。冬枯れで草が一番無い時季でこれだから、この草がまた復活してくるとどうなるか…、ほとんど草ヤブになるだろう。すなわち、この道はこれから少しの時間が経過すると、通れないということだ。この時季に訪れてよかった。

あれこれと考えていても仕方ないので、突っ込んで行ってみたのがこの画像だ。こりゃ…笹ももちろんだが、灌木も非常に多い。それに、ここから見てみると擂鉢状になっている地形が非常によくわかる。ここは本当に道だったのか…?と思われる方も多いと思うが、ここが道であった証拠に右側の路肩に白いものが見える。これはガードロープのアンカーで、唯一残ったものだろう。てことは、この位置が路肩と言うことになる。そこからこの道の幅を推定すると、結構な狭さだったように思われるが…。

これがそのアンカーだ。このアンカーの外側は、ほとんど直角に渋海川に落ち込んでいる。今はヤブの草が冬枯れしているのでガードロープのアンカーがこんな感じに見えているが、これがヤブの時季なら見えやしないだろう。その少し先にも同じものが見えるので、ここが路肩だったことは間違いない。

それにしても、こんな冬枯れの草が路面を覆う旧道を探索するのは久しぶりだ。一般国道252号の三坂峠以来だろうか。そういえば、この三坂峠も十日町市の外れだったっけ。もう6年前になるなぁ…懐かしい。あの道は元気だろうか(廃道や旧道に元気も何もないもんだと思うが)。

さて、下草が激しかった区間を過ぎると路面を覆う枯草も幾分落ち着いてきて、その代わりに笹が増えてきた。この笹も背丈が短い笹のようで、下草として茂っても通るにはあまり支障はなさそうだが…それに、今でも若干の通行人がいるのか、それとも私と同業者の方々か、踏み分けの跡が付いている。道としては今でも機能しているんだなと嬉しくなるが…田澤トンネル旧道の場合は、その沿線に耕作地の跡があったりして、そのために道が維持されてきたということがあった。でも、この犬伏トンネル旧道の場合は沿線には何もなく、崖しかないので…やっぱり私と同業者の方々だろうか(笑)


入口付近だけで終わりかと思った路面を覆う冬枯れの草、
ヤブと戯れる今回の探索はまだまだ続く!(←と言うか、始まったばかりじゃないか)

第3部へ