新潟県出雲崎町道
尼瀬稲川線 稲川隧道 再調査編
第6部「山の中へ」

2025年4月5日 探索 2025年6月11日 公開

山の中へ

旧道の路盤をポツポツと歩いていくと、左側から現道の路盤が接近してくる。旧道の路盤もここまでくると広くなってきて、これが本当に当時の路盤だったのかな?と思ってしまう。だが、現道が開通した後で少し広げられたのかもしれないし、そのままこれが元の路盤だった、なんていうことも十分あり得るからなぁ…。
旧道の路肩には等間隔に植樹された木がある。この木は桜だろうか。旧道になっても、この道を往時の姿のままに保ち続け、愛情をもって接してくれる人がいる。そう思うと、とても嬉しくなった。この木がもっと大きくなって数十年後になると、それはそれは美しい景色になることと思う。その景色を、私はぜひ見たい。

ここが現道と旧道の合流地点(稲川トンネル側)だ。先のほうが暗くなっているが、この先に稲川トンネルの稲川側坑口がある。ここまで旧旧道の分岐点は見つけられず仕舞いで、現道を造成する際に崩されたのかなぁと思ってしまうが、位置的にはこのあたりのはずだ。…と思って画像を改めてしげしげと見てみると…右側の山中にぽっかりと空間が開いているではないか。もしかして、これか?。なにやらぽっかりと「さぁここだよ、おいで」と言わんばかりに口を開けているではないか。う~む…。

合流点から少し引き返し、現道から旧道を眺めてみる。緑の苗が田圃に植えられ、旧道の山側には鮮やかな緑にピンク色の山桜がところどころに咲く、実に美しい景色が広がっていた。旧道がこんな風にちゃんと管理されているとは思わなかった私は、非常に感動した。こんな風に管理されて、いつまでも愛されている旧道もあるんだなぁ。嬉しい限りだ。
さて、今度はいよいよ旧旧道の探索だ。稲川トンネルを通って中山側に戻ろうかな。

さて、中山側に戻ってきた。地主氏に再度ご挨拶して許可を頂き、山中に入る。この道の先が稲川トンネルになるので、旧旧道を探索するには左側の山中に入ることになるのだが、詳しく位置を示すことは避けておく。私はどうやって気づいたかというと…ここから稲川トンネルに向かって歩いていた時に何気なく左を見たら、斜め上に向かっていく平場を見つけた。普通に見ていると何とも思わないのだろうが、見た瞬間に「なぜだろう?」と思って…というわけだ。さて、入っていきましょうか。年甲斐もなくワクワクする。

山の中を進んでいくと、このような場所に。旧旧道はおそらく今は人通りもなくて廃道となっているだろうが、現地でここかな?と感じて進んだ道筋を矢印で記してみた。山の中に微かに残っている道を察知して進んでいくのもなかなか楽しいもんだ、そう思い始めて楽しんでいる自分がいる。これはヤバい…(笑)。
画像で見るとわかりにくいかもしれないが、旧旧道はスタート地点から急に標高を上げて進んでいく。なもんで、こう見えて実は最初のスタート地点よりもかなり標高が上がっているのだ。

一見すると杉林のように見えるただの山肌。ここに佇んでしばしの間ジッと見ていると、一本の道筋が見えてくる。それが右側の画像だ。私が通った道筋を赤矢印で示してみた。ホントにこの道で正しいんかなぁと思うが、周辺の景色と合わせてみていくと、この道(?)が進む方向はトンネルの上の切通しを目指して進んでいることは間違いないと思う。この付近で現道の稲川トンネルの上にある切通しを通る道は、過去にも現在にも、この「ナナマガリ」と呼ばれた稲川隧道・稲川トンネルの旧旧道しかないはずだ。

辿ろう。現道からこれ見よがしに見えている、
切通しを目指して。

第7部
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